コラム

 公開日: 2015-04-08 

人間から切り離された人間の行き先は? ―不戦を説かれたお釈迦様―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 お釈迦様が誕生された4月8日、天皇、皇后両陛下はペリリュー島にある日米双方の慰霊碑で献花さfれる。
 お釈迦様の血を吐くような平和への訴えに耳を傾けてみたい。

 お釈迦様の時代には、強い武器を持った民族が都市国家をつくり、平和に暮らしていた種族の共同体が破壊されて行った。
 強固だった部族が種族としてすら成立しなくなり、種族社会の地縁血縁が薄れ、人が人から切り離されて流民化し、伝統的な叡智に抑制されなくなった欲望の肥大化は戦争を繰り返させた。
 戦争の元凶は根源的な生への執着心に発する無明(ムミョウ…盲目的状態)の集団化であり、死と破壊に対する想像力の欠如である。
 小さな個人のエゴイズムが貪りや怒りや愚かさとしてはたらき、それらの業(ゴウ)が積み重なって国家的共業(グウゴウ)となる時、戦争に至る。

 慈悲の「慈」はインドの言葉でメッターであり、与楽(ヨラク)と訳される。
 誰かに幸せをもたらさないではいられない心である。
 また、「悲」はカルナ-であり、抜苦(バック)と訳される。
 他者の苦しみを見捨ててはおけない心である。
 そして、両方共に女性名詞である。
 母親が我が子にかけないではいられないような慈しみの心を思い出させる智慧の宗教が仏教である。
 お釈迦様は、バラバラになった人々が階級ごとに一まとめで国家に動かされ、血で血を洗う時代に根本的救済の教えを説かれた。

「母親がいのちがけで我が子を守るように、すべてのいきものを限りなく包容する心を養うべし」
「世界全体に対して、限りない慈しみの心を養うべし。
 上下左右へ向かって無制限に、憎しみも敵意も離れた心を養うべし」

 お釈迦様は、戦争をもたらす恐るべき共業へ立ち向かうには、一人一人が悪しき業をつくらぬことであると明解に説かれた。
 無明を離れた智慧がはたらかない限り、戦争は止まず、人間界から最大の苦は取り除けない。

「戦争で百万人に勝つ者でなく、自分の心に克つ者こそが真の勝者である」

 貪る勝者、怒る勝者、愚かな勝者は所詮、他者の苦しみを我が糧とする仮そめの勝者でしかなく、自覚しようとしまいと自他へ苦しみをもたらしながら生き、死ぬしかない。
 
「すべての者は暴力を怖れる。
 すべての者は死を怖れる。
 自分をよく省みてそうした真実を知り、他者を殺すなかれ。
 他者をして殺させるなかれ」

 殴られ、蹴られ、切られ、いのちを危うくされることを本当に喜ぶ者はいない。
 犬や猫であろうとも。
 自分自身がそうであるならば、他者も同じであると想像できてこそ人間である。
 そこを忘れなければ殺せなくなる。
 殺させることもできない。

 お釈迦様は、あらゆるものが因と縁によって生じ、滅することを見通された。
 怨みや怒りなどの悪しき心は必ず争いに結びつき、悪しき結果をもたらす。
 他を思いやる善き心は必ず救いに結びつき、善き結果をもたらす。

「戦いの勝者は怨みを生じ、敗者は怨み悩んで暮らす。
 静安を得た者は勝敗を捨てて安らかに暮らす」

 生死を繰り返す生きとし生けるものが免れない因果の理法は、この世だけでなく当然、あの世へも及ぶ。

「生きとし生けるものは安らぎを欲する。
 他者を暴力で殺害して自分の安らぎを求める者は死後、安らぎを得られない」

 お釈迦様は呼びかける。

「我々は、怨みある者たちの間にあって、心安らかに生きよう。
 我々は、怨みある者たちの間にあって、怨みを抱かずに生活しよう」

 2500年前、すでにインドの地において、地域も家族も破壊された人々はバラバラになって迷い、国家は戦争を日常としていた。
 きらびやかな都市文明の光を浴び、仮そめの勝者として悦楽を享受する僅かな人々がいる一方で、多くの人々は苦の闇を濃くしていた。
 まるで今の世界と同じではないか。
 このままで推移すれば、イスラム教は世界の人口の3割を呑み込むという。
 イスラム教の特徴の一つは、いわゆる過激派であれ、穏健派や世俗派であれ、家族を重んじるところにある。
 教典クルアーンは説く。
「我は、両親への態度を人間に指示した。
 人間の母親は、苦労にやつれてその子を胎内で養い、更に離乳まで2年かかる。
 我とあなたの父母に感謝しなさい。」
 ロヨラ大学のマルシア・ヘルマンセン教授はイスラム教を選び取ってムスリムとなり、指摘する。
「崩壊した家庭の中にいる女性は、特に宗教に惹かれるかも知れません。
 というのも宗教は、家族に価値を置いているからです。」
 私たちは人類最大の愚行である戦争を何としても避けるため、終結させるため、自分たちの心のありようと生活ぶりをよくよく省みる必要があるのではなかろうか。
 明らかなのは〈このままではいけない〉ことではなかろうか。




〈『米国国立公文書館所蔵写真集 敗戦国ニッポンの記録』(編著半藤一利)より「「釜山で福音船をつ日本兵 昭和20年」〉



〈「お帰りなさいませ」〉



〈「夫婦の再会」〉



〈「復員兵と家族の笑み」〉

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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