コラム

 公開日: 2015-03-04 

建国記念日のいわれを説いた岩原豊起校長と聖徳太子の十七条憲法(その2)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 日本が古来、いかなる国家像を目ざしてきたか、約1400年前に聖徳太子が作られた『十七条憲法』から抜粋、参照しておきたい。

「一に曰(イ)わく、和を以(モ)って貴しとなし、忤(サカラ)うこと無きを宗(ムネ)とせよ。
 人みな党あり、また達(サト)れるもの少なし。
 ここをもって、あるいは君父(クンプ)に順(シタガ)わず、また隣里(リンリ)に違(たが)う。
 しかれども、上(カミ)和(ヤワラ)ぎ下(シモ)睦(ムツ)びて、事を論(アゲツラ)うに諧(カナ)うときは、すなわち事理おのずから通ず。
 何事か成らざらん。」

(一に言う、和をなによりも貴び、諍いを起こさぬことを根本とせよ。
 人はすぐに群れて流され、ものの道理をわかった人格者は少ない。
 だから、君主や父親に逆らい、近隣の人々とぶつかったりする。
 しかし、上に立つ者が権力的にならず人々と和(ナゴ)み、下の者が仲良く睦み合い、ものごとを論議するならば、道理に合った皆が納得できる結果を得られよう。
 こうすれば、何ごとも、最もよい形で成就するであろう) 

「六に曰(イ)わく、悪を懲(コラ)し善を勧(スス)むるは、古(イニシエ)の良き典(ノリ)なり。
 ここをもって人の善を匿(カク)すことなく、悪を見ては必ず匡(タダ)せ。
 それ諂(ヘツラ)い詐(アザム)く者は、則ち国家を覆(クツガエ)す利器(りき)たり、人民を絶つ鋒剣(ホウケン)たり。
 また佞(カタマ)しく媚(コ)ぶる者は、上(カミ)に対しては則ち好んで下(シモ)の過(アヤマチ)を説き、下(シモ)に逢(ア)いては則ち上の失(アヤマチ)を誹謗(ソシ)る。
 それかくの如(ゴト)きの人は、みな君に忠なく、民に仁(ジン)なし。
 これ大乱の本(モト)なり。」

(六に言う、悪を懲らしめ、善を勧めるのは、古来からの良きしきたりである。
 だから、善行は明らかに認め、悪行は必ず正さねばならない。
 へつらい、あざむく者は、国家を危うくする武器であり、国民を滅ぼす鋭利な剣のようなものである。
 また、すなおでなく媚びへつらう者は、上の者へ下の者のあやまちを告げ口し、下の者へは上の者の失敗を誹謗する。
 こうした人々は君主への忠心に欠け、国民への思いやりもない。
 これは国家に大乱が起こるきっかけとなる)

「十に曰わく、忿(ココロノイカリ)を絶ち瞋(オモテノイカリ)を棄(ス)て、人の違(タガ)うを怒らざれ。
 人みな心あり、心おのおの執(ト)るところあり。
 彼是(ゼ)とすれば則ちわれは非とす。
 われ是とすれば則ち彼は非とす。
 われ必ず聖なるにあらず。
 彼必ず愚なるにあらず。
 共にこれ凡夫(ボンプ)のみ。
 是非の理(コトワリ)なんぞよく定むべき。
 相共に賢愚なること鐶(ミミガネ)の端(ハシ)なきがごとし。
 ここをもって、かの人瞋(イカ)ると雖(イエド)も、かえってわが失(アヤマチ)を恐れよ。
 われ独(ヒト)り得たりと雖(イエド)も、衆に従いて同じく挙(オコナ)え。」

(十に言う、心中の怒りを経ち、怒りを表面に出さぬようにし、他人が自分と異なる言動を行っても怒ってはならない。
 人にはそれぞれ異なった心があり、それぞれに思い定めるものがある。
 相手がよいと思っても、自分はよくないと思う場合がある。
 自分がよいと思っても、相手はよくないと思う場合がある。
 自分が必ずしも正しいことを知っている聖人ではない。
 相手が必ずしも正しいことを知らぬ愚か者でもない。
 自分も相手も、誰しもが共に、欠点を持つ凡人同士である。
 是非善悪の理路をいつも決められる聖人は誰もいない。
 誰もが、時には正しく、時には過ち、それは、机や箪笥の取っ手が輪になっていて、端はないようなものである。
 だから、誰かが怒っていたならば、それに対して自分も憤らず、自分に過ちがないかどうか省みよ。
 自分だけが真理真実をつかんだと思えても、独り善がりにならず、人々の意見や判断に従って行動せよ)

「十四に曰(イ)わく、群臣百寮(ヒャクリョウ)、嫉妬あることなかれ。
 われすでに人を嫉(ネタ)めば、人またわれを嫉む。
 嫉妬の患(ワズライ)その極(キワマリ)を知らず。
 ゆえに、智(チ)おのれに勝(マサ)るときは則ち悦(ヨロコ)ばず、才おのれに優(マサ)るときは則ち嫉妬(ネタ)む。
 ここをもって、五百(イオトセ)にしていまし賢に遇(ア)うとも、千載(センザイ)にしてもってひとりの聖(ヒジリ)を待つこと難(カタ)し。
 それ賢聖を得ざれば、何をもってか国を治めん。」

(十四に言う、官吏たちはすべて、嫉妬心を持ってはならない。
 自分が誰かを妬めば、相手もまた、自分を妬む。
 嫉妬がもたらす憂いや災厄は果てしない。
 だから、自分より智慧ある者に対してはすなおに認め喜ばず、自分より才能がある者に対しては嫉妬する。
 これでは、500年経とうと賢者に巡り会えず、1000年経とうと、たった一人の聖人の出現も望めない。
 賢者や聖人がいなければ国家を治める人材はなく、まともな統治はできない)

「十五に曰(イ)わく、私に背(ソム)きて公(オオヤケ)に向うは、これ臣の道なり。
 およそ人、私あれば必ず恨(ウラミ)あり、憾(ウラミ)あれば必ず同(トトノオ)らず。
 同(トトノオ)らざれば則ち私をもって公を妨ぐ。
 憾(ウラミ)起こるときは則ち制に違(タガ)い法を害(アオコナ)う。
 故に、初めの章に云(イ)わく、上下和諧(ワカイ)せよ。
 それまたこの情(ココロ)なるか。」

(十五に言う、私心を捨てて公務に向かうのが公僕たる者の道である。
 およそ、人は私心ある時に怨みが生じ、怨みがあれば心を一つにした公務は果たせない。
 心を一つにした公務が行われなければ、私心による害悪が公務を妨害する。
 怨みがあれば制度に従わず、法律を破る行いも生ずる。
 だから、第一条で、上下共に和を尊ぶべしと説いた。
 和を説いた理由はここにある)

「十七に曰(イ)わく、それ事(コト)は独(ヒト)り断(サダ)むべからず。
 必ず衆とともによろしく論(アゲツラ)うべし。
 少事はこれ軽(カロ)し。
 必ずしも衆とすべからず。
 ただ大事を論うに逮(オヨ)びては、もしは失(アヤマチ)あらんことを疑う。
 故(ユエ)に、衆とともに相弁(アイワキマウ)うるときは、辞(コトバ)すなわち理(コトワリ)を得ん。」

(ものごとを独断で行ってはならない。
 必ず、皆でよく議論をすべきである。
 些細なことならば、必ずしも議論を重ねずともよい。
 しかし、大事を決める際には、自分を過信せず、過つかも知れぬと怖れ、慎重になれねばならない。
 だから、独断を避け、皆でよく議論を進め、道理に合った結論を得るようにせなばならない)

 こうして読んでみると、憲法の精神には納得の連続である。
 しかるに……。

 和を尊んでいるか?
 善行と悪行がきちんと分けられているか?
 いきり立ち、自分だけが正しいという思いこみにとらわれてはいないか?
 嫉妬心につかまってはいないか?
 公私の別は大丈夫か?
 大事を行う際に公平な議論を重ねているか?

 現在の政治状況がどうであるかということではなく、聖徳太子の心が今なお、私たちの心へ響いてくることを確認しておきたい。

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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