コラム

 公開日: 2015-03-14 

科学に期待し、科学を怖れる ―線虫・エンケラドス・中国の原発―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。


 12日、13日と、立て続けに科学的発見や発表が相次いだ。
 大きな希望と不安をもたらされたできごとについて記しておきたい。 

1 線虫がガンを見つけてくれる話

 現代人が最も怖れる病気の一つがガンであることは論を待たないだろう。
 尤も、ある医師によれば、ガンになると人生の終いがちゃんと見通せ、それなりの準備できるので、いきなり脳卒中になったりするのよりは嬉しいと言う。
 さて、3月13日河北新報は、線虫というごく小さな虫を用いたガンの早期発見法について報じた。

「九州大などの研究グループは、体長1ミリの線虫に人間の尿の臭いを嗅がせ、その反応から高い精度でがんの有無を判定できることを突き止め、11日付の米科学誌電子版に発表した。
 費用は検査1回100円から数百円程度、約1時間半で結果が出る。
 日立製作所などと組んで装置の開発を進めており、2019年にも実用化を目指している。
 従来の検査では分からなかった早期がんを発見できる可能性もあり、受診率向上や早期の治療が期待できそうだ。
 グループの広津崇亮助教(神経科学)は『自宅で採った尿1滴を検査機関に送れば、がんを発見できる。医療費の抑制にもつながる』と説明している。」

 そこで、さっそく、九州大学の「PRESS RELEASE」(20 15/03/12 03/12 )を読んでみた。
 以下はそこに記されている効果である。

■効果
 線虫の嗅覚を用いたがん診断テスト(n-nose)は、以下の優れた利点を全て合わせ持った、従来にない画期的な技術です。
①苦痛がない:尿サンプルを解析。必要な尿はわずか1滴!
②簡便:尿の採取に食事などの特別な条件は定めていません。通常の健康診断などで採取した尿を使えます。また医療機関に行く必要がないため、地域間格差もありません。
③早い:診断結果が出るまで約1時間半です。
④安価:1検体あたり数百円で検査できます。機械化されればより安価に。検査システムの立ち上げコストも安価であり、開発途上国での導入も期待できます。
⑤すべてのがんを1度に検出可能:これまでに調べた10数種類のがんについてすべて検出可能でした。その中には早期発見が難しい膵臓がんも含まれています。
⑥早期がんを発見できる:ステージ0、1の早期がんや、従来の検査では見つけられなかったがんについても検出可能でした。
⑦高感度:感度95.8%という結果が得られています。

 なんと素晴らしいことか。
 最近、ご来山されたAさんは二種類のガンに罹ったが、いずれも早期発見により退治して、80才を超えた今なお、四国八十八霊場へでかけたりしておられる。
 Aさんは、それ以外にも腹部大動脈瘤など三度、大きな手術をしているが、意気軒昂である。
「大病をやるたび、元気になっています。
 これまでの無理が昂じて定年後、どっといろいろな不調が押し寄せました。
 でも、一つ始末をつけると胎内のモヤモヤが一つ晴れ、弱った部分を人工物に入れ替えるともう死ぬまでその部品は壊れないし、医者がしっかりやってくれさえすれば、何とかなるものですよ」

 日本ではここ30年ほど、ガンが死因の第一位であり、2人に1人がガンを経験し、3人に1人がガンにより死亡している。
 毎年数兆円に上る治療費は国家財政上も深刻だが、ガン検診受診率はいつも3割ほどである。
 経費も時間もかかり、安い方法は精度に疑問があったりして、受診率はなかなか上がらない。
 しかし、数百円で済み、95パーセントの発見確率があるのなら状況は一変することだろう。
 ありがたいと言うしかない。



〈朝日新聞様よりお借りして加工しました〉

2 土星の衛星「エンケラドス」に生命誕生の条件が発見された話

 3月12日、朝日新聞は「土星衛星、生命が育つ環境 海底の熱水でできた物質確認」と報じた。

「土星の衛星の一つ『エンケラドス』に、生命が生息できる環境が存在する可能性が高いとする研究結果を日米欧チームが発表した。
 探査機の観測などで衛星の地下にある海の底での熱水活動でできた物質を確認した。
 地球の海底で熱水が噴出している場所には多様な微生物が生息し、生命誕生の場の一つと言われ、エンケラドスにも似た場があると考えられるという。
 論文が12日付の英科学誌ネイチャーに掲載される。

 エンケラドスは、直径約500キロ、氷に覆われ、一部から水蒸気が噴き出している。
 研究チームは、米航空宇宙局が1997年に打ち上げた土星探査機『カッシーニ』が、2004~07年に得たエンケラドスからの噴出物のデータを詳しく分析。
 二酸化ケイ素の微粒子(ナノシリカ)が含まれることを突き止めた。
 ナノシリカは、岩石が高温の水に溶けてから急冷するとでき、地球では温泉や海底に湧き出す熱水に含まれる。

 観測成果をもとに、東京大や海洋研究開発機構(JAMSTEC)などが10~13年末にかけてエンケラドスの海を模擬した実験を行い、ここでナノシリカができるには90度以上の熱水が必要だとわかった。

 この結果、地下海には生命が生存のために必要な水や炭素、窒素などの元素だけでなく、熱などのエネルギーもそろい、現在も生命を育める状態があると結論づけた。
 ただ、熱源となるエネルギーは、土星の重力による衛星内部の加熱などが考えられるが、十分に解明できていないという。

 研究チームは、地球以外で生命を育みうる環境の現存を初めて実証した、としており、メンバーの関根康人・東京大准教授は『生命がいる可能性は高く、いなくても生命に近い複雑な有機分子が合成されているのではないか』と話している。(小池竜太)

■生命発見へ一歩

 渡部潤一・国立天文台教授(惑星科学)の話

 宇宙での生命の発見に一歩近づく成果だ。
 これまで、宇宙の生命の存在は、間接的な証拠による想像で語られてきた。
 今回は探査機の観測と実験で、生命が存在する地球の深海に似た条件があることを裏付けた。
 将来、エンケラドスのサンプル採取で、生命の存在に迫る痕跡が見つかるかも知れない。」

 何とも嬉しく胸躍る話である。
 各国が軍事面や衛生面で警戒し合ったり、領土面や産業面で策略が絡み合ったりするかも知れないが、未知の生命との邂逅にあたっては友好・親和を旨としたい。



〈産経新聞様よりお借りして加工しました〉

3 中国が原発の大増産に入った話

 3月12日付の産経新聞によると、日本の原発事故から4年、ついに日本海を挟み、偏西風上風上にある中国が沿岸部での原発増設を再開した。
 この先、当分、日本にとって最大の脅威が増大し続けることになる。

「11日付の中国紙、第一財経日報によると、中国政府は遼寧省大連市で稼働中の紅沿河原発に対し、100万キロワット型原子炉2基の増設計画を認可した。
 2011年3月の東京電力福島第1原発の事故後、中国で新たな原子炉建設が認められたのは初めて。
 火力発電所が一因という大気汚染問題への対応とともに、原発輸出を目指した動きとみられる。

 紅沿河原発はフランスから供与された技術をベースに、中国が国産化したとしている加圧水型軽水炉(PWR)を使用。
 100万キロワット型2基が稼働しており、同2基が建設中。
 これに加えて同2基を増設する計画が今回新たに認可された。

 許認可権をもつ中国国家発展改革委員会は東日本大震災の後、国内ですべての新規原発プロジェクトを見直し、安全管理に関する調査を行ってきた。
 同紙によると、沿岸部に集中している中国の原発は現在18基が稼働。
 さらに28基が建設中という。
 ほかに四川省など内陸部も含む27カ所で原発の新規建設計画がある。

 中国は大気汚染対策や二酸化炭素(CO2)の排出削減をにらみ、今後5年間で3千億元(約5兆8千億円)を投じて原発建設プロジェクトを進める方針。

 一方、11日付の中国証券報によると、PWR型原子炉の中国製「華竜1号」を年内にも英国に輸出する方向で交渉している。
 新たな原子炉の建設認可にカジを切ることで、国産化した原発の技術を内外に示す意図もありそうだ。」





〈産経新聞様よりお借りして加工した現在の福島県浪江町〉

 日本政府はどうするのか?
 脱原発の文明転換を促すメルケル首相(独)の呼びかけにもどこ吹く風で、このまま経済第一で突っ走るのか。
 もしも中国の原発が事故を起こした場合、日本は決して無傷ではあり得ず、事故の規模によっては日本列島が死の島と化す可能性すらある。
 平成26年2月18日、ブログ「東日本大震災 ─東北関東大震災・被災の記(第148回)中国の原発事故に勝る国防上の脅威はない─」へ書いた。

「日本の国防上、最大の脅威は何か?
 中国の原発ではなかろうか。」

「ほとんどが中国東側の海岸や河川沿いにある。
 しかも、この地域は有数の地震地帯である。
 一旦、原発事故が起きれば、偏西風に乗って飛来する放射能の被害は、最近、日本でも警戒が強まっているPM2・5などの比ではない。
 日本全体が避難指定区域になりかねない。
 それは日本の滅亡を意味する。
 こうならないという保証はどこにもないどころか、福島原発の現実と中国の現状(各種管理体制の不備、権力者の資産の海外移転、動乱の予兆、などなど)を考えれば、あまりにも〈現実的な危険〉であると言わざるを得ない。」

「究極的方法が一つだけある。
 原発先進国である日本が原発を放棄し、世界中の国々が原発を許さなくなるよう、粘り強い行動を続けることである。
 千年万年単位で「豊葦原瑞穂(トヨアシハラミズホ)の国」を護るためには、先んじて身を斬る覚悟がなければならない。
 目先の損得を考えたへっぴり腰では、とても勝負にならないほど、相手は強大だ。」

「原発廃絶は、政治論、経済論としては成り立ちにくいだろうが、文明論、国防論としては決して念頭を離れさせられない大問題であり続けるだろうし、原爆を落とされ、原発事故を起こした日本人が決して見失ってはならない大目標であり続けるのではなかろうか。
 これは日本を救うだけでなく、中国をも救い、世界を救う道ではないか。
 今、原発の廃絶をやり始めなければ『遅きに失した』となりかねない。
 もっとも、そう気づいた時はもう、逃れようのない破滅の渦に巻き込まれていることだろうが……。」

 科学は夢を与えるだけでなく、新たな危険も生む。
 科学を用いる〈人の心〉が厳しく問われ、人間も自然の一部であり、これ以上の環境破壊は人類の自殺行為であると激しく警鐘が鳴らされ始めて久しいが、各分野で先端グループにいる日本の現状はどうだろう。
 人心を食(ハ)む無慈悲な資本主義とグローバリズムの中で、私たちは人倫の感覚を失わずに生き続けられるのか? 
 たとえ自然界の小さな線虫に助けられて生き延びようと、人力の抗(アラガ)いきれない原発事故にやられれば、エンケラドスに棲む〈生きもの〉との交感は夢のまた夢でしかない……。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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