コラム

 公開日: 2014-12-21 

ありがとう、大橋巨泉 ―批判と笑顔を考える―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 12月19日夜、床へ就こうとしたらガンで闘病中の大橋巨泉の姿がテレビで大写しになっており、思わず妻へ「巨泉も死んだの?」と訊いた。
 笑われた。
 一夜限りで復活したクイズ番組『クイズダービー』の司会者として〈現役〉だったのだ。
 観るともなく観ていて、時代の流れを痛感した。
 巨泉が80才になっているという事実ではなく、出演者を〈立てる〉手法があまりに懐かしかったからである。

 ノンフィクション作家吉岡忍氏は、11月15日付の河北新報へ『人おとしめる風潮反映』という一文を寄せた。
 5月20日、吉岡忍は、朝日新聞の一面トップを読んだ。
 原発事故を起こした東京電力福島第一発電所において、所員の9割が所長命令に背き、〈逃げた〉かのような記事である。
 そこに「後味の悪さ」を感じた。

「一つは、この東電関係者の無責任さだ。
 過酷な事故の進行中に現場から撤退してしまったら、被害は何年にもわたって深刻化し、東日本は壊滅するだろう。
 原発事故の、ここが怖いところなのだ。
 なのに原発を動かしてきた大半の関係者が逃げ出すとは、人間の風上にも置けない連中だ。
 記事を読むと、そう思う。
 そう思わせられる書きぶりだった。」

「記事は一見冷静に見えながら、扇情的だった。
 読む者に東電関係者への侮蔑の気持を呼び起こさせるような筆致だった。
 朝日がこう書くのか、と私は思った。
 それが二つ目の後味の悪さだった。」

 そして指摘する。

「一部のネット掲示板やヘイトスピーチを持ち出すまでもなく、近年の議論や主張の荒っぽさには目を覆いたくなる。
 電車内や路上でいきなり怒鳴り散らすご仁もいれば、『見解の相違です』『何が悪いのか』などと開き直る政治家もいる。」

「言いたいことを言ったら、それでおしまいという態度だけはやめてほしいと私は思う。」

 最近、朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」がこの報道について「重大な誤りがあった」と結論づけた。
 それをふまえて締めくくる。

「根本的には、何かを批判するときの流儀の問題があるのではないか。
 相手をおとしめ、罵倒し、否定する。
 世の中にあふれる風潮がすきま風となって新聞にも吹き込んでいないだろうか。
 自戒を含めてだが、関係者には深い自省を促しておきたい。」

 氏の言う〈批判するときの流儀〉は、すでに死語に近いのではないか。
 新聞もテレビも、視聴者の目と耳を惹きつけるべく、より、刺激的、扇情的な場面や言葉や文章を競い合っている。
 論議の場ではいつも、声高で、無遠慮に相手の言葉を遮り、侮蔑する者が幅をきかしていはしないか?
 お笑いは、誰かを忍びがたい立場へ追い込む時、最高潮に達していはしないか?
 他人の居丈高な様子に愚かさを感じない私たちは、不必要なほど、居丈高にならされてはいないか?

 わずか数分しか観なかったが、巨泉は見事なほど、そうした風潮と無縁に屹立していた。
 確かに突っ込みはするが、決して無遠慮ではなく、言葉には、相手を圧倒しようとする空元気でなく、知性の裏付けがあり、結果的に相手から〈引きつった無理な笑い〉ではない親近感や感謝や尊敬すらも含まれる〈本当の笑い〉を引き出した。

 そう言えば、故河合隼夫はこう言っていた。

「一番遡った笑いは『』の天(アマ)の磐戸(イワト)の前の笑いですよ。
 あれはある意味では日本の笑いの原点ですよ。
 あれは全部解放するわけですよね。
 天の磐戸が開く。
 それからアメノウズメが裸になって開く。
 全部開くということに関係して、やっぱり解放っていうことの一つのすごい、われわれの原点になる。
 それがお笑いだとぼくは思いますけれどね。」

 覆われていたものから解放され、無垢の人間性が輝いて、喜びに彩られた真の笑いが生ずる。

 巨泉は、思いやりと、錆びぬウィットでどの相手をも笑顔にした。
 視聴者である私も妻も笑顔になった。
 ありがとう、巨泉。
 多くのマスコミ関係者や芸人たちに、この番組を繰り返し観てもらいたいと思った。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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