コラム

 公開日: 2015-04-29 

ヨーロッパ初の神社に想う ―調和と共生を生きる日本人―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈向かって右から二人目がマンリオ・カデロ閣下〉



〈向かって右に建つ木碑には「私のためでなく、あなたのためでなく、皆のために」とある〉





 平成26年6月22日、サンマリノ共和国において、ヨーロッパ初の神社が建立された。
 ひとえに、特命全権大使として永年日本で活動してきたマンリオ•カデロ大使の熱意による。
 閣下は著書『だから日本は世界から尊敬される』において、その経緯を書かれており、当山はブログ「【現代の偉人伝 第198話】 ―『だから日本は世界から尊敬される』を書いたマンリオ・カデロ閣下―」で紹介した。

 このたび、宮城県川崎市在住の佐々木裕氏と真幡善治氏より神社建立時の写真、及び同著をいただいた。
 カデロ閣下の言葉である。

「私は敬虔(ケイケン)なローマンカトリックの信者です。
 それでも神道のすばらしさはわかります。
 神道は自然を神と崇めて大事にしつつも、他の宗教に対しても寛容であるので、広い視野で物事を捉えることができる宗教だと思います。
 そのような神道の神社を母国に建立できることは望外の幸せでもあります。」

 ここに、神道の世界的意義と日本文化の基盤が示されているのではなかろうか。

 思えば、私たちは基本的に、個人の信仰を社会へ及ぼそうとしない。
 自分の宗教で世界を地ならししようという発想がないのは、八百万(ヤオヨロズ)の神々を敬い、太陽にも山にも神的なものを感ずる私たちの心性による。
 太陽を「お天道様」と思う人は、山へ畏怖の念を持っている人に違和感を感じないし、自分のご先祖様を大切に思う人は、他人のご先祖様へも同じ気持で手を合わせる。
 人が〈それぞれ〉の人生を歩むように、信じるものも〈それぞれ〉であり、自分自身をもそうした人々の一人であると客観的に眺める視点を失わない。
 自然に神を感じる感性と俯瞰的視点は、私たちを謙虚にさせる。
 自分が何か〈絶対的〉で〈特別〉な存在であるかのように錯覚し、あたかも正義の権化のごとき尖鋭な姿勢で、周囲の人々の信仰や思考を変えさせようとする高慢さは薄い。

 こうした私たちは、歴史が育んだ慣習や習俗に馴染み、宗教的行為についても、社会的には緩やかな円滑剤として尊ぶ。
 その典型がお祭であり、ご葬儀である。
 お祭の際には、自分は観音様信仰の篤い仏教徒だからお神輿を担がないなどと角張って主張せず、一緒に汗を流し、担ぐ人も観る人も個人的信仰が何であれ、一体となって非日常的高揚感を堪能する。
 ご葬儀の際には、自分は八幡神社の氏子だからといってお焼香を拒否するなどということはなく、〈郷(ゴウ)に入っては郷に従え〉の心で周囲と同じ作法で故人を悼み、偲ぶ。
 こうして個人の内面にある信仰や信念がゴツゴツとぶつかり合って社会がギスギスすることなく、穏やかな社会が保たれている。

 カデロ閣下はこうした日本独特の精神風土に気づかれ、神社がその源泉になっていると悟られた。
 精神風土は神社へ詣で、仏閣へお参りし、クリスマスを楽しみ、教会で結婚式を挙げ、僧侶の導きでご葬儀を行うライフスタイルとなって顕れている。
 神社建立にあたり、カデロ閣下は「このスタイルは欧州の人間にも必要ではないか」と言われた。
 その裏には、宗教の違いがさまざまな社会的問題を生み、自由の実現という理想が、自由を求める意志のぶつかり合いという深刻で不幸な形をもたらしつつあるヨーロッパの不安が隠れているのではなかろうか。

 日本には、あらゆる神々を拝む神道と、あらゆる仏神を拝むマンダラの密教がある。
 情報処理研究家白鳥則郎博士は、未来の理想を語られた。
「人と人、国と国、地域と地域の関係において効率や利害を超えた公(みんな)と私(自分)の調和に価値をおく『共生社会』」
 サンマリノ神社を訪れる人々に、こうした日本人の精神風土を感じてもらえるよう祈りたい。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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