コラム

 公開日: 2015-03-27 

北島三郎に見るプロの出処進退 ―プロの矜恃とは?―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 3月26日、NHKテレビは、【ザ・プレミアム「〝まつり〟にかけた演歌道~北島三郎 最終公演~」】において、北島三郎が46年間にわたる座長公演に幕を閉じた模様を伝えた。
 北島は78才にして2時間の自作劇を演じ、さらに20曲を唄うというパターンで1日2回、合計8時間の公演を行う。
 通算講演回数は4578回にわたるが、北島は、1日に3回やった頃に比べれば今は楽だと言う。

 エネルギッシュな舞台を観る限りにおいては、「まだ、やれるのではないか?」と思えるが、北島はやめる理由を端的に述べた。
「私も倒れるまでやりたいという気持はある。
 しかし、お金をいただいているプロだから」
 お金を払い、期待してやってくる観客へ対して、期待通りの〈北島三郎〉を演じなければならない。
 それができなければプロと言えない。
 年令も疲れも決して言いわけにはならない。
 プロは、支えてはもらうが、プロの領分に情けをかけられるわけにはいかない。
 観客に対して〈見てくれ〉を繕うなどという小手先の仕事では失礼だ。
 外科医は〈小手先〉が通じるか?
 プロとしてのレベルから下がっているかどうかは自分がわかり、わかる自分をごまかす方法はない。
 腕の落ちた外科医は患者を救えるか?

 つまり、傍目には「まだやれる」と思われるうちに、レベルの下がらないうちに、身を引くのがプロの出処進退であるという信念が北島に決断させたのである。

 北島は何度も「この身体」と言う。
 プロとして役立つ身体があるうちはやる、という意味だろう。
 楽屋には両親の写真がある。
 稽古し、鍛えているうちに〈両親からもらった身体〉という感覚が強まったのではないか。

 プロとは身体をはった仕事師なのだ。

 北島は、いつからか、楽屋で鏡に向かっている時、本名の大野穣(ミノル)に見られているという意識を持つようになった。
 楽屋から舞台へ向かう途中では〈大野穣〉が影のように前を行くが、舞台に立てばもう〈大野穣〉はいなくなり〈北島三郎〉そのものになる。
 北島は解説をしなかったが、鏡の中野大野穣はきっと、こうささやきかけていたことだろう。
「お前は所詮、大野穣だぞ。
 思い上がるなよ。
 さあ、〈おかげさま〉と、死力を尽くせ」
 事実、演じきった北島は、何度も何度もお礼を述べた。
「ありがとうございました。
 足を運んでくださった皆様のおかげです。
 支えてくださったスタッフ、関係者の皆様のおかげです」

 プロとは〈おかげさま〉と死力を尽くす専門家である。

 とてつもない仕事に一区切りをつけた北島は、光る眼で言った。
「終わりは始まりです」
 座長公演に幕は下ろそうと、まだ、プロである。
 プロであるうちは、最後までプロとして生き抜くのだろう。
 観客も自分もごまかさず、自分を甘やかさず……。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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