コラム

 公開日: 2014-09-29 

「法楽農園」は刈り入れが終わりました ―いよいよ「ふゆみずたんぼ」へ―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈懐かしき風景〉


〈大枝邦良師〉


〈救世主八島さん〉


〈同志の面々〉


〈早くもお祭が……〉

 9月27日は地域の農家八島さんが2連のバインダーを持って駆けつけてくださり、「法楽農園」3反歩の刈り取りが1日で終わりました。
 昨年は1連のバインダーしかなく、しかも、雑草が絡み、何度も何度もメーカーさんに修理を依頼する始末で数日かかったあげく、3分の1ほどが倒れていたので諦めたものもあったのとは大違いです。
 大枝邦良師のご指導で、丹野、後藤、髙井という強力トリオが稲架掛(ハセガケ)の台を造ったり稲の把を運んだりと活躍し、作業の7割を終えました。
 9月28日は大枝、八島のプロお二人はそれぞれの田んぼへ行かれ、朝7時前に活動し始めたトリオに昨年同様、藁科、鈴木の熟練者2人がはせ参じてくださり、何と午前11時には後片付けも済んで解散式を行うに至りました。

 無農薬、無肥料でしたが、大枝師の見立ててでは、昨年より何割も多く収穫できるだろうとのことで、二度も雑草取りをしてくださった大枝、藁科お二人には頭が上がりません。
 また、猪が遊んで倒された部分はありましたが、台風にやられず、ほとんど全部刈り取りできたことも幸運というしかありません。
 ただし、このあたりではもう、稲架掛(ハセガケ)で天日干しをしている田んぼはほとんどないので、おそらく、食べものに困ったスズメなどが大挙して押し寄せ、三分の一程度は餌にされてしまうことは覚悟せねばならないそうです。
 対処法として昨年同様、赤間農園さんからご提供いただいたマネキンの首を掛け、キラキラしたテープを張りましたが、あとはどうなろうと仕方がありません。
 スズメたちが生き延びられるよう、同時に被害も少なくて済むようにと矛盾した願いで過ごすのみです。

 今年はじっくり干しましょうという大枝師の指導により、10月19日に行う「ゆかりびとの会」主宰の芋煮会には精米が間に合いません。
 11月8日の寺子屋『法楽館』において収穫祭と試食会を行う予定です。

 今年こそ、〈ふゆみずたんぼ〉を実践する予定です。
 平成25年10月13日の第四十五回寺子屋『法楽館』において、「日本ガンを保護する会 ラムサール・ネットワーク日本」の会長である呉地正行師をお招きしてシンポジウム「ガンの渡りとふゆみずたんぼ ─多様性を守り共生する道─」を行いました。
 そのおりの内容は、ブログ『想いの記』内に詳述しています。
・日本雁を保護する会会長呉地正行先生に聴く(その1) ─ガンの渡りから「ふゆみずたんぼ」へ─
・日本雁を保護する会会長呉地正行先生に聴く(その2) ─ガンの渡りから「ふゆみずたんぼ」へ─
・第四十五回寺子屋『法楽館』「ガンの渡りとふゆみずたんぼ─多様性を守り共生する道─」

 師の理論については「ガンの渡りとふゆみずたんぼ ―多様性を守り共生する道─」を読めばよくわかります。
 ここでは、師とうち合わせした折のメモの一部だけを再掲しておきます。

○万葉集に登場する鳥のうち、最も多いのはホトトギス、次はガンである

○ガンはまず、声がして、空を見上げるとV字編隊が見え、短調に聞こえる声のもの哀しさが味わい深い

○ガンが飛び立つ光景を見たいならばTPOをわきまえねばならない
 寒さに耐えて日の出を待ち、光景を身体で感じること

○ガンは人に近寄らず、環境の変化による影響を受けやすい生きものである

○ガンの警戒心は、安全な水上と危険な地上では異なり、群れの大きさによっても異なる
 バイパスと農道により福田町からガンが消えたことは決定的できごと
 広く浅く安全な湿地と田んぼがなくなれば、海をすらねぐらともするが、やがて来なくなる

○ここ100年の間に全国で61パーセントの湿地が消え、全国で三番目に湿地面積の大きかった宮城県は92パーセントが失われた
 伊豆沼周辺しかなくなり、そこでは狩猟鳥だった
 日本へ飛来する数は数千羽まで減り、昭和46年に法的保護が行われてようやく数は回復してきた

○飛来地が増えなければ、病気などによる全滅の危険性があり、危険を分散せねばならない

○冬にガンのねぐらになる「ふゆみずたんぼ」には、5668種類もの生きものたちがいる
 水を張っておくと生きものの量が増え、田植えされた夏にはサギなどが来るようになる

○夏に来る鳥たちは、水が張ってあった〈冬の光景〉を知らないはずなのに、水を張っておいた田んぼには乾田の4倍以上も集まる
 ふゆみずたんぼでは、鳥の主食となるドジョウが乾田の五倍もおり、ドジョウの主食となるイトミミズもまた5倍である
 カエルやザリガニも同様であり、鳥たちにはすぐどちらが豊饒か、判断できるのだろう

○農業者がガンと長い付き合いをして行けるような取り組みが必要

○単調な環境は好ましくなく、乾田を否定し、すべてをふゆみずたんぼにせよというのではない
 例えば赤とんぼが世代交代するためには、乾く時期が必要である

○湿地の80パーセントから90パーセントが乾田となり、暗渠排水にされたことが問題である
 今、最も欠けているのが〈冬の水〉である

○田んぼを中心とした水辺環境をつくり、多様な生きものたちを子供たちが観察するようにしたい
 定期的に生きもの調査をしたり、観察会を行ったりしたい
 多様な生きものたちがいて、いのちが多様に豊かに息づいていることに感動できる場をつくりたい

○田んぼには、稲作により生きものたちが集まる
 東南アジアでは「水に魚あり、田に米あり」と言い、川と田んぼでは水も生きものも行き来し、主食もおかずも手に入れられる

○ふゆみずたんぼを中心とした水辺環境は、他の農地と違う複合生産の場となる
 ここだけで生きて行ける場をつくり、小さな地域内でご飯もおかずも安全で確実に確保できることが理想である

○何十年も何百年も使える環境をつくろう
 人間も他の生きものたちも共に生き続けられる循環型になるのが理想である
 田んぼで、今日獲れたものをおかずとして食べられれば生きられ、田んぼがなりわいとなれば理想である
 小さいことのよさが生きる

○生きものとしての人間が最後まで切り捨てられないものがたべものである
 食べ物が何百年も何千年も確保し続けられるならば、これこそが当に持続可能な社会であり、心の安らぎも確保できる

○田んぼには底力がある
 アジアには何千年も続いている農業文化がある
 歴史によって証明されているやり方を古人から学びたい

○中国の雲南省や四川省など、あるいはカンボジアやラオスといった地域には、「ここで生きていてよかったなあ」と思える文化が残されている
 後漢時代のお墓から出土した「田んぼ模型」には、田んぼとそれにかかわる生きものたちが描かれている
 約2000年前から続く農法は信頼できる

○「早く」だけでは長持ちしない文明になりかねず、ゆったりとした長続きする方向性が必要である
 科学合理性だけを信じ、際限なく早さを求める方向を止めるのは社会全体の力である

○原発事故のような警鐘も、直接的被害者以外の人々の記憶からすぐに薄れて行きがちだが、危険なものはたとえ忘れてしまっても危険なのである

○EUでは、ミツバチの大量死などにつながると推測されるネオニコチノイド系農薬を禁止したが、黒であることが証明されていないものへの対応に文化の問題が顕れている
 日本でもグレーであることは明白なのに放置され、大量に用いられ続けている

 この件については、ブログ「蜜蜂に教えられる真実 ─蜜蜂の大量死・予防原則・原発─」に書きました。

○戦後の成り行きが示すとおり、きちんと白黒をつけずに過ごす曖昧さは日本人の精神風土としてあるのではないか
 また、善くも悪しくも〈皆と同じようにやる〉ことによって安心を得るという傾向が、強いのではないか
 よほど明確な農業哲学や技術を持たないと、〈これまで〉や〈皆〉と違うことができない

○東日本大震災から受けた教訓の一つとして、「絆はいざという時に役立つ」ということを知った
 都会にも田舎にも、それぞれ、よい面も、よくない面もある
 悪い面を攻撃するよりは、よい面を生かすことである
 そのために、〈全体を観る目〉を養いたい
 田舎特有の絆は地域力である

○東日本大震災で失ったものも得たものもある
 得たものを生かすのが生きている人間の務めである

○人間は食べなければ生きて行けず、生きて行く上の本質にかかわる部分については〈線引き〉が必要である
 すべてのものごとに経済原則をあてはめてはいけない

○韓国生協の倫理的消費者というポリシーなどに学びたい

○日本の企業は、CSR(企業の社会的責任)をもっと自覚せねばならない

○それぞれの田んぼを生かして行くことは、スモールイズビューティフルであり、小回りの利く柔軟な対応ができる
 一人の百歩より百人の一歩で進めば大きなうねりとなる
 過去に学びながら未来へ向けた田んぼづくりをやりたい

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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