コラム

 公開日: 2015-04-10 

人は死んでも〈無〉にはならない ―パラオにおける天皇皇后両陛下と倉田洋二氏―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 4月9日、天皇皇后両陛下はついに、パラオにおいて戦没者すべてへの慰霊を行われた。

 生き残った倉田洋二氏(88才)は自分で作った戦友1200名の名簿を携えて立ち会った。
「生きている者だけが陛下にお会いしたのでは申しわけない」
 天皇陛下からお言葉をいただき、応えた。
「本日はありがとうございました。
 戦友に代わって厚くお礼申しあげます」

 天皇皇后両陛下は、日本人、アメリカ人を問わず、慰霊のご意志を示された。
 黙祷するお姿は、地球上の誰も代わることができない。
 日々、持斎(ジサイ)の生活を送り、日本人の祈りを体現する者として崇高な役割を果たされた。
 
 広辞苑は持斎を定義する。
「①戒律を守って身心を清浄に保つこと②八戒を守ること」
 長澤弘隆師は「身をつつしみ心を正し神妙に手を合わせること」が持斎であり、ご葬儀や法事やお墓参り、仏壇でのお参り、本山参拝、霊場巡拝、古寺巡礼、祈願寺への参詣などで実践されると説いた。

 身をつつしみ心を正し神妙に手を合わせることは、対象なしには実践されない。
 天皇陛下にとって、パラオでの対象は戦争で亡くなられた人々の御霊である。
 倉田洋二氏にとって、パラオでの対象は戦友たちの御霊である。

 定年を迎えた時、倉田洋二氏は意を決してパラオへ移住した。
「この島で亡くなった戦友たちの安住の地を早く造りたい。
 生き残った者のつとめとして」
 きちんと慰霊される場がなく放置されたままでは、戦友たちが浮かばれないと信じて疑わなかった。
 倉田洋二氏など志ある人々と現地の人々の協力によって「安住の地」は着々と造られ、守られ、ついに、この日を迎えた。

 天皇皇后両陛下をはじめ慰霊する人々のたたずまいが得も言われず崇高なのは、目に見えぬ存在と感応し合っているからではないか。
 御霊の崇高さが、目に見える人々の姿へ映し出されているからではないか。
 こうして〈存在と崇高さ〉が確認され、御霊はようやく安らげるのではないか。
 そして、天皇陛下も倉田洋二氏も口にされた「忘れない」という思いこそ、御霊の安寧を確保するキーワードであろう。
 私たちが「忘れない」ことは、〈平和をつくる手段〉ではない。
 まず、目に見えぬ御霊に対する尊崇の心を持ち、手を合わせ、黙祷し、感応する心のありようをこそ捨てぬようにしたい。
 その先に平和を希求する思いが湧いてくれば、それこそが本ものではないか。

 人は断じて、死んでも〈無〉にはならない。
 死者に対する持斎の心こそが平和への道である。
 御霊を供養し、悼む心こそ平和の礎である。
 肝に銘じておきたい。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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