コラム

 公開日: 2015-04-02 

映画「イラク チグリスに浮かぶ平和」を観て ―戦争の被害者は何を語ったか?―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 11日(土)に鑑賞会を行うDVD「イラク チグリスに浮かぶ平和」が届き、チェックした。
 イラクを「解放する」という瞑目でアメリカが侵攻し、引き倒されるフセインの像が世界に放映されてから10年経ち、イラクの人々は無秩序とテロに苦しみ、いつ、どこで殺されるかもわからない不安な日々を送っている。
 映画の題名は、船遊びをするチグリス河の上にしか安全な場所はないことを意味している。
 以下、映画に登場するイラク人の言葉を書き取ってみた。

「イラクでは誰もが家族の誰かを殺されている」

「かつては、友人は友人らしく、家族は家族らしく生きられた。
 今、若者は車に乗るが、何もかもがなくなった。
 10年前の方がよかった」

「当時は自由な方がましだと誰もが思っていました。
(いつ、どこで殺されるかわからなくなり)今、自由はどこにもありません」

「(こうなってしまったのは)戦争にかかわったすべての人に責任があります。
 (兵士でなく一国民でしかない)自分にも」

「戦争で被害者は排除され、見捨てられてゆく」

「(こうなってしまったのは)アメリカだけの責任ではありません。
 アメリカを支援した全ての国に責任があります。
 日本にも」

「(あの戦争が何であったのか)今のこの状況を見れば結果が出ている。
 過去のどんな独裁者たちでも、アメリカよりはイラクのことを考えていた」

「(無秩序とテロに苦しむ)イラクの家族にとっては、爆発も検問もないチグリスの上にしか安全な場所はない」

「誰もが平和を望んでいる。
 しかし、アメリカがそれを壊した。
 あの戦争は(アメリカが)中東と世界を支配するためだった」

「(戦争とテロで家族を失ってしまったのは)神が決めたことだから従うしかない」

「息子たちの死を忘れさせてくれるようなことは何もない。
 もしも自殺して息子たちに会えるのなら、すぐにでも死にたい。
 神よ、(こうしたことを考える)私の罪をお許しください」

「(綿井さん、)いつまでも私たちのことを思い出して欲しい。
 私たちもあなたのことを忘れない」

「イランとの戦争も湾岸戦争も、今回のアメリカとの戦争も、何の意味もない。
 何の意味も理由も大義もない」

「私にとっても、イラクにとっても、これが最後の戦争であって欲しい」

「時代はどんどん悪くなるかも知れない。
 それでも日々は続いてゆく。
 私たちは何も得ていない」

 監督綿井健揚は、フセイン像が引き倒されたあの瞬間、現場にいて一部始終を見た。
 そのおり、「米軍を歓迎する市民たちはごくわずかです」とリポートし、賛否両論が起きた。
 あれから10年が経ち、監督は彼らのうち、生き残った人々を捜し当て、感想を訊いた。

 フセイン像に真っ先に駆け上がってロープをかけたカリド・ハメッド(30才)。
「自分たちの力だけでは倒せないことに気付いて、急に熱気が冷めた。
 結局米軍の装甲車があの像を倒したんです。
 米軍が私たちに言っていた『解放』とは何なのか。
 いまいる米軍は占領軍に過ぎない。
 もし約束が守れないのなら、私たちはいつでも米軍と戦う」

 当時、フセイン像の台座をハンマーで力いっぱい叩いたサファ・ハシム(27才)。
「あのとき、フセイン政権が倒れたことに対して、私たちは純粋に喜んでいたんです。
 米軍の空爆や侵攻を歓迎していたのでは決してありません。
 あのときハンマーで叩きながら感じていた『開放感』は、もうまったくありません。
 私たちがあのフセイン像を倒すはずだった。
 ずっと倒したいと思っていたんです。
 しかし私たちイラク人の力ではそれができなかった。
 あの像を実際に倒したのはアメリカです。
 だが、あのときはそれ以外に方法がなかった。
 アメリカの力を借りてあの像を倒したのは恥ずべきことだといま感じている。
 このままの状態が続くなら、今度は私たちの手でアメリカを追い出しますよ」

 あの時、旧イラク国旗を掲げたムハマド・カズン(36才)。
「フセイン時代にはなかったものは、確かにいま存在する。
 いつでも、どこでも、どんな話でもできる。
 誰でも周りを気にせずに批判できる。
 しかし、フセインという小さな怪物と、アメリカという大きな怪物の間に挟まれた時代を生きてきた私たちイラク人は、自由の度合いも、民主主義が何かも実際には知らない。
 いまのイラクにあるのは自由という名の無秩序だろう」

 綿井健揚。
「戦乱によって、数々のあり得たはずのその後の人生が奪われた。
 そのつづかなさ、その届かなさ。
 そこにイラク戦争がもたらした結果と傷跡が刻まれている」

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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