コラム

 公開日: 2014-09-30 

平成26年10月の運勢に応じた留意点 ―まだ弱きものを育てましょう―(新)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈水辺に咲くもの〉

 平成26年10月の運勢に応じた留意点です。

 今月は、新たにスタートしたものを、そっと大切に育てる心が大切な時期です。
 まだ歩けない赤ん坊に早く歩けと過大な期待をかけたり、まだ人員が充分に揃わない会社へ消化しきれないほどの注文を出すようなことは慎みましょう。
 また、弱みとなっている部分へ補強的な手を差し伸べることも大切です。
 そうすれば、やがて、急速な成長発展期を迎え、当人、当事者も、見守る人々も、弾ける笑顔になれる時が来ることでしょう。

 作家渡辺京二氏は『無名の人生』にこう書いています。

「『苦界浄土』の著者で詩人の石牟礼道子さんの文学の根本には、小さな女の子がひとりぼっちで世界に放り出されて泣きじゃくっているような、そういう姿が原形としてあります。
 一個の存在が世の中に向かって露出していて、保護してくれるものがない、
 この世の中に自分の生が露出していて誰も守ってくれないところからくる根源的な寂しさ――それがあの人の文学の中核なのです。
 考えてみれば、人間はみな、本来そういう存在です。
 危険にさらされることも、寂しいことも、それは誰だって望んでいるわけではありません。
 だから、そこから抜け出そうとして人とつながり、家族をこしらえ、社会的な交わりが生まれ、さらには、自分の生存を保証してくれる制度が生まれる。
 文明は何かといえば、生がむき出しになった寄る辺(ベ)ない実存を、束の間、なんとか救い出そうとする仕組み、それを文明と呼んでいるのでしょう。
 だけど、やはり原点には、寂しさを抱えた自分があるということを自覚しておいたほうがいい。」

 氏の発言には重大な指摘があります。
 人間一人一人は本来寄る辺(ベ)ない儚き存在であり、そうした者同士が肩寄せ合わねば生きられないこの世なればこそ、救済の仕組みとして文明はあると言うのです。
 それならば、自然界そのままの弱肉強食の原理を自由競争と言い換えて金科玉条とし、しかも、人間以外のものは決して一個の生きものとしての分を超えないのに、我先に世界中から無限に貪り尽くそうとする人間がつくる現代文明は、そもそも文明という名に値しないのかも知れません。





〈NHK様よりお借りして加工しました。生活程度の違いはいつの世にもありますが、問題は、格差が拡大して貧困者が増え、貧困から抜け出しにくく、貧困が次の世代にも受け嗣がれて行きつつある社会システムにあります〉

 9月25日、NHKテレビの「クローズアップ現代」は「子どもの貧困」と題して、実態調査を発表しました。
 国の発表による子ども(17才以下)の貧困率16.3パーセントの現実はいかなるものか?
 まず、1人当たりの1日の食費は329円。
 バランスのとれた食事を1日に1食も食べられない家庭は8割以上。
 アンケートには「子どもと一つのラーメンを半分にして食べた」「子どもが空腹で眠れない」など想像を絶する回答も。
 昼食や仲間とでかけたおりの買い物など、貧しい子どもの心を萎縮させる場面はどこにでもあります。
 各種NPO法人の活躍はとても現実に追いつきません。
 食べものを配っている法人にお訊ねしてみたら、食の安全上、また、人手の関係上、一般の方々から何でもお引き受けするというわけにはゆかず、メーカーさんなどからの支援物資でやっているとのことです。
 高卒ではたらいている20才の男性がこの番組を観て、自分は夏目漱石著『草枕』の冒頭を実感していると投書しました。
 その冒頭は、よく知られているとおりです。

「山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角(カド)が立つ。
 情(ナサケ)に棹させば流される。
 意地を通せば窮屈だ。
 とかくに人の世は住みにくい。
 住みにくさが高(コウ)じると、安い所へ引き越したくなる。
 どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
 やはり向う三軒両隣(リョウドナリ)にちらちらするただの人である。
 ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。
 あれば人でなしの国へ行くばかりだ。
 人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。」

 詩人にも、画家にもなれない普通の人が、〈向う三軒両隣〉のつながりも消えた空間でどう生きるのか?
 もしかしたら、この男性は、〈人の世〉はすでに〈人でなしの国〉になっていると感じているのではないか?
 胸が冷たくなり、しばらく瞑目してしまいました。

 新しき、弱き、瑞々(ミズミズ)しきものを温かな目で見守り思いやる心は、真の意味での文明を創る核となり、個人的運勢も開くことになることでしょう。
 広い目と心で周囲を眺めてみたいものです。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

消えた因縁 ─心の檻(オリ)から脱した話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

「みやぎシルバーネット」20周年おめでとうございます ─無私の編集長につながる方々─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

平成28年12月の行事予定 ─護摩・書道・寺子屋・お焚きあげ─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 行事・お知らせ ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ