コラム

 公開日: 2015-02-08 

真智の開発をめざして(その15) ─人も自然も師である─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈家具職人増野繁治師が今年最初に作った作品です〉


〈師は、「形はすべて過去にあった」と言われます〉


〈いかなる美女の脚線美もかなわないのでは……〉




〈藤原正彦師は何者にも阿(オモネ)ません〉

 五智如来のお智慧の内容を、私たちにわかりやすく説かれたのが「優しさ・厳しさ・正しさ・優雅さ・尊さ」という教えです。
 私たちの心にある仏心がきちんとはたらけば、私たちの心からもみ仏の光が発せられ、妄知(モウチ…おかげさまと心の底から思えない惑った心)も邪知(ジャチ…万事を我がためとするよこしまな心)も消え失せます。

 さて、「正しさ」は、五つの恩を深く想う時に実現されます。
 それは、国家社会の恩、親とご先祖様の恩、人間や生きとし生けるものの恩、師や教え導いてくださる方の恩、仏法僧(ブッポウソウ)の恩です。
 今回は、「師の恩」について考えてみましょう。

1 世間的な師

 人は、人によって、人として育てられなければ、霊性を持った人として成長することはできません。
 今から約100年前、インドのジャングルで精神障害を持った二人の少女が発見され、保護されましたが、ついに人になりきることができないまま、若くして亡くなりました。
 人は実に、人の〈間〉にあってこそ、人間になれるのでしょう。
 そうした意味では、この世に生まれた私たちにとって、人間以上の師はありません。
 まず、乳を与え、世話をする母親と、母子を守る父親との庇護によって最も不安定な生後を乗り切り、その間に言葉を含む文化という空気に慣れます。
 だから人生で最初の師は、両親です。
 特に、言葉を教えられ、ふるまい方の基礎を身につけることが決定的に重要です。
 次の段階では、学校教育が行われ、教師が文字どおりの師となります。
 最近、政府や産業界を挙げて「英語ができなければ世界で通用しませんよ」と宣伝していますが、実際に小学生や中学生に接している身としては、強い疑問を持っています。
 数学者藤原正彦氏が週刊新潮の2月5日号へ「グローバル人材という幻想」を寄稿しています。
 アメリカ留学の体験者であり世界的に通用する数学者である氏がなぜ「一に国語、二に国語、三四がなくて五に算数」と強調してやまないのか、私たちは自分の頭でよく考えてみたいものです。

「我が国の学問水準の高さは、日本語で学習し研究できるという土壌によるものであり、日本語という言語の素晴らしさと深く結びついている。」

「元外交官のO氏は私に『外交交渉』において勝負は結局のところ『教養と人間的魅力』と言った。
 要するに、国際的に活躍するには、話す言葉ではなく話す内容である。」

「学校教育で英語に狂奔することの恐ろしさは、英語教育と人間の内容を充実させることとの両立が限られた授業時間内で難しい点にある。
 とりわけ小学校からの英語は罪が深い。
 日本人としての自覚、人間としての情緒、日本語による論理的思考などを育てる時期だからだ。」

 いささか、脱線しましたが、ふるまい方や言葉を体得し、先輩や上司や、各方面における師の導きによって私たちは一生、成長し続けます。
 勝れた人は真似をしたい教師となり、愚かな人はああなりたくないという反面教師になり、広い意味ではあらゆる人間が師であると言えます。

 また、謙虚な心で生きていれば、自然も生きものも、すべてが師となり得ます。
 かつて、托鉢修行に精を出していた頃、出会ったヘビに金縛りの法をかけたことがありました。
 真夏の灼けた石積みの間でじっとこちらを向いたまま動かなくなったヘビの忍耐強さには感心しました。
 あちこちの墓地で開眼供養や納骨の修法を行う時、光明真言法を結び大日如来の真言をお唱えするあたりで必ずと言ってよいほど、陽光が射してきます。
 お大師様の「修法は天地へ通じ、仏界へ通じる」という教えが真実であることを、おりおりに経験させていただき、感謝しつつ日々、法務を行っています。

 このように、人も生きものも自然も、師として私たちを24時間、導いてくださいます。
 何とありがたいことでしょうか。
 次回は、この世で私たちの師となってくださる守本尊様について記します。

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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