コラム

 公開日: 2014-11-16 

共同墓、改宗、マンリオ・カデロ大使のこと

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 最近、こうしたお申し出が相継いでいます。
「今年なくなった親のお骨を今年中に自然へ還したい」
「お骨を家に置いたままで年を越しては申しわけないから、預かって欲しい」
 そして、共同墓へ納骨をしたり、安骨堂へお骨を預かったりされます。

 その際に、よく出る質問があります。
「真言宗に改宗しなければなりませんか?」
「家にあるご本尊様はそのままで、法楽寺の宗教に改宗できますか?」

 当山では、こちらから改宗をお勧めすることはありません。
 それぞれの宗教にはそれぞれの存在理由があり、信じている方々にもそうなった理由や、そうして安心を得られる理由があってこそ、ここまでこられたからです。
 また、人それぞれ特定の名前を持ち、千差万別にしか存在できないように、心のありようやはたらき方も又、千差万別であり、因縁のつながりによって仮そめに存在し、時々刻々と変化し続けている人間に、「これが唯一絶対である」などという判断はできようはずもないからです。
 だから、基本的にはこう、お応えします。
「当山で行っている法務に納得、共鳴されるのなら、それはありがたいことです。
 しかし、今、お宅でお祀りし、手を合わせているご本尊様はそのままでも、一向に構いません。
 お大日様、お不動様、お地蔵様、観音様、お釈迦様、阿弥陀様と、み仏はのお姿や役割は多様ですが、どなたも、相手を選ぶことなく分け隔てせずにお救いになられるからこそ、み仏なのです。
 自分の好き嫌いや都合や損得などで相手を選ぶのは、私たち凡夫のやり方でしかありません。
 もし、特段の問題がなければ、どうぞ、これまでどおり、家ではそのご本尊様に手を合わせてください。
 どうしても、というご事情があれば、魂抜きの修法を行い、新たにご自身が信じられる方へ魂入れを行います。
 なお、その際に大切なのは、本当に自分が手を合わせたい気持になれるかどうかです。
 ご自身の感覚や感性にピッタリ来る方をお選びになってください。
 四国八十八か所のご本尊様は多種多様です。
 この方が一番、などということはありません。
 まっさらな心で考えていれば、きっと、み仏の方から貴方を選んでくださることでしょう。
 私自身、こうして特定の修行道へ入り、特定のご本尊様をお祀りしている成り行きのすべては、み仏が提示してくださった道をすなおに歩んでいるだけ、という感じがしています」

 とは言え、一般的に、新たな信仰へ入る際に気をつけた方がよい点を三つ、挙げておきましょう。

○自分の心的傾向に合っているかどうか

 仏教は造物主としての神を想定しない宗教ですが、「~だけ」といった形を好む方にとっては、そうした一神教的な宗教が性に合う場合もあるはずです。
 大切なのは、他人へ迷惑をかけない限り〈人それぞれ〉を認め合うことです。
 一つの宗教で国家や地球を地ならししようなどという発想は思い上がりであり、周囲にとって、迷惑でしかありません。

○自分の生活圏にある文化的傾向に合っているかどうか

 たとえば、里山にある部落の人々が皆で氏神様を大切にしている地域に住み込み、神社をないがしろにして一神教的な宗教を周囲へ勧め始める人は、一個人が持つ権利の問題としてどうかという議論より先に、地域の人々が創り守ってきた文化的雰囲気の破壊者となることが、まっとうな人間の行いであるかどうかを謙虚に省みるべきでしょう。
 それはもちろん、内心の信念を周囲へ合わせねばならないということではありません。

 当山では、「これをこう信じなさい」などと個々人の内心へ入り込みません。
 たとえばこんなふうにお話しします。
「どうぞ、ご自身のお心におられる阿弥陀様を大事にしてください。
 そして、ここへ来られて安心できるならば、どうぞ、ご一緒に阿弥陀様の真言をお唱えください。
 気が向けば、般若心経なども唱えたり、護摩の火へ合掌したりしてください。」
 同じように、もしも、氏神様以外の神様を信じるようになった方は、ご自身の心中でそうされればよいだけのことです。
 皆で行う氏神様のお祭にどう関わるか、関わらないかは、常識や良識や感性の問題であると言えましょう。




 サンマリノ共和国特命全権大使マンリオ・カデロ氏は、神道に深い共感を覚え、敬虔なクリスチャンでありながら、カトリック教徒が9割を占める母国へ神社本庁公認神社を建てました。
 一心の信仰、一身の文化的共鳴、そして母国の宗教というパズルを見事に解いて、国家間の友好や文化的交流の大きな礎をつくられました。
 きっと、氏のすばらしい常識や良識や感性や知性が総動員されたに違いありません。
 我を張らず、破壊者にならなくても、一心の信仰は保たれることを肝に銘じておくべきではないでしょうか。

○我を張らない、他者を認める、あるいは互いを思いやるといった宗教の違いを超えた広い心になっているかどうか

 マンリオ・カデロ氏は、著書『だから日本は世界から尊敬される』において、「靖国神社を救ったのはカトリック教会」と指摘しています。

「第二次世界大戦後、GHQ(連合国最高司令部総司令部)内には、靖国神社を軍国主義の象徴と見なし、焼き払った上に跡地をドッグレース場にしようとした動きがあったそうです。」

 司令官マッカーサーに諮問されたローマ教皇庁の臨時駐日代表ブルーノ・ヴィッテル神父は答えました。

「いかなる国も、その国に準じた兵士に対して、敬意を表す権利と義務があり、それは戦勝国、敗戦国問わず平等である。
 もし、アメリカ陸軍が靖国神社を焼却したならば、米陸軍の歴史に永久に消すことのできない汚点を刻むことになるだろう。」

 アメリカン・カトリック教会のパトリック・バーン神父も手紙に書きました。

「国家神道は愛国心の表明以上の何者でもない。
 それはプロテスタントとカトリック、ユダヤの教徒がアーリントンの無名戦士の墓で花輪を添えるようなものだ。」

 そして、マンリオ・カデロ氏は感慨を述べました。

「このような経緯があったことを考えると、クリスチャンである私たちヨーロッパ人がサンマリノに神社本庁公認の神社を建立できることは本当に感慨深いものがります。」

 こうした広い心をつくる宗教にご縁を結んでいただきたいものです。

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

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