コラム

 公開日: 2015-05-23 

懺悔から救いへ ―普賢菩薩と即身成仏―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 私たちは時として、自分の愚かさのゆえに自他を苦しめる行為に走り、「何てことだ……」と情けなくなります。
 あるいは、夜半、取り返しのつかない罪科を思い出して、「すまなかった……」と眠れなくなったりします。
 そうしたおりには、普賢菩薩様の経文が思い出されます。

「一切の業障海(ゴッショウカイ)は、皆妄想(モウゾウ)より生ず。
 若(モ)し懺悔(サンゲ)せんと欲せば、端坐(タンザ)して実相(ジッソウ)を思え。
 衆罪(シュザイ)は霜露(ソウロ)の如(ゴト)し、慧日(エニチ)能(ヨ)く消除(ショウジョ)す」

(あらゆる悪しき行為の影響力による悪しき結果の数々は、すべて、真実でないものを真実であるとする勘違いや、真理に背いた勝手な考えによって生まれる。
 もし、懺悔せずにおれなくなったならば、じっと座り、普段、見聞きしている世界の奧にある真のありように思いをいたすべし。
 そうすれば、さまざまな罪科は、朝陽を浴びた草の葉の露のように、明るい智慧の陽光の中で消え行き、心から取り除かれるであろう)

 何とありがたい教えでしょうか。
 自分の苦しみも、誰かへ与えた苦しみも、すべては真理・真実をきちんと観ていない自分の愚かさに発しているのだから、落ち着いて思いを凝らし、観る心の目が開きさえすれば、救われると太鼓判を押してくださっています。
 しかし、凡夫である私たちは、〝そうか〟と立ち止まってみても、真理・真実は簡単に明らかになってくれはしません。
 自己本位な自分はそのままだからです。
 そこで、み仏の〈示された世界〉が心の目を開くきっかけになります。
 
 昔、当山のある大和町宮床へ落ち着いて間もなく、地元のAさんにフキノトウを探しに連れて行っていただいたことがあります。
 初めての小生には、ただ、ところどころ雪の残った枯葉などしか見えていないのに、Aさんは「住職、ほら、そこにもあるよ」と指さします。
 エッと思ってそのあたりを手探りしてみると、枯葉の下に瑞々しいフキノトウがありました。
 
 このように、先んじて観てくださったみ仏は、フキノトウがあることと、探し方をお示しくださいました。
 それが経典です。

 では、フキノトウは何か、それが仏性(ブッショウ)です。
 私たちの心の奧へずうっと降りていってみると、必ず、霊性を感得できます。
 途中には、怨みや怒りや破壊願望や怠惰な気持などの悪心はあっても、それらは皆、本ものではありません。
 怨んでいる時は苦しく、怒りは必ず長続きせず、破壊しても心は晴れず、怠惰なままでは生き生きとした時間はありません。
 しかし、霊性に至ると、〈そのままでいる〉ことに何らの支障がなく、生き生きしてきます。
 これが本ものである証拠です。
 つまり、私たちは誰一人の例外もなく、み仏の心すなわち仏性を分けいただいたみ仏の子なのです。

 探し方は何か、それは空(クウ)を観ることです。
 私たちは普段、自己中心的で、勝手な欲に引きずられているために、つまらない枯葉を眺め、手に取り、ああだこうだとやっています。
 しかし、フキノトウを知っている人は、野原における枯葉の姿形や落ちている位置や湿り具合や重なりようなどを眺めてその下にあるフキノトウが探せるように、仏性を感じ、確信できる人は、枯葉である現象世界を参考に学ぶことはあっても、決して惑わされません。
 私たちが、好きだ、嫌いだ、知ったこっちゃない、と勝手に執着しようとしまいと、ありとあらゆるものは変化しつつ、とてつもない調和と創造の世界を紡ぎ続け、私たち自身も又、まぎれもなくその一部なのです。
 世界を調和の面から図で示したのが胎蔵界マンダラであり、創造の面から示したのが金剛界マンダラです。
 マンダラを眺めることは、空を実感し、自分を空の中へ溶け込ませる道です。

 このように、仏性のままに空を生きられるようになるのが、お大師様の説かれた即身成仏(ソクシンジョウブツ)であり、そこでは智慧と慈悲が完成しています。
 懺悔は実に、その入り口です。
 大いに、悩み、苦しみ、後悔し、そして、教えに光明を見出しましょう。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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