コラム

 公開日: 2014-09-25 

ヨガのマントラと十三仏のマントラと両方唱えてよいか? ―hasunohaへの回答について(6)―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 僧侶への質問コーナーhasunohaに寄せられた質問の骨子です。
「ヨガのマントラと十三仏のマントラと両方唱えていますが、大丈夫でしょうか?」

 当山からの回答です。

「マントラとは真実の言葉であり、み仏の世界へ真っ直ぐに入るための聖なる言葉です。
 人間のいのちと心のはたらきは身体と言葉と心を通じて表れ、三つが煩悩と無智に穢れていれば悪しき結果を招くく三業(サンゴウ)となり、慈悲と智慧に満ちていれば自他の苦を除き自他を幸せにできる三密(サンミツ…3つのみ仏のはたらき)となります。
 そして人間存在の核である霊性の色合いが多種多様である通り、霊性に顕れる仏神もまた多種多様です。
 ちなみに『般若心経』という経典名は『如来の境地に感応し、プラジュニャー・パーラミターなる瞑想法を実践した観音菩薩が念誦すべきマントラを示す経典』(宮坂宥洪師の言葉を参照)となります。
 そして般若心経の終わり近くでは、こう説かれています。
『これこそがすべての煩悩を鎮める。
 これこそが究極の真実である。
 人間の思慮を超えており、何らの偽りもないゆえに。
 プラジュニャー・パーラミターの修行法において念誦すべきマントラは次のように解かれている。』
 続いて『ぎゃてい、ぎゃてい~』というマントラが示され、お経は終わります。
 この経典に惹かれる人は、観音様がこのマントラを唱えながら深い瞑想へ入って掴んだ空(クウ)の真実に感応しておられるのでしょう。
 たとえ無意識にであろうとも。

 身体と心をきちんと整えて至心に唱えるならばマントラはすべて、み仏や神々の世界へ入るための尊いカギとなるのです。
 そして前述の通り、人間の根本的なありようが多様である限り、魂が感得する仏神も多様であり、なんぴとたりとも、その内心へ立ち入ることも縛りつけることもできません。

 そもそも仏神とは、自己中心的で、空(クウ)なるありようをなかなか理解できない私たちとは異なった慈悲と智慧の結晶体であり、凡夫がつくる対立や争いや苦悩や憎悪を離れた存在であればこそ、仏であり神と言えるのではないでしょうか。
 だから、貴方様がヨガの修行に用いるマントラを唱える一方で、み仏へ十三仏様のマントラを唱えようと、それが貴方様の内心において共存できている限り何ら問題はありません。
 当山の人生相談には貴方様と似た疑問や悩みをお持ちの方々がたくさんご来山されています。
 人と人を対立させるものは、畢竟〝人〟です。
 せっかく日常生活的時空から離れていのちと心のはたらきを清め活性化しようとしておられるならば〝人〟の原理から離れてみたいものですね。
 ご精進を祈っています。合掌」

 これまで幾度、こうしたご質問を受けたかわかりません。
 友人、知人、親戚、あるいは祈祷師などから、「神様同士がケンカする」「神様と仏様と一緒にすると運気が悪くなる」「何か頼むなら神様で、仏様に頼みごとをしてはいけない」といった〈タブー〉の話をされた善男善女は気味が悪くなったり、困惑したりと大変です。
 狭い了見の人間が、仏神の世界まで狭めてしまっているのは残念です。

 ダライ・ラマ法王は、ハーヴァード大学で行った講義を『仏教哲学講義』にまとめられました。
 その中にある一節です。

「~仏教の全ては以下の二つの文に集約されます。
『もし可能ならば、他のものを助けなさい。
 それができなければ、少なくともかれらを傷つけないようにしなさい。』
 実に、仏教のすべての乗(声聞乗〈ショウモンジョウ〉・独覚乗〈ドッカクジョウ〉・菩薩乗〈ボサツジョウ〉)の本質はこの短い言葉に言い尽くされているのです。」

 声聞乗〈ショウモンジョウ〉とは、教えを学んで悟る教法です。
 独覚乗〈ドッカクジョウ〉とは、じっと瞑想をこらしたりして悟る教法です。
 菩薩乗〈ボサツジョウ〉とは、皆と共に救われたいと願って悟る教法です。
 いかなる姿勢や、やり方で仏教に学び、救われるかはさまざまですが、いずれにしても、他のためになることと、他を傷つけないことが根本中の根本であると説かれました。
 他のためになりたいと心から願い、決して他を傷つけまいと誓って生きるならば、仏教から外れていないとも言えるのです。
 仏教はあくまでも、万人が救われるための普遍的倫理や道理を求め続ける宗教であり、歴史上のどこかで一人間が語った内容を金科玉条にして思考停止するものではありません。
 お釈迦様やお大師様の言葉といえども、救いを求め、学ぶ後代の仏教徒は、その時代に生きる個人の魂のレベルで取捨選択し、理解を深め、心中で醸成させながら生かしてゆくのです。

 また、仏教徒の基本的立場として、教えは「縁になるもの」といった感覚があります。
 時間的、空間的、能力的に有限な世界で生きる一個人は、仏教のすべてを学び尽くすことは不可能です。
 上述の如く、仏教は歴史と共に変化し、深まり続けてやむことなく、こうしている瞬間にも、仏教の歴史的総体は変化し積み上げられつつあるからです。
 だから、自分の魂に響く教えに出会ったならば、「ご縁だ」「お導きだ」と感じながらありがたくいただき、人生の燈火として祈ってゆくのです。
 仏教の全部を研究した結果自分で選び取るといったことは、凡夫にとっては勘違い、あるいは思い上がりと言うしかありません。

 以上の理由から、ヨガではヨガの流儀によってマントラを唱え、み仏へ心を向けてはマントラを唱え、至心に心といのちの浄化、向上をはかることに何ら問題はないと考えます。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

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