コラム

 公開日: 2015-04-20 

天皇陛下の「4つの日」、弘法大師の「6つの心」 ―悼む心とお斎(トキ)―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 昭和56年、時の皇太子殿下(当時47才)は記者会見で「日本人として忘れてはならない4つの日がある」と述べられた。

・8月6日の「広島原爆の日」
・8月9日の「長崎原爆の日」
・8月15日の「終戦記念日」
・6月23日の「沖縄戦終結の日」

 今上天皇となられたこんにちも、陛下ご夫妻は「お慎みの日」として御霊を悼み続けておられる。
 そこには、日本国憲法に定められた「日本国の象徴」及び「日本国民統合の象徴」である天皇はどうあらねばならないかという深い洞察がおありになったのだろう。
 日本国という一つの共同体が存続し続けるために生じる〈国民の死全体〉を、国民全体の代表として悼む資格は天皇陛下にしかない。
 その思いを定め、生きてこられたからこそ、パラオにおける晩餐会でのお言葉が発せられたのではないか。

「先の戦争においては 貴国を含むこの地域において日米の熾烈な戦闘が行われ多くの人命が失われました。
 日本軍は貴国民に安全な場所への疎開を勧める等 貴国民の安全に配慮したと言われておりますが、空襲や食料難、疫病による犠牲者が生じたのは痛ましいことでした。
 ここパラオの地において私どもは先の戦争で亡くなったすべての人々を追悼し、その遺族の歩んできた苦難の道をしのびたいと思います。」

 こうした具体性を伴った言葉に陛下の真摯な思いが滲み出ている。
 陛下は東日本大震災の被災地を訪れた際も、各会場で膝を屈し、一人一人、国民の目を見ながらお言葉をかけてくださった。
 決しておざなりではない。
 これからも、天皇陛下にはずっと、悼み、祈る者であっていただきたいと願う。
 日本国民へそのお心が届いていれば、国民がお心を感じとれるならば、〈国家による国民の死〉をもたらす戦争の抑止力となるのでないだろうか。
 私たちは「不戦日本」の覚悟を強固にできるのではないだろうか。

 さて、悼み、慎む心を表す日常生活的態度とは何だろう?
 食べなければ生きられない生きものとして最大の慎みは、食べ物を質素にすることであり、宗教的な段階では潔斎(ケッサイ)となる。
 潔斎とは、戒めを守って心を清浄にするだけではなく、清らかなもののみを口から体内へ摂り込み、沐浴をするなどによって身体を外側からも清め、仏神や御霊と交感する者にふさわしい心身をつくることである。
 お大師様は『大日経』を典拠とする「六心」によって心構えを示された。
 長澤弘隆師は『空海の仏教総合学』に書かれた。

・種子(シュジ):節食(粗食)によって少量の食事でも満足し、欲張らなくなり、食欲に執われなくなる。(種)
・牙種(ガシュ):節食による経済的な節約で、「六斎日(ロクサイジツ)」に父母等に食事をふるまえることにより、孝養の喜びを知る。(芽)
・疱種(ホウシュ):孝養の喜びを他人にも向け、誰にでも平等に、施す徳を知る。(茎)
・葉種(ヨウシュ):それをとくの高い人にも向け、施し供養する相手を選び、正しい道理に出会う。(葉)
・花種(カシュ):音楽家や長老にも供養し、施しの喜びを大きくする。(花)
・成果(セイカ):施しの行いを通じて心が純粋になり、我欲から離れることを知る。(実)

 あらゆる生きものに共通する生存欲の根源を抑えることによって、無条件にはたらこうとする我欲にふりまわされない状態を知る。
 さらに、他へ施すことによって、徳のある行為を知る。
 そこにこそ、私たちは人の人たるところを感じ、〈清浄〉というイメージが実感される。
 み仏へ、神様へ、御霊へ、何のわだかりもなくさっぱりとした気持で手を合わせられる。
 心には青空が広がる。
 そうして、悼む心は深まる。

 悼む心で手を合わせ、慎みつついただくのが仏事後に催されるお斎(トキ)である。
 陛下の「4つの日」、お大師様の「6つの心」、共に忘れないようにしたい。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


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