コラム

 公開日: 2015-01-02 

仏法は仏法を生きる人によって広まる ―今月の聖語─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 お大師様の言葉です。

「法は人によって弘(ヒロ)まり人は法を待って昇る
 人法(ニンポウ)一体にして別異(ベッチ)なることを得ず」

(仏法は人の力によって広まり、人は仏法によって向上する。
 人と仏法は一体であり、別れ、異なることはない)

 仏法は自然に広まるものではありません。
 接し、調べ、学び、納得し、実践を伴いつつ確信に至った人が、仏法に関する情報を他人へ渡すことによって広まります。
 仏教には埋蔵経と呼ばれる経典があります。
 経典を目にし、読み、理解し、修法する能力がある人々の出現までずっと〈時〉を待ち、自然の中や寺院の奥深くで埋蔵されたままになっている経典です。
 菊池寛は『十住心論 ―弘法大師とその宗教―』に埋蔵経発見の場面を書きました。

「延暦十二年、二十二歳にして大僧となった弘法大師は、東大寺の大仏寶前に額(ヌカ)づき、大誓願を発して一心に祈念をこらすのであった。
『吾れ仏法に従って常に要を求尋するに、三乗五乗十二部経、心神に疑いあって未だ決をなさず、唯だ願わくは三世十方(サンゼジッポウ)の諸仏、我に不二(フニ)を示したまへ』
 仏教の有らゆる経典を尋ねても、自分の疑念を解消するに足るものを見ない。
 更に不二の妙法、すなわち唯一最勝の経法をお示しくださいと、三世の諸仏に熱求したのである。」

「忘我的三昧(サンマイ)境に在っての熱求、仰ぎ見る壇上の盧舎那佛(ルシャナブツ)の慈眼と、大師の視線とが、霊光交参して不可思議な啓示に触れたであろう情景が、そぞろに想見せられる。
 果然、此の時弘法大師は、声なき声を心の耳にハッキリと聴いた。
『此に経あり、名字は大盧舎那経(ダイビルシャナキョウ)といふ。
 是れ乃(ナンジ)が求むる所なり。』」

「大師はまた大きな懐疑のために煩悶(ハンモン)の独り旅に出た。
 大和国高市郡久米寺(クメデラ)を訪れた時のことである。
 寺僧から偶然な暗示を得た。
『なに?
 天竺(テンジク…インド)の三蔵(サンゾウ)が伝来した御経とな。
 してそれは何処に……。』
 大師は血相をかへて詰めよった。
 寺僧は東塔を指して
『あれ、あの金堂の屋根越しに見える塔の下でござりまする』
といひながら、夕日に光る塔へと案内してくれた。
 塔の中に入った寺僧は、床下から古ぼけた箱を持ち出した。
『これでござりまする。
 神亀(ジンキ)五年のころ、天竺の善無為(ゼンムイ)三蔵法師が、唐から日本へ渡ったとき持って来られた御経じゃとの申し伝へでござりまする』
 弘法大師は、躍る胸を静めて瞑目祈願し、紐を説いてじっと視入った経巻の経題、それは明らかに『大盧舎那経』とよめた。
 大師は『あッ』と驚喜の声を放ったのみで、つづく言葉もなく、ただ歓喜の涙に咽(ムセ)んだとある。
 心魂を打ち込んだ希求と労苦が、ここに報いられた。
 その感激はどんなであったらう。」

 お大師様は、巡り会った経典に取り組みましたが、伝授を受けない限り読み解けず、修法もできないことを知り、唐へ渡る決心をされました。
 そして完ぺきに伝授を受け、私たちへ伝えられたのが、現在、密教の根本経典となり、曼荼羅(マンダラ)の根拠となっている『大日経(ダイニチキョウ)』です。

 こうして、仏法は人によって広まります。
 先人方の熱意と信心によって伝えられた経典は人類の宝ものです。
 ただし、仏法においては、菩薩として生きることがすなわち弘法(コウボウ…布教)の根本であり、法の力と人格の影響力によっておのずから広まるのを待ちます。
 他人様が信じる宗教と争い、それをやめさせるなどという他人様の信心の破壊は行いません。
 他人様の心の安寧を崩さぬことは、菩薩としての基本だからです。
 仏教には、政治力やモノ金の力や武力を用いてローラーをかけるように改宗させるといったやり方はありません。
 ここはきちんとふまえた仏教徒でありたいものです。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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