コラム

 公開日: 2015-06-06 

自殺した自衛隊の方々に想う ―争いを避けるものは?―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 5月27日の衆議院平和安全法制特別委員会において、明らかになった在職中における自衛隊関係者の自殺は以下のとおりである。
・平成13年から19年にかけて、インド洋へ派遣された隊員:25人
・平成15年から21年にかけてイラクへ派遣された隊員:29人
 防衛省の真部朗人事教育局長は、派遣そのものが原因であるかどうか「個々の原因を特定するのは困難だ」としている。
 国家に殉じた方々へ心よりご冥福を祈りたい。

 ここには、自衛隊勤務が困難になり退職後に自殺した方の数は含まれていないし、うつ病や統合失調症などに罹った隊員についての報告もない。
 遠隔地への派遣かどうかにかかわらず自衛隊は、勤務が原因で心の病気になったと思われる隊員に対するケアを怠っていないが、この54人の周囲にどれだけ苦しむ方々がおられるかは想像に難くない。
 しかも、上記2例は、戦地そのものから離れていると見なされた地域へ派遣された隊員に関する調査である。
 現在議論されている平和安全法制においては、弾丸が飛び交ってはいないが、もしも、攻撃を受けたなら戦わず撤退するという地域への派兵である。
 当山に縁を結ばれている自衛隊関係者の方々を想い浮かべ、皆さんの心身にかかる負担を思うと、いたたまれない。

 もちろん、〈備え〉は欠かせない。
 しかし、戦争はいつの時代も決して一方的に起こりはしない。
 戦争も平和も関係性の中における一つの状態であり、あくまでも〈相手との関係〉がどうかという問題である。

 ある時、小学生A君がこうした状況に陥ったという。
 遊び仲間が三つのチームに分けられ、二つは数人のグループ、そしてA君は一人である。
 鬼ごっこであれ、何であれ、何をやるにしても無惨な状態である。
 イジメに憤った父親は悪童どもを懲らしめようとし、母親は心配して各方面への相談に取りかかろうとした。
 ところがA君は「こんなものさ。騒ぎたてないで、様子を見ててよ」と言い、悪童どもと着かず離れずでいるらしい。
 A君は直接の抗議も間接の指導も〈悪〉への効き目がなく、不用意な刺激は相手の愚かさを昂進させるだけであると見越しており、時が流れれば、やがて悪童どもは彼らの住む世界へ行き、自分は彼らと別の世界で生きられるので、学校という場で深刻な対立や暴力騒ぎなどに及ばないよう気をつけて過ごそうとしている。
 舌を巻いた。

 多くの大人は知っている。
 熱(イキ)り立ち、角張っている人はいざこざを起こしやすいし、穏和な人は周囲を和やかにする。
 争いを避けたいなら、まず、自分が穏和にならねばならない。
 穏和さこそが、争いを抑制する根本的な鍵である。
 まず、自分自身がどういう人間になるかというイメージ、姿勢、生き方を明確にしておきたい。
 人間なら信条、国家なら基軸、人間も国家も同じではないか。

 平成8年、台湾総統選挙で台湾独立志向の李登輝氏が優勢と報じられた際、中国軍は軍事演習を実施し、基隆沖海域にミサイルを撃ち込み、恫喝した。
 アメリカに対して「台湾問題にアメリカ軍が介入した場合には、中国はアメリカ西海岸に核兵器を撃ち込む。アメリカは台北よりもロサンゼルスの方を心配するはずだ。」とまで言い、アメリカは空母を展開した。
 そのおりに防衛駐在官宮崎泰樹氏は、反米・反日の拳を振り上げる中国人民軍要人たちの懐へ飛び込み、罵倒されつつも酒を酌み交わし、情報収集と宥和に努めた。
 一触即発の危機は去った。

 自らは備えつつ穏和に暮らし、熱(イキ)り立ち角張る相手から穏和さを引き出すことができれば、それこそがみ仏の説く方便(ホウベン…最高の手立て)ではなかろうか。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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