コラム

 公開日: 2014-09-20 

自分だけがよければ、幸せになれるか? ―個人的、集団的、国家的利己主義の問題―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 おかげさまにて、このたび、古い地蔵堂の柱と屋根を利用してベニヤ板を貼った仮不戦堂が完成しました。
 百万返の祈りに向けての準備は最終段階に入りました。

 さて、地球上では、いたるところで国家の枠組みが揺らぎ、崩壊しつつあります。

1 アメリカの問題

 自由主義の旗頭であったはずのアメリカでは、8月9日に黒人の少年が白人警官に射殺された事件をきっかけに不穏な空気が広がっています。
 事件があったミズーリ州セントルイスの郊外にある町ファーガソンでは、1980年、白人が住民に占める割合は85パーセントでした。
 ところが、セントルイス北部地域が開発されて不動産価格が高騰した結果、住めなくなった黒人がファーガソン周辺へ移住し、白人たちは出て行きました。
 その結果、2008年には黒人が7割となりました。
 近隣約90地区で同様の現象が起きています。
 セントルイス郊外に暮らす黒人の失業率は白人より10ポイント高く、4人に1人が貧困レベル(4人家族で年収2万3千ドル)以下の暮らしをしています。
 ファーガソン近くに実家がある弁護士スティーブン・シューツ氏(46才)は、帰省中のデモや混乱に驚きました。

「富める者はさらに豊かになり、貧しい者は貧困のまま取り残された」(9月19日付朝日新聞)

 白人富裕層は合法的に自分たちだけで住み、税金を住民たちだけで使う新しい〈市〉を続々と誕生させ、警官や警備員など武装した人々に守られる地域は、医療も教育も治安も最高水準が保たれています。
 一方、膨大な数の貧しい人々だけがとり残された周辺地域では何かもが不足し、悲惨さが増し続けています。
 アメリカでは、人種問題の解決を旗印として登場したオバマ大統領が、白人と黒人間の「分断の象徴」とまで言われ始めました。

2 中国の問題

 今や世界の経済を牛耳る勢いの共産主義国中国では、とんでもない現象が起こっています。
 9月19日付の産経新聞は「米『妊婦ホテル』中国人殺到」と報じました。
 中国人富裕層の間で、子供にアメリカ国籍を取得させようと、観光査証(ビザ)でアメリカへ入って出産することが流行し、そうした人々を囲い込んで一儲けしようとする人々が閑静な住宅地の豪邸を「マタニティーホテル」として違法に改造し、問題が起こっているのです。
 言葉も文化もふるまいも全く異質な人々が急に入り込んだ結果、地域の雰囲気は一変し、ゴミや景観や近所づきあいなどで深刻な問題が発生しています。
 ロサンゼルス郊外のチノヒルズでは、元市議で弁護士のロザンナ・ミッチェル氏が市議会への署名運動を始めました。

「市民権をお金で買っているようなものだ。
 法律に違反していないからといって道徳上認められるのか。
 国籍は正しい手続きで認められるべきだ」

 中国で富を蓄え、社会へ一定の影響力を持つ立場にある人々が、自分の国を中国人としての子孫に託さず、子孫が思想的・経済的・軍事的に対立するアメリカ人になることを望むとは信じがたい状況です。
 そうした人々にとっては、祖国の国土も国民も、自分が儲け、子孫が儲けるための道具でしかないのでしょうか?

3 「人間の安全保障」の問題

 国際協力機構(JICA)の特別顧問を務める元国連公使緒方貞子氏(87才)は、かねて、国連の場で「人間の安全保障」を主張してきました。
 戦乱によって、暮らしを破壊された人々を周囲の国などが国として保護できなくなっているからです。

「本来なら、難民を保護する責任を果たすべき国家が崩壊し、国境線が変わっていく。
 混沌とした状況では戦時法規の適用もできない。
 現実を直視して、戦地であろうとなかろうとどうやったら人間の命を守れるか、が問われています」
「民主主義や自由化が進み、人間の利己的な部分が出れば、分裂する方向に動くことが多い。
 ソーシャルメディアなど情報テクノロジーが進展した結果、人々のつながりが細分化し、多様化している。
 人間はどういう形でなら、お互いを信用して、ともに生きていけるのだろうか。
 何か共通のもの、共通の利害というものはないか。
 宗教にその役割を負わせるのは難しい面もある」(9月17日付朝日新聞)

4 利己主義が諸悪の根源

 個人が利己的にどこまでも自己主張しようとすれば、人間間の距離はどんどん遠くなります。
 気の合う人と好きなことをして暮らそうとすれば、社会的枠組みは、何もかもが邪魔になるでしょう。
 ――生活を支え合う法的ネットとしての国家すらも。
 気に入らぬものを排除せずにいられない気持が高まれば、必ず争いが起き、戦いも起きます。
 緒方氏が指摘するとおり「民主主義や自由化」は個人にも、政治的・宗教的グループにも、社会にも、国家にも「利己的な部分」を増大させ、現在の混乱や戦乱はその結果、必然的に起きているのでしょう。



 こうした生活空間にあって、私たちは安心な暮らしを営めるでしょうか?
 今こそ、お互いのいのちは一つであるという感覚、他を害することは厭わしくおぞましいという感覚を取り戻したいものです。
 この不戦堂が、そうした心をつくるために役立てるよう願っています。
 
 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

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