コラム

 公開日: 2014-12-02 

お骨とお正月について ―大晦日の祖霊祀りから始まる仏事と神事のお正月―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 ご質問が相継ぎました。

「今年亡くなった人のお骨を家に置いたままで年を越してはいけないのでしょうか?」
「役員が亡くなりましたが、会社でお正月のお祝いをしてはいけないのでしょうか?」

 仏法上、こうしたきまりやタブーがあるわけではありません。
 人の生き死にに関することは、時を選べるものではなく、もちろん、「ご供養して佳い日」や「ご供養してはいけない日」などもありません。
 だから、お骨に関しても、ご遺族様が御霊の思いを忖度し、「まだ、家に置いてあげよう」と思うのなら、そのままでも大丈夫です。
 ただし、お骨をどうするかということは、人としてなすべきことに関する最重要な問題の一つであり、決心がつかないまま事実上〈放っておく〉という状況であるならば、よく考えてみる必要があります。
 新たな年を迎えるにあたって、なすべきことをなし、曇りのない心である方がよいのは言うまでもありません。
 こうした観点から、年内にお骨を当山へ預かったり、あるいは共同墓へ納骨される方々がおられます。
 タブーの問題ではなく、人として、放置せず、一日も早く態度を決めるべきであるという観点からの熟考と判断が求められます。

 役員の死と会社のお正月についても、この時期になると毎年、ご相談があります。
 この件は、〈公と私〉を分ける感覚で判断されれば大丈夫です。
 また、故人がどう望んでおられるか?という観点も必要です。
 そうすれば、おのづから、判断がつくことでしょう。

 さて、お正月については、一つだけ、確認しておきたいことがあります。
 それは、年を越すところからお正月が始まっているという点です。
 古来、日本におけるお正月には、二面がありました。
 祖霊祀りがそのまま、神々の祭りにつながっているのです。
 お盆とお正月は、片や仏事、片や神事という受けとめられ方をしているようですが、本来は両方共、祖霊の祀りに発しており、等しく仏事であり、神事でもあります。
 それは『徒然草』を読んでもわかります。

「亡き人の来る夜とて魂(タマ)まつるわざは、このごろ都にはなきを、東(アヅマ)の方(カタ)には、なほする事にてありしこそ、あはれなりしか。」

(大晦日は、祖霊が訪れる夜なので、御霊祀りを行うことになっているが、最近、都では行われなくなってきている。
 関東方面で今も行われていることは、まことに感慨深いものがある)

 大晦日に訪れてくださる祖霊がそのまま、年神(トシガミ)、歳徳神(トシトクガミ)、あるいはお正月様として神棚に入られるのです。
 この〈仏から神へ〉という感覚は、私たちの心のDNAにしっかりと根付いています。
 そもそも、一日とは夜中の12時を区切とするものではなく、日暮れから翌日の日暮れまででした。
 だからこそ、大晦日の夜に年棚へ燈火を点し、神饌(シンセン…神様へのお供えもの)をお供えして家族がうち揃い、祝いの膳についたのです。
 お正月は大晦日の夜に始まっており、仏として迎えられた御霊が神となって朝を迎える、これが本当のお正月のありようです。
 そして、お雑煮は、さまざまな神饌を下ろして家族がいただくものであり、「お総様(ソナ)え」に発する神饌には精一杯の思いが込められていなければなりません。
 祖霊や年神にさしたるお供えもせず、人だけがごちそうに舌鼓を打つのでは、「仏作って魂入れず」と同じく、形だけで精神的内実の伴わない行事になってしまいます。
 ぜひ、こうした深意に留意しながら、感謝と喜びのお正月をお迎えいただきたいと願っています。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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