コラム

 公開日: 2015-01-05 

真智の開発をめざして(その13) ─僧侶には二種類ある─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈今年も高橋香温先生の書道教室が始まりました〉




〈今年も信者さん方のご唱和をいただき、例祭が始まりました〉

 当山では、修法の初めに唄うようなお経を唱える場合があります。
 声明(ショウミョウ)というもので、まず、道場を守護してくださる五智如来(ゴチニョライ)様をお讃えします。
 すると、東から、南から、西から、北から、そして天地から、み仏の光がありありと射してきます。
 この感得がなければ、行者の祈りは先へ進めません。
 ご祈祷も、ご加持(カジ)も、ご葬儀も、ご供養も、み仏の光に包まれ、重ねて結界(ケッカイ)された清浄な場において行われます。
 多くの方々から、「何か違う感じがしました」「初めての体験をしました」といったご感想をいただくのは、〈場〉が異次元と重なっているからだと考えています。

 五智如来のお智慧の内容を、私たちにわかりやすく説かれたのが「優しさ・厳しさ・正しさ・優雅さ・尊さ」という教えです。
 私たちの心にある仏心がきちんとはたらけば、私たちの心からもみ仏の光が発せられ、妄知(モウチ…おかげさまと心の底から思えない惑った心)も邪知(ジャチ…万事を我がためとするよこしまな心)も消え失せます。

 さて、「正しさ」は、五つの恩を深く想う時に実現されます。
 それは、国家社会の恩、親とご先祖様の恩、人間や生きとし生けるものの恩、師や教え導いてくださる方の恩、仏法僧(ブッポウソウ)の恩です。
 今回は、たまたまご質問があったので、「仏法僧の恩」を考えてみましょう。

 中年のAさんから発せられた厳しい質問は、こうしたものでした。
「なぜ、出家したはずのお坊さんが酒を飲んで醜態をさらしたり、女性問題を起こしたり、ケンカしたり、高圧的な態度をとったり、お金儲けに走ったりするのでしょうか?
 これでは世間の我々と何ら変わらないではないですか。
 それでいながら、『仏教徒とは仏法僧を敬う人だ』なんて言われても、納得できません」

 真摯なAさんは、遠慮がちに、しかしきっぱりと問われました。
 お答えしながら「仏法僧の恩」について述べてみます。

1 僧侶とは、生きる原理を変えた行者である

 前述の仏法僧とは、「仏」すなわち、悟りの世界にあるみ仏であり、「法」すなわち、み仏が説かれた教えとそのお力であり、「僧」すなわち、「仏」と「法」を信じ、守り、それに合わせて生きる人々です。
 だから、僧侶とは〈み仏の世界の原理〉に合わせて生きようとする人々です。
 では、〈み仏の世界の原理〉と〈娑婆世界の原理〉とはどこが違うか?
 それは、経典を読めばわかります。
 仏教経典は八万四千の法門があると言われているほど幅広いものですが、いずれにも共通している点があります。
 それは、自己中心でないということです。

 いつも法話で申しあげることの一つに、灯明の話があります。
 私たちはなぜ、灯明を点してご本尊様や御霊へ祈りを捧げるのか?
 それは、灯明の明かりに象徴されるみ仏の清浄な心になってご加護を祈ったり、安寧を祈ったりするためです。
 他人と争ったり、誰かを憎んだりする心のままではなりません。
 穢れを離れ、み仏の世界へまっすぐに心を向けるために灯明を点すのです。
 み仏の穢れ無き心とは、自己中心でない心です。
 ありとあらゆるものを救わずにはいられないみ仏には、中心としたい〈自己〉などどこにもありません。
 そもそも、執着心の根元にある自己へのとらわれという空(クウ)の真理から離れた意識が消え去った存在こそ、み仏であり、その清浄な世界へ融け入って行くのが、あの世における御霊の道行きです。
 私たちが御霊の供養を行うのは、この世で誰かのためになった徳の力を頼りにして、自己中心的につくった悪業(アクゴウ)を滅していただきたいからに他なりません。

 このように、自己中心という心を離れた存在が僧侶です。
 生きる原理を、自己中心から他者を利することに変えた存在が僧侶です。

2 僧侶には出家と在家と二種類がある

 普通、僧侶と言えば出家したプロであると考えられるでしょうが、小生はプロでない在家の信者さんも立派な僧侶であり得ると考えています。
 自己中心から離れ、〈み仏の世界の原理〉に従った行動によって敬われるべき方々は無数におられます。
 一方では、Aさんのご質問にあるとおり、出家したはずのプロがあるまじき行動をとるケースがまま、あります。
 お釈迦様は明確に説かれています。
「頭を剃り、衣をまとえば修行者になるのではなく、心が修行者になっていなければならない」
 仏法は私たちがまっとうに生きる道を説くものであり、現代ではそうした存在すなわち菩薩(ボサツ)になるための方法が6つにまとめられています。

・他のためになる
・良心の命ずる戒めを守る
・何ごとにも耐え、道を誤らない
・始めたことはやり遂げる
・よき目的を達成するために心身の調整を怠らない
・自己中心を離れ空(クウ)を悟る

 こうしたことごとを実践しキラリと光る言葉や行動を見せる方々は、ここにも、あそこにも、遙かな異国にもおられます。
 そうした方々は少なくとも〈その時〉は立派な僧侶になっていると言えます。
 まぎれもなく、仏法僧という三宝の一つとして敬われるべき存在です。
 また、そのように人の道を歩む人を敬う素直な心のある人こそ、仏教徒であるとも言えます。
 なぜならば、Aさんの質問にあったとおり、仏教徒の定義とは「仏法僧を敬う人」だからです。

 お大師様は説かれました。
「悟りへ向かう道には二つある。
 一つは、出家してみ仏へお仕えする道。
 もう一つは、寺院を守る道である」
 寺院は一切、営利活動を行いません。
 それなのに寺院が出家者によって保たれるのは、み仏と出家者のためにさまざまな形でお布施をしてくださる信者の方々がおられるからです。
 野菜を売ったり、運転手をしたり、先生をしたりしながら、信じる寺院へ、お金やモノや労力や思いを届けてくださる方々がおられるからです。
 寺院が存続し仏法が廃れないために必要な人として、出家者も信者の方々もまったく平等です。

 こうした理由から、当山では、出家したプロがみ仏と法と信者の方々を守る僧侶なら、在家の信者の方々もまた、み仏と法と出家者を守る僧侶であると考えています。

3 出家であれ、在家であれ、み仏と法と僧侶を敬い、信じ、その世界へ合わせて生きれば等しく救われる

 Aさんの疑問に対しては、形は出家して僧侶となったものの、〈み仏の世界の原理〉に自分を合わせきれない僧侶もいることをお詫びするしかありません。
 こういう小生も決して合わせきれてはいないので、お気づきの点はご指摘いただき、何とかお見守りいただきたいと申しあげるしかありません。
 そして、たとえ未熟な僧侶がいても、仏法僧が敬われ、守られてこそ、私たちが自己中心ばかりでなくまっとうに生き、この世が少しでもみ仏の世界へと変わって行ける可能性を保てるということをお考えいただきたいと思います。
 以上が、「正しく」生きる道の一つとして「仏法僧の恩を忘れない」と説かれている内容です。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ