コラム

 公開日: 2014-12-12 

ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん ―【現代の偉人伝】第202話―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈朝日新聞様よりお借りして加工しました〉



〈産経新聞様よりお借りして加工しました〉

 史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞したパキスタンのマララ・ユスフザイさんの演説テキストを読んでいて、「ゆかりびとの会」会員Aさんから夏に届いた手紙を思い出し、再読してみた。

 Aさんがミョウガの間引きをしていた時、昔、お子さんが小さかった頃に出くわして恐ろしい思いをしたのと同じ「黄色くて大きな」蜂が飛んできて、「電信柱の様に」じっとしているうちに、Aさんの脳裏に読んだ本が甦った。

 上座部仏教の長老B師が、ヘビの大嫌いな日本人Cさんを連れてスリランカにある道場へ行った時のことである。
 壁面の穴の中にどう猛なヘビが眠っているのを発見したB師は、何食わぬ顔で穴の前に立ち、Cさんから見えないようにして説法を行った。
 ヘビは普段、人間の体温などに反応して飛び出してくる場合もあるが、ずっとおとなしくしていたという。
 B師は知っていた。
「こいつは何もしないし、グーグーと寝ているだけだ」
 しかも、慈悲の実践という修行中であり、ヘビに対しても「可愛い奴だ」という気分があった。
 こうして、自分を怖がらず危害を加えようともしない人間がそばにいるだけでは無闇に攻撃しないというヘビの本性のままに、平和な時間が過ぎた。

 Aさんは書いた。

「自分も、指されてもかまわないと捨て身になって『蜂とは仲良しだ。蜂は我が家の可愛いペットだ』と念じているうちに、鼻先近くまで来てブンブン飛び回っていたのが、気が済んだかのように、無事、他へ行ってしまった。
 その事があって、〝ダライ・ラマ法王〟が武力を持たない事への疑問が解けたような気がした。
 人々が互いに慈悲の心で接し合えば、やがて戦争なんか時代遅れとなる世の中が来るかも、との希望が持てたのだが……。」

 次に、マララ・ユスフザイさんの演説から抜粋しておきたい。

「無償の愛を注いでくれる両親にも感謝したいと思います。
 私の翼を折らずに羽ばたかせてくれた父に感謝します。
 忍耐強くなることを教え、どんな時も真実を話すよう励ましてくれた母に感謝します。
 それがイスラムの真の教えだと強く信じています。」

「私はまた、子どもの権利擁護に長年取り組んできたカイラシュ・サトヤルティとこの賞を分かち合えて光栄に思います。
 彼が取り組んできた時間は、私が生きてきた時間の実に2倍もの長さです。
 私たちが力を合わせ、1人のインド人と1人のパキスタン人が平和的に団結し、子どもの権利のために共に取り組めると世界に示せることもうれしいです。」

「親愛なる兄弟や姉妹たちよ。私の名前はパシュトゥン人のジャンヌ・ダルクである(民族的英雄)マイワンドのマラライにちなんで付けられました。
 マララという言葉は、『悲嘆に暮れた』『悲しい』といった意味です。
 でも、私の祖父は少しでも幸せを呼ぶようにいつも『マララ、この世界で一番幸せな女の子』と呼んでくれました。
 そして本日、重要な目的に向かって私たちは共に立ち上がっており、私は本当に幸せです。」

「この賞は私だけのものではありません。
 教育を求める、忘れ去られた子どもたちのためのものです。
 平和を求める、おびえた子どもたちのためのものです。
 変革を求める、声なき子どもたちのためのものです。」

「私は子どもたちの権利のために立ち上がり、子どもたちに声を上げてもらうためにここにいます。
 今は彼らを哀れむときではありません。
 教育を奪われた子どもを目にするのが最後となるよう行動に移すときなのです。」

「教育は人生の恵みの一つであり、人生に欠かせないものの一つでもあります。
 これは私の人生、17年間の経験で分かったことです。」

「私たちは教育を渇望していました。
 なぜなら私たちの未来はまさに教室にあったからです。」

「物事は同じようには続きませんでした。
 私が10歳の時、風光明媚(めいび)な観光地スワトは、突如としてテロの舞台となりました。
 400以上の学校が破壊され、女の子は学校に通うのを禁じられました。
 女性はむちで打たれ、罪のない人々が殺されました。
 私たちの誰もが苦しみました。
 そして私たちの美しい夢は、悪夢に変わったのです。」

「教育は、権利から犯罪へと変わりました。
 しかし、私の世界が突然変わった時、私の中の優先順位も変わりました。
 私には二つの選択肢がありました。
 一つ目は、沈黙したまま殺されるのを待つこと。
 二つ目は、声を上げて殺されること。
 私は後者を選びました。
 声を上げることにしたのです。
 テロリストは私たちを止めようとし、2012年10月9日に私と私の友達を襲撃しました。
 でも、彼らの銃弾は勝てませんでした。
 私たちは生き延びました。
 そしてその日から、私たちの声はより大きくなる一方でした。」

「私はハイヒールの高さを加えても身長約157センチです。
 1人の少女、1人の人間としてここにいますが、1人で声を上げているわけではありません。
 私は大勢(の代弁者)なのです。
 私はシャジアです。
 私はカイナト・リアズです。
 私はカイナト・ソムロです。
 私はメゾンです。
 私はアミナです。私は学校に行けない6600万人の少女なのです。
 人々はよく私に、どうして教育が特に女の子にとって重要なのか尋ねます。
 私の答えはいつも同じです。
 私が(イスラム教の聖典である)コーランの最初の2章から学んだのはイクラという言葉で、『読みなさい』という意味です。そして『ペンによって』という意味のヌーン・ワルカラム。」

「国連で昨年お話しした通り『1人の子ども、1人の教師、1本のペン、そして1冊の本が世界を変えられる』のです。」

「実際、第1次世界大戦から1世紀が過ぎた2014年ですが、100年前に何百万もの命を失った際の教訓を私たちが十分学んでいないことをあらためて思い知らされています。」

「何十万もの罪のない人々が命を失う紛争が今もあります。
 シリアやガザ、イラクでは多くの家族が難民となっています。
 ナイジェリア北部ではいまだに学校に行く自由のない女の子たちがいます。
 パキスタンとアフガニスタンでは、自爆攻撃や爆弾で罪なき人々が殺されています。」
 アフリカでは、多くの子どもたちが貧困のため学校に行けません。
 インドとパキスタンでは、多くの子どもたちが社会的なタブーのために教育の権利を奪われたり、児童労働を強制されたりしており、少女が児童婚を強いられたりもしています。」

「私と同い年のとても仲の良い級友の1人は、勇敢で自信に満ちた少女で、医者になることを夢見ていました。
 しかし、彼女の夢は夢のままで終わりました。
 12歳で結婚させられ、彼女自身がまだ子どもだった時に息子を産みました。
 わずか14歳の時です。
 彼女はとても良い医者になっただろうと思います。
 でも、それはかないませんでした。
 彼女が女の子だったからです。
 彼女の話こそ、私がノーベル賞の賞金をマララ基金に託す理由です。
 世界中の女の子たちに質の高い教育を与える手助けをし、指導者たちに私やメゾンやアミナのような女の子を支援するよう呼び掛けるためです。
 この資金は最初に、私の心のよりどころであるパキスタン、特に私の故郷スワトとシャングラでの学校建設のために使われます。」

「私の村では、いまだに女の子が通える中学校がありません。
 友達が教育を受け、夢をかなえるための機会を得られる学校を建てたい。
 私はそこから始めます。
 でも、それでおしまいではありません。
 全ての子どもたちが学校に行くのを見届けるまで、私は闘い続けます。
 銃撃されて死線をくぐり抜けた後、私はより強くなったと感じます。
 誰も私を、あるいは私たちを止められないと分かったからです。
 今や私たちは何百万人(もの仲間)になり、共に立ち上がっているからです。」

「親愛なる兄弟、姉妹たちよ。
 変革をもたらした偉大な人々、例えば(米公民権運動指導者の)マーチン・ルーサー・キングや(南アフリカで黒人解放闘争を主導した)ネルソン・マンデラ、(貧しい人々の救済に尽くした修道女)マザー・テレサや(ミャンマーの民主化運動指導者)アウン・サン・スー・チーは、かつてこの場に立ちました。
 彼らと同じように、カイラシュ・サトヤルティと私がこれまでしてきたことやこれから取り組むことが、長く続く変革をもたらしてほしいと思います。」

「私の大いなる望みは、児童教育のための闘いをこれで最後にすることです。
 これを解決し、最後にできるよう、皆さんには団結して私たちの取り組みを支持してほしいと思います。
 繰り返しますが、私たちは既に正しい方向に多くの歩みを重ねてきました。
 今こそ飛躍の時です。」

「教育がいかに重要か理解するよう指導者に求める時ではありません。
 彼らは既に知っているのです。
 彼らの子どもたちは良い学校に入っています。
 今こそ行動を起こすよう彼らに求める時です。」

「親愛なる兄弟、姉妹たちよ。
 いわゆる大人の世界は理解するでしょうが、私たち子どもには分かりません。
『強い』といわれる国々は、戦争を起こす上では非常に力強いのに、なぜ平和をもたらす上ではあまりに弱いのか。
 銃を渡すことはとても簡単なのに、なぜ本を与えるのはそれほど大変なのか。
 戦車を造るのは極めて易しいのに、なぜ学校を建てるのはそんなに難しいのか。」

「平等と正義、そして平和をみんなにもたらしましょう。
 政治家や世界の指導者たちだけでなく、全員が貢献する必要があります。
 私も、あなたも。それが私たちの義務なのです。
 だから、立ち止まらず、努力しなければなりません。
 私の仲間である子どもたちに、世界中で立ち上がるよう求めます。
 親愛なる姉妹、兄弟たちよ。
 最後になることを決める最初の世代になりましょう。」

「空っぽの教室、失われた子ども時代、生かされなかった可能性。
 これらを私たちでもう終わりにしましょう。
 少年や少女が子ども時代を工場で過ごすのは、もう終わりにしましょう。
 少女が児童婚を強いられるのは、もう終わりにしましょう。
 純真な子どもが戦争で命を落とすのは、もう終わりにしましょう。
 教室が空っぽのままであり続けるのは、もう終わりにしましょう。
 教育は権利ではなく犯罪だと少女が言われるのは、もう終わりにしましょう。
 子どもが学校に行けない状況は、もう終わりにしましょう。
 終わりにすることを始めましょう。
 私たちで終わりにしましょう。
 今ここで、より良い未来を築きましょう。
 ありがとうございました。」

 Aさんの平和への思いも、マララ・ユスフザイさんの教育への思いも、世界を牛耳る軍事産業や偏狭的教条主義が持つ強大な力の前では、〈蟷螂(トウロウ…カマキリ)の斧(オノ)〉のようなものとしか感じられないかも知れない。
 しかし、祖国チベットは中国軍に蹂躙(ジュウリン…踏みにじられること)されたままでも、ダライ・ラマ法王の思想は世界中の人々の心を動かしつつあり、マーチン・ルーサー・キング、ネルソン・マンデラ、マザー・テレサは世界を変え、アウン・サン・スー・チーもミャンマーの民主化を進めている。
 思い、願い、祈り、行動する人々によって必ず、世界は変わる。
 因果応報は真理であり、善き共業(グウゴウ…社会的な業)の結果として、善き社会が到来しないはずはないからである。
 今から約250年ほど前に活躍した慈雲尊者(ジンソンジャ)は祈った。
「いまだ悪を断じ、善を修せざる者は、願わくは、悪を断じ、善を修せしめん」
 当山でも日々、同じ祈りの文を祈っている。
 自らがそうありたいと願う善男善女と共に。
 何よりもまず、自分から始めたい。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

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TEL:022-346-2106

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