コラム

 公開日: 2014-10-22 

【現代の偉人伝 第198話】 ―『だから日本は世界から尊敬される』を書いたマンリオ・カデロ閣下―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 異国から来た大使が日本人青少年に必読の書を書かれた。
 ここには、忘れられつつある歴史的事実と、それが持つ真実について日本人と共鳴し合わないではいられない1人の外国人の熱い思いが詰まっている。
 その人は駐日サンマリノ共和国全権大使であり、駐日大使の代表「外交団長」でもあるマンリオ・カデロ閣下である。
 平成25年10月10日、宮城県川崎町で閣下の講演会が行われた。
 幹事のお誘いで初めてお目にかかった閣下は、自国に神社まで建てたほどの大変な日本びいきで、夫人の絵里・カデロ氏は居合の達人である。

 最も印象的な言葉は、いかにも悔しいといった感じで言われたひとことだった。 

「私がびっくしりたのは、日本人の大人が神武天皇のことを知らないということです。
 これには参りました」

 また、最も驚いたのは、サンマリノ共和国には軍隊がなく、それでも現存する世界最古の共和国として存立していることだった。

「私は賢い外交的な仲介や決意によって戦争は避けることができるし、平和は不幸な世界に打ち勝ってくれるものと信じています。
 平和や幸福に対しての強い意志があれば、その実現は不可能ではないはずです。
『戦争に勝つ』ことが成功なのではなくて、『戦争を回避する』ことが成功であると思っているのです」

 そして、イタリアの日本大使館は日本人を友人と認めるイタリア人たちが守っているので大丈夫という話には、涙が出そうになった。

「ローマにあるいくつかの大使館では、警察や軍人に守ってもらわなければならないのでもう大変です。
 なぜだと思いますか?
『友だちがいない』からです。
 友だちがいたら、イタリア国民がその国を勝手に守るんです。
 信頼が一番のプロテクションなんです。
 一方、ローマにある日本大使館には警察がついていません。
 どうしてでしょう。
『友だちだから』です。
 フランスの大使館にも警察はいない。
 友だちは財産です。」

 こんな閣下が、悔しさのあまり、私たちがあまり〈知らない〉日本の歴史についてとうとう講義された。
 6月に小学館から発行された『だから日本は世界から尊敬される』は、日本人必読の書である。
 特に力を入れて書いたのが、天正遣欧少年使節の偉業である。

「私が駐日サンマリノ共和国全権大使になった時にとても意識したことがありました。
 それは歴史上において、偉業を達成した日本人外交官たちのことです。
 本来の意味でいえば日本最初のヨーロッパへの大使といってもいいでしょう。
 しかも、独学で言葉を覚え、異国の有力者と渡り合った彼らは、当時10代の少年たちでした。
 彼らのことを日本人であればもっと知ってほしい。」

「アメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスや、シルクロードを旅したマルコ・ポーロなどのことは世界中の人が知っているのに、日本人の中でもあまり知られていません。
 それが残念でなりません。
 彼らが旅立ったときは、まだ、13、14歳の子供だったのです。
 それに対してクリストファー・コロンブスやマルコ・ポーロたちは、船のことも詳しいし、当時の世界情勢の勉強も充分にしていました。
 王様の力をバックにしていましたから、知恵も力もあった。
 もちろん、コロンブスにしてもマルコ・ポーロにしても、素晴らしいガッツがあったからあのような偉業が達成できたわけですが、マンショたちはまだ若い子供だったのだから、偉業という点ではもっと凄かったと思います。
 アジアの視点から考えても、この旅は素晴らしい快挙であり、特筆すべき『事件』です。」

「彼らのことを思うたびに、長年この異文化の国と関わってきた私には、何となく想像がつきます。
 彼らの旅のモチベーションが、理解できるように思うのです。
 私はかつて機会を得て、九州に残るマンショたちのお墓に行きました。
 彼らが生まれた町や、生家の跡地や伝説が残るところまでも足を延ばしました。
 そうすることで、私は、あの時代に彼らがそこに生きた息吹を感じられたような気がしています。」

 閣下は「終わりに」に書かれた。

「本書は、日本がいかに素晴らしい伝統、文化、精神性を持ち、世界から憧憬の眼差しを向けられているかということをもっと日本人に自覚してほしいとの思いから執筆しました。
 特に4章で触れた遣欧少年使節たちのことは、学生の教科書にほんの少しだけ記述がされているだけで、ほとんどの日本人が詳しいことを知りません。
 彼らが400年以上も前に、世界と日本を結ぶ偉業を達成していたことをぜひ、知ってほしい。
 そして、彼らの精神を見習い、自信を失っている日本人に自信を取り戻してもらいたいと思っています。」

 大使は、活躍した少年たちの「お墓参りをしては自分を奮い立たせて」おられるという。

 この本は、大人はもちろん、子供たちにもぜひ、読ませたい。
 ただし、読んだ後で目線を上げるのはいいが、胸を張り過ぎてはいけない。
 人生に光も闇もあるように、人の世にも光と闇があり、国家の行動も同じである。
 世界に〈偉大な国〉などはなく、思い上がる〈尊大な国〉があるに過ぎない。
 思い上がりが他者へ無用な不快感を与え、力を行使すれば他者を苦しめ、思いやりというもっとも大切な心に蓋をし、野蛮になった挙げ句、争いを起こす愚行は市井でも、国際社会でも繰り返されてきた〈愚かしい過程〉である。
 今回、私たちを目覚めさせてくれたのは、イタリアに囲まれ世界で5番目に小さく、人口は約3万人の国を代表する1人の大使である。
 誇りという灯は、胸の中で小さく点し、しっかりと守ればよい。
 他人の心へ点す目的を超えて明るさをひけらかすことは無意味、無意義であり、むしろ有害で非創造的、非文化的であることもまた、子供たちへしっかりと教えておきたい。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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