コラム

 公開日: 2015-03-16 

原子力と綱渡り ―私たちへ突きつけられた道徳の問題―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈一輪の花が咲く不思議〉

 3月15日付の河北新報は、今を去る55年前の昭和37年、「キューバ危機」のおりに、人間の機転が紙一重で核戦争を避けたと報じた。
 以下、全文を掲載しておきたい。

米軍、誤って核発射命令 ―沖縄部隊 現場判断で回避―

 冷戦下の1962年、米ソが全面戦争の瀬戸際に至ったキューバ危機の際、米軍内でソ連極東地域などを標的とする沖縄のミサイル部隊に核攻撃命令が誤って出され、現場の発射指揮官の判断で発射が回避されていたことが十四日、同部隊の元技師らの証言で分かった。

 キューバ危機で、核戦争寸前の事態が沖縄でもあったことが明らかになったのは初めて。
 ミサイルは、核搭載の地対地巡航ミサイル「メースB」で、62年初めに米国施政下の沖縄に配備された。
 運用した米空軍第873戦術ミサイル中隊の元技師ジョン・ボードン氏(73)=ペンシルベニア州ブレイクスリー=が証言した。
 別の元米兵も取材に応じ、誤った発射命令が出たことを認めた。

 ボードン氏によると、メースBは配備以降、読谷村の発射基地で、同氏らが連日検査して24時間体制で発射命令に備えた。
 62年10月28日未明、嘉手納基地ミサイル運用センターからボードン氏が担当するミサイル4基の発射命令が無線で届いた。

 しかし、4基の標的情報のうち「ソ連向けは一基だけだった」ため、「なぜ関係ない国を巻き込むのか」と疑問の声が上がった。
 別の標的国を同氏は明らかにしていないが、2200キロ超のミサイルの射程から中国とみられる。

 また米軍の五段階の「デフコン(防衛準備態勢)」が1(戦争突入)でなく2(準戦時)のままだった。
 不審に思った発射指揮官が、発射作業を停止させた。
 後に命令は誤りと分かったという。

 誤った命令が出た経緯は不明だが、28日(米東部時間27日)はキューバ上空で米軍偵察機が撃墜され、緊張が最も高まった時期で、米軍内に混乱があったとみられる。 (共同)
 
<キューバ危機>
 ソ連は1962年、米国が打倒を目指すキューバのカストロ政権を支援しようと、中距離核ミサイルを搬入。
 10月16日に報告を受けたケネディ大統領は22日に事態を公表、ミサイル基地撤去を求めキューバを海上封鎖した。
 米国はキューバからのミサイル攻撃への報復も宣言、核戦争の緊張が高まった。
 秘密交渉を経て米国はキューバ不可侵と、トルコからの対ソ攻撃用のミサイル撤去を約束。
 ソ連は28日に基地撤去を通告し「13日間」の危機は去った。

<沖縄の核兵器>
 1972年5月に本土復帰する前の沖縄は米国の施政権下にあり、核兵器が大量に配備・貯蔵された。
 米公文書によると、50年代半ばに搬入が始まり、ベトナム戦争ピーク時の67年には1300発近くに上った。
 代表的なのが射程2200キロ超の核巡航ミサイル「メースB」で、読谷村など沖縄内4カ所の発射基地に配備、計32基のミサイルがソ連極東や中国を射程に収めた。
 69年の日米首脳会談で「核抜き返還」が決まり、メースBはじめ核兵器が順次撤去された。

 人類を破滅の危機から救ったのは、「発射指揮官」の判断だった。
 最後は現場のたった一人がすべてを決した。
 彼こそ真の英雄である。
 およそ軍の指揮系統にあって、国家の命運を決める〈最後の一人〉に指名された人物がここまでの判断力を求められていたとは思えない。
 これほど権限が認められていたとも思えない。
 なぜなら、その権限は、命令を発する大統領に匹敵するものだからである。
 あらゆる情報をもって最終決断する大統領と同等の判断力と権限が神ならぬ現場の一人に求められることはあり得ない。
 ボタンを押すか押さないか、大統領と発射指揮官と双方が決する二重の仕組みはあり得ず、指揮官は明らかに命令違反という扱いになろう。
 しかし、事実として、彼はアメリカもソ連も人類も救った。

 私たちは最近、同じようなできごとを体験した。
 原発事故における吉田所長の行為である。
 福島第一原子力発電所事故の収束作業を指揮したおりに、所長も又、〈命令違反〉によって日本を救い、世界を救った。
 官邸も東京電力本店も壊れた原発への海水注水を認めていない中、所長は独断で始めた注水作業を継続した。
 ウィキペデイアは原子力安全委員会委員長を務めていた班目春樹東京大学大学院工学系研究科教授の証言を記している。
「所長の吉田が東京電力本店の命令に反して注水作業を続けていなければ、東北・関東は人の住めない地域になっていただろう」
 また、原子炉建屋の大爆発にもかかわらず核燃料プールが無事で、しかもたまたま大量の水が残っており、なぜかうまい具合に流れこんだという奇跡的偶然が重なり、最悪の事態を避けられもした。
 後に、吉田所長が「ここで本当に死んだと思ったんです」と証言したほど切迫した状況にあって、あたかも生き仏のように粛々と「地獄のような」現場に向かった男たちがいたことも特筆しておかねばならない。

 危機一髪と言うにも程がある。
 これまで、私たちは幾度、こうした危機を〈たまたま〉乗り越えてきたのだろうか。
 この〈たまたま〉は現場におられた方々に対して失礼かもしれないが、人間の営みを広く客観視してみれば、ほとんどあり得べからざる確率で起こった行為やできごとによって、決定的危機が回避されたことは確かである。
 その証拠に、もしも再び同じような事態にたち至った場合、誰が同じ行動をとれるのか、誰が人類を救えるのか、神ならぬ人間には準備のしようがない。
 つまり、普通に考えれば、今度はダメだろうと思うのが理の当然ではないか。
 こうした事実は、たった一つの真実を告げてはいないか?
「核は人類が安全に用いられる代物ではない」

 3月14日の寺子屋で藤原のりすけ先生は指摘された。
「子供の高齢化、孫の高齢化を真剣に考えましょう。
 社会保障や公共サービスを通じて政府から受ける受益と、税金や社会保険料により政府に支払う負担と差額は以下のとおりです。
 60歳以上の世代は約4000万円の得、20代は約1100万円の損、それ以降の将来世代は約8300万円の損となります。
 これはもはや〈道徳の問題〉です」

 私たちが今、核の問題をきちんとしておくのはまさに〈道徳の問題〉ではなかろうか?
 風の吹き加減次第で一気に燃え広がり、何もかもを焼き尽くすかも知れない埋もれ火を消さず、今、ささやかな暖かさを楽しんでいる私たちは、あまりに罪深い人々ではなかろうか?

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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