コラム

 公開日: 2015-02-19 

火葬炉の火は熱くない ─東北関東大震災・被災の記(第161回)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈塩釜市在住の隠形流居合行者藁科昇氏が被災地を撮影しました。3月1日の供養会で会場に流れます〉

 東日本大震災で妻を津波に呑まれ、仮設住宅暮らしを続けていたAさんが亡くなられたとの一報が入り、海岸の町へでかけた。
 生きものの気配が絶えた荒れ地、あばら骨のように寒風を受けている鉄骨の枠組み、工事中の歩道や側溝、現場を行き来する車両、雰囲気は一年前とあまり変わっていない。
 安置された和室へ入ると、あの時、ご遺体が見つからないままのご葬儀で背筋をピンと伸ばし、視線に揺るぎのなかったAさんは今、遺影から同じ視線を投げかけてくる。
 父親をずっと守ってきた息子さんと嫁いだ娘さん方と三人だけで静かにお送りするという。
 あいにく予定がたてこんでおり、斎場まで同行できない小生は、斎場における炉前での修法も会館で行うしかない。
 修法後、三人へご説明申しあげた。

「残念ながらこの先、ご一緒できませんが、斎場で行う分もきちんと法を結びましたのでご安心ください。
 導師が炉の前で何を行うかと言えば〈解き放ち〉です。
 無明(ムミョウ)の離散と執着心からの解放をもたらす修法を行わなければ、炉前でのお焼香は単なるお別れの儀式でしかありません。
 この法を結ぶことにより、故人は肉体を失う苦から離れ、ご遺族も恩愛による執着心を克服できるのです。
 そうでなければ、御霊はこの世へ思いを残して成仏できず、ご遺族もまた、喪失感からなかなか抜け出せないかも知れません。
 私は、『炉の火は熱くない』と信じてお不動様へおすがりしています。
 炉の火はきっと熱くないのです。
 それは、ご葬儀で引導を渡され、御霊が肉体から明白に切り離されたことに加え、炉中に現れるお不動様に導かれるからです。
 火葬が引導より先になっても同じことです。
 二重の修法により、み仏の世界へ向かう足どりは確かなものになります。
 大日如来の使者であるお不動様が身にまとう猛火は、あらゆる迷いを解き放つ智慧の炎です。
 故人は、炉の火によってこの世で拠り所としていた肉体を天地自然へお還しすると共に、お不動様の火によって苦の元である執着心から離れさせていただけるのです。
 だから、今、お不動様の法を結んだ以上、故人にとって炉の火は熱くありません。
 どうぞ、ご安心の上、お送りください。
 もしも、皆さんが何か心の中でお唱えしたい場合は、どちらかの御宝号(ゴホウゴウ)お唱えください。
 南無転迷開悟不動明王。
 なむ てんめい かいご ふどうみょうおう。
 もしくは、南無大師遍照金剛。
 なむ だいし へんじょうこんごう。
 お不動様の修法はお大師様によって日本へもたらされました。
 お唱えする御宝号(ゴホウゴウ)はきっと、故人を安心の世界へお送りする力になると共に、皆さんご自身の執着心も薄れさせ、別れの苦しみから離れる力にもなることでしょう。
 ご一緒にお唱えしましょう。
 なむ てんめい かいご ふどうみょうおう。
 なむ てんめい かいご ふどうみょうおう。
 なむ てんめい かいご ふどうみょうおう。
 なむ だいし へんじょうこんごう。
 なむ だいし へんじょうこんごう。
 なむ だいし へんじょうこんごう」

 心の交流が細やかであればあるほど、執着心もまた、強い。
 二つの御宝号はきっと、大きな〈解き放ち〉となることだろう。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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