コラム

 公開日: 2014-11-13 

祈祷と回向について ―三つの封印、三輪清浄など―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 人生相談では、こんな質問がよく、出されます。
「ご祈祷もご供養も同じ祈りに思えますが、どう違うのでしょうか?」

 人は誰でも「よかれ」と願いつつ、生きています。
 遠足へ行く子供はてるてる坊主を吊し、はたらく人は「今日も元気でやれますように」と出勤し、病人は「絶対、治そう」と決意します。
 願いが極まって仏菩薩や神々のお力までも請いたくなる時、それは祈願となり、明確な形をとる祈祷にもなります。
「未熟な私は精いっぱいの努力をします。
 不足なところをどうぞ補っていただき、何としても、よき願いを叶えてくださるよう」

 一方、三回忌供養などの廻向(エコウ)は、文字どおり「回し向ける」ことです。
 何をそうするかと言えば、善根(ゼンコン)です。
 善根とは、〈善き花が咲くための善き根〉であり、具体的には、因果の法則によって将来に必ず善き結果をもたらす原因となる善き行為がもつ善き影響力です。
 たとえば、学校で一生懸命掃除をして先生に誉められ喜ぶ子供が、こうした心で合掌すれば、それは立派な廻向です。
「お祖父ちゃん、私、善いことをして誉められたよ。
 この嬉しい気持をお祖父ちゃんにも分けてあげるね。
 私だけに善いことが起こるのでなく、お祖父ちゃんにもきっと、善いことが起こりますように」

 だから、寺院で行われるご祈祷は、自分や他人によきことが起こり、それが自他のためになって行くことを願う、純粋な未来への祈りです。
 それに対して、廻向は、これまでに行った善行の功徳がなければなりません。
 では、極悪非道な死刑囚には、亡き母親の十三回忌供養を行う資格がないか?
 そんなことはありません。
 優しかった母親を思い出し、「母ちゃん、ごめん……」と自分の罪を深く懺悔するならば、立派な善根が生まれています。
 心の涙、悔いる清浄な心、その思いのすべてを込めて合掌する時、廻向は立派に成立しています。

 ところで、ダライ・ラマ法王は、回向の心として「三つの界による封印」を説かれました。
 それは、回向する自分自身も、回向される御霊も、そして回向の材料となる善根も皆、確固たる実体を持たない空(クウ)なるものであると考え、〈回向したぞ!〉と執着する心を起こさないことが大切であるということです。
 自分は、たまたま身体も心もしっかりはたらいているから今はここにいますが、一瞬後にそうした働きに異変が生じれば、どうなるかわからない存在です。
 前掲のお祖父ちゃんも、母ちゃんも、イメージに浮かぶ実体のない存在です。
 そして、掃除や懺悔の影響力も、信念の世界に生じたものでしかありません。
 こうした空なる世界でまごころの交流は起こり、よき心が育てられているのです。

 なお、誰かのためになることを無心で行う布施(フセ)行にも「三輪清浄(サンリンショウジョウ)」が必要です。
 たとえば、ボランティア活動を行う人が「俺はこんなにしてやっているぞ」と、高慢になってはいけません。
 ボランティアで掃除をしてもらっている人が「これしかしてくれないなんて」と、不満に思ってはなりません。
 もちろん、掃除そのものが、いい加減では問題外です。
 寺院ならば、お布施を差し出す方の心も、受ける僧侶の心も、受け渡される金品や労力などもすべて、強制や損得勘定などを離れたまごころの世界でのやりとりでなければなりません。

 祈祷も、廻向も、よりしっかりと人の道を歩むための善き心を育て、自他を明るい方向へと導く方法です。
 おりにふれて、み仏の前に、御霊の前にぬかづき、合掌したいものです。

 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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