コラム

 公開日: 2018-01-21 

歯周病がもたらす体の病気!

歯周病になっても命に関わる病気ではないからと高をくくっていては、取り返しのつかないことになる可能性があります。

重度の歯周病であれば、口内の歯周病菌が血流で全身に行きわたります。それにより、心筋梗塞や糖尿病を悪化させてしまうこともあるのです。

歯周病と体の関係

「もしかしたら自分は歯周病かも…」と心当たりがあっても、「大丈夫だろう」と軽く考えていませんか?

歯周病の直接的な症状は、確かに歯肉や歯周組織など口内だけに現れます。しかし、それだけでは済まないのです。最近の医学的な共通認識として、歯周病は全身の病気に影響すると捉えられています。

まず歯周病のメカニズムをおさらいしてみましょう。

ブラッシングで落とし切れない食べカスが歯に付着して、歯垢(プラーク)となります。これは食べカスを栄養源として繁殖した細菌の塊です。歯周病が進行して深くなった歯周ポケットには、プラークが溜まりやすくなります。とどまりやすいだけでなく、ブラッシングでも毛先が入りにくいため、除去することも困難です。このプラークは唾液にも溶けにくく、うがいや洗口剤でも取れにくいものです。

この頑固にこびりついたプラークからは毒素が放出され、歯周組織を壊します。毒素は歯周病で開いた血管を介して全身を巡り、さまざまな部位で炎症を引き起こします。
それでも健康な状態にあれば、免疫機能や抗炎症能力で病原菌に抵抗します。しかし、いったんストレスや体調不良で免疫が落ちてしまえば菌が優勢となり、病状が悪化してしまいます。

口は栄養素や呼吸に不可欠な入り口ですが、同時に外界から病原菌が入り込む侵入経路にもなりえます。食事の際によく噛んで唾液の分泌を促すことで、免疫が高まり病原菌の侵入を阻んでくれています。歯周病で口内環境が乱れれば免疫力も低下します。

「特に痛くもないから平気」と放置していると、全身のさまざまな疾患につながる恐れがあるのです。

歯周病と心臓疾患・脳血管疾患

歯周病が引き金となっている病気は多くあります。高齢者に多い誤嚥性肺炎やアルツハイマー病も、近年の研究で「歯周病が一因」といった認識があります。しかし、歯周病による病気リスクは、なにも高齢者だけの話ではありません。

心臓疾患や脳血管疾患についても関係性が解明されつつあります。日本人の死因として上位に挙がる心筋梗塞や脳卒中も、歯周病を放置しておくことでり患しやすくなります。

この2つの病気は、動脈の血管が分厚くなり弾力がなくなってしまう「動脈硬化」が原因となっています。血の巡りが滞ってしまい、血管が詰まり破れやすい状態です。

心臓に血液を送る冠状動脈が動脈硬化を起こしてしまうと、血流が止まってしまい酸素や栄養素が行きわたらず心筋が壊死してしまい心筋梗塞となります。同じように脳の血管が詰まり脳細胞が壊死するのが脳梗塞です。

それぞれ発症するリスクは、重度の歯周病の人ほど高くなっています。歯周病になると、歯周病菌が歯周ポケットなどから血中に入り込み全身に広がります。

菌に感染すると、血管内の皮膚細胞に感染して炎症を起こします。その部分にマクロファージ(白血球の中にある免疫細胞)が張り付いて、悪玉コレステロールを取り込んでしまいます。溜まっていくことで血管の内壁が狭くなり、血流が悪くなったり詰まったりしてしまうのです。

また、虫歯の原因菌として知られるミュータンス菌は脳の炎症の原因という研究もあります。特殊な遺伝子を持つミュータンス菌は止血作用を阻む性質があり、脳出血を引き起こすというものです。

歯周病と糖尿病

糖尿病も、歯周病との関係が指摘されています。

私たちの体内では、食べ物が分解されグルコース(ブドウ糖)となりエネルギー源として使われます。血液の中のグルコースの濃度が血糖値です。糖尿病になるとグルコースを調整するインスリンというホルモンに不調をきたし、血糖値が高くなり過ぎてしまいます。

血糖値が高いままでは血管に負担がかかります。特に毛細血管の流れが悪くなる血管障害が起こり、各臓器に悪い影響が出てくることになります。

糖尿病では末梢血管、腎臓、網膜などに合併症がみられます。その中には口内の血流障害もあります。
歯肉の血の巡りが悪くなれば、栄養や酸素がすみずみまで届かずに免疫細胞の働きが落ちてしまいます。唾液の分泌も減るため、洗浄作用も抗菌物質も少なくなります。糖尿病になることで、歯周病の進行が早まる環境が出来上がってしまうのです。

逆に、歯周病が糖尿病を悪化させることもあります。歯周病の炎症を治そうと体内で作られる物質に、炎症性サイトカインというものがあります。これがインスリンの働きを邪魔することがあるのです。糖尿病治療の基本となる血糖値コントロールが難しくなります。

歯周病と糖尿病はそれぞれが足を引っ張り合っているようなもので、病状を悪化させ合います。

歯周病のせいで糖尿病になるわけではありませんが、しっかりと口内の治療に向き合うことが血糖値の改善につながります。

糖尿病と診断を受けたならば、血糖値のコントロールとともに歯周病対策も講じましょう。食事を含めた生活習慣を見直すことが、全身の健康のために不可欠です。

この記事を書いたプロ

きとう歯科クリニック [ホームページ]

歯科医 鬼頭昌盟

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