コラム

 公開日: 2014-12-22 

「わかげのいたり」と「真剣」について ―日本の女性、万歳!―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈河北新報様よりお借りして加工した「わかげのいたり」〉


〈河北新報様よりお借りして加工した「真剣」〉

12月21日付の河北新報は「西会津国際芸術村公募展2014」の青少年の部において、宮城県宮城野高(仙台市宮城野区)美術科2年の生徒2人の作品が大賞と準大賞に選ばれたことを報じた。

 大賞となったのは、小野寺幸那さん(16才)=宮城野区=のアクリル画「わかげのいたり」である。
 評者は書いた。

「三角すいや円すいの物体を『自我』に見立て、ふとした瞬間、それを不安げに見詰める姿を通して、自我が固まらず揺れ動いている少女の内面を表した。」

 小生はこう観る。
 スカートの股を開きソックスを脱ぐ様子は明らかにセックスする、もしくはしたことを意味しており、左手に持つ筒状のものは男根であろう。
 そして、中に飛ぶ三角錐は処女を失ったおりの痛みであり、心の傷でもあろうが、それはすでに、宙へ浮くほど軽い。
 だから「若気の至り」である。
 ここには、人生の通過儀礼を少々、早く体験してしまったか、というゆとりがある。
 そこはかとなく伴っているはずの罪悪感めいたものは、三角錐と共に飛び去ろうとしている。
 およそ60年前、今回の総選挙で引退した石原慎太郎氏は一橋大学に在学中、『太陽の季節』を発表して第34回芥川賞に選ばれ、世間を驚かせた。
 あそこでは男根が障子を突き破る表現が仰天ものだったが、今や、護身を身上としているはずの女性が堂々と、活き活きと自分を開き、未来の人生へ向かっている。
 いずれも、時代の半歩先を行く芸術の面目躍如である。
 小野寺幸那さんの談話。

「高校生の今しか描けない絵を描きたかった。
 作品が認められて自信になる。」

 準大賞となった阿部汐夏(キヨカ)さん(16才)=石巻市=の日本画「真剣」を観てみよう。
 評者は書いた。

「おにぎりを大切に抱える自分の姿に、食を大切にする思いを投影した」

 小生はこう観る。
 少女は胸のあたりに、〈食らいつかれる〉はずのおにぎりを山ほど抱えている。
 両隣にいる少女たちも同じである。
 そして、おにぎりたちは胸のあたりからどんどんと宙へあふれ出し、舞っている。
 おにぎりに象徴された乳房、そして乳という他者へ〈与える〉ことをいのちとするものが息づき、当人はやや、とまどいながらもそうした性ある者として堂々と、力強く足をふんばっている。
 不安の影をまといながらも、顔はきちんと正面を向き、肩から腰にかけてストンと落ちた線は、ウェストとヒップの凹凸で性を表現する方向と一線を画し、お地蔵様やこけしなどに通じる安定感が醸し出されている。
 決して浮つかぬ性がしっかりと表現されている。
 阿部汐夏さんの談話。

「楽しんで描いた絵が認められ、自信につながる」

 さて、アメリカにあるソニーの子会社「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント」が製作した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画『ザ・インタビュー』に関し、大騒動が持ちあがっている。
 映画は公開中止となり、北朝鮮当局が行ったとされるサイバー攻撃や強迫に対し、アメリカは報復を宣言した。
 また、製作費用として4200万ドル(約50億円)が投じられており、広告宣伝費も含めれば、損失は莫大なものになりかねないという。
 かつて、アメリカがイラクのフセイン大統領を捕らえた際、口を開けさせて歯形を調べる写真が公開された。
 侮蔑に満ちたおぞましい写真を見た瞬間、アメリカはイスラム世界に対して千年の怨みを生じさせたと暗澹たる気持になった。
 今回の『ザ・インタビュー』も同じく、北朝鮮側に不要の攻撃的姿勢をもたらし、北朝鮮とアメリカ、そして日本の関係を一気に悪化させた。
 一企業の不用意な商売が、とてつもない混乱をもたらした。
 儲けに目がくらむとはこのことである。
 文化や国情の異なる相手を見下し、心理的に貶めるという悪を犯してまで利を得ようとする事態は、本来の日本企業の体質とはあまりに異なっている。
 お金には国境も文化も善悪もない。
 だから、お金が主人公の世の中になれば、人間間でも国家間でも倫理は崩壊へ向かい、正義は限りなく相対化されて力を失う。
 倫理なき世界では対立と憎悪と争いが膨れ上がり、そうした暴流にあって叫ばれる「表現の自由」は、あまりにも虚しい。

 ソニーの問題を持ち出したのは、公募展の記事を書いた評者の姿勢に一定の〈歯止め〉がかかっており、作品を書いた高校生たちの世界へ対する慎重で思いやりのある姿勢が感じられたからである。
 日本文化の慎ましさや、マスコミの良識が感じられたからである。
 少々、突っこんだ乱文を書いたのは、二つの作品が持つ大きな価値を指摘しないではいられないからであり、このおせっかいな行為はきっと、誰をも傷つけないであろうと思えたからである。
 古い時代を生きてきた者のささやかな応援歌が若い世代へ届けば嬉しい。
 女性たちは、お上が振る旗と関係なく、大活躍をしている。
 嬉しい。
 この喜びを共有したい。

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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