コラム

 公開日: 2015-04-06 

アレルギーと瞑想 ―生の全体性をいかに保つか―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈アレルギーと無縁なアーミッシュの人々〉

 アレルギーの問題は、人間が自然の一部であることを思い出させる。
 バクテリアや細胞など肉眼では見えないさまざまな生命体が複雑なバランスのもとに身体の〈全体〉をようやく保たせている生きもの、それがウグイスでありネコであり、人間でもある。
 その全体性はまるで自然界の全体性を凝縮したようだ。

 生きものの多様性が失われれば、自然界は崩壊の危機にさらされる。
 人体もまた、自然界の一部としての〈自然な状態〉から離れれば、私たちの知らないところで全体性が崩れ、不調に苦しまざるを得なくなる。
 現代人に急増している膨大な種類のアレルギーはその典型と言える。

 4月5日のNHKテレビ「新アレルギー治療~鍵を握る免疫細胞~」は、アレルギー症状と格闘する科学の最前線を報じた。
 自然と共に暮らす農耕生活から離れる都市文明の発達により、現代人の身体は、体内へ入る異物を排除するはたらきが異常にならぬよう調整する「制御性T細胞(Tレグ)」を弱めた。
 その結果、私たちは、ありとあらゆるアレルギー症状で悩むようになった。
 今は、さまざまな方法でTレグを吸収することによって苦しみから離れられつつあるという。
 アレルギーが発生する仕組みとその克服方法を眺めてつくづく思った。
 人体の異常と科学的療法によるイタチごっこの終着点はどうなるのだろう?
 ちなみに、牧畜を基本とするアーミッシュの人々がアレルギー症状とほぼ無縁なのは、子供の頃から家畜と共に暮らす生活によってTレグがしっかりはたらいているからである。

 アーミッシュの名を聞くたびに9年前のできごとを思い出す。
 学校へ乱入した暴漢によって女子児童5人を射殺されたアーミッシュの人々は、犯人の家族を許し、葬儀にまで招いた。
 アメリカのメディアは「慈悲の深さは理解を超える」とし、自分を先に撃てと立ちはだかった「女の子の驚くべき勇気」を報じた。
 暴力を排し、隣人を愛し、神や自然に対して畏敬の念を持ちつつ生きる人々の身体が、アレルギーとの戦いをも必要としないことは象徴的事実ではなかろうか?

 私たちはいつも戦士である。
 学校では成績、社会では成果を競い、昇進を争い、やがて病魔と闘い、老いまでも克服しようとする。
 こうした闘争心が過剰になると、いつしか慢心が生じる。
 思い上がる。
 仏教は、貪りや怒りと並んで思い上がりの危険性を察知し、解毒の瞑想法がさまざまに実践されてきた。
 それが「慢」を克服する「界観(カイカン)」である。
 座禅し、み仏の姿になった人体を6つに分け、それぞれの部位に自然界のモノと人体の構成要素を当てはめる。

・地:尾てい骨付近…大地・土・樹木…骨・肉・皮
・水:腹付近…川・池…血液・分泌物・尿
・火:胸付近…太陽・月・星…体温・消化
・識:心臓…自然界のものはない…心
・風:喉…風…呼吸
・空:額…穴・空洞…目・鼻・口

 かつては「識」がなく「地・水・火・風・空」の五大だったが、お大師様は「地・水・火・風・空・識」をもって、み仏の六大とされた。
 じっと座り、この瞑想を行うと、自分の心身と自然界とみ仏の徳の世界とが一つになる。
 三つが一つになっている時、思い上がりはどこにもない。

 この瞑想はどこでもできる。
 自宅だけでなく、山でも海でも川でも、神社仏閣でも、そして都会の公園でもできる。
 思い上がりの薄い意志は真の勇猛心をもたらす。
 誰かにぶつけ、誰かを打ち倒すという小さな戦いなど超越した純粋な心身のエネルギーが湧いてくる。
 きっと〈全体性〉が本来の姿と形で力を発揮しているのだろう。

 アレルギーは苦しい。
 ここでこそ、全体性というものをよく考えてみたい。
 人間が自然の一部であることも思い出したい。
 科学文明の恩恵と同時に、危険性も察知したい。
 そして時には、叡智に導かれ、瞑想の時間も持ちたい。

 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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