コラム

 公開日: 2015-06-10 

真智の開発をめざして(その18) ─他者の善行に同感、感心したならば─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 五智如来のお智慧の内容を、私たちにわかりやすく説かれたのが「優しさ・厳しさ・正しさ・優雅さ・尊さ」という教えです。
 私たちの心にある仏心がきちんとはたらけば、み仏の光が発し、妄知(モウチ…おかげさまと心の底から思えない惑った心)も邪知(ジャチ…万事を我がためとするよこしまな心)も消え失せます。
 さて、今回は「優雅さ」について考えてみましょう。

3 善行に随順する

 私たちが互いに気持良く共生するためには、誰かの善き行いに〝ああ、いいな〟と同感や感心を持つだけでなく、同様の実践によって善き行いの輪を広げましょう。
 たとえば朝夕、小学生の通学時間帯に誰かが横断歩道で指導、保護を行っているのを見て〝ご苦労様〟と思ったならば、自分が同じ時間帯に同じ行動ができなくても、通学する子供たちへ自分なりに目を配り、気を配るようにしたいものです。
 こんなことは誰でもできそうなのに、実際はなかなかできません。
 なぜでしょうか?

 一つには、面倒だと思う気持です。
 その実体は、自分にとって何の得にもならないという判断です。
 自己中心的な我欲(ガヨク)のしわざです。
 このままでは、本当に善いことを行った時の深い達成感や喜びを感じられないままの哀しい人生で終わってしまいかねません。

 もう一つには、やっかみや反発する気持です。
 その実体は、自分がやっていないという引け目です。
 せっかく、良心が「あれは善い行いです」と教えてくれ、自分はそうだとわかっている、あるいはそうしたいのに、なぜか参加する気が起こらず、誉める気にもなれないというジレンマが起こっています。
 このままでは、良心が何度も何度も活動を妨げられているうちに錆び付き、光を失ってしまうかも知れません。

 良心と善行によってしなやかに練られる優雅で穏和な心が育たなければ、自分がギスギスし、了見の狭い人生を送らねばならないだけでなく、周囲の人間関係もそうした縁が多くなってしまいます。
 せっかく生まれ持った智慧が充分にはたらいていない世界です。
 これでは残念です。

 故藤沢周平は直木賞受賞の4年後、自分が子供の頃に行ったイジメ体験を綴りました。
 朝鮮人のアイスクリーム売りと、女乞食「お玉」について書いた『村に来た人たち』です。
 50才になった一流作家が、どうしても心にしまったままにしてはおけない思いを披瀝したのです。
 彼は深夜、原稿を書いていて自分の行状を思い出し、「思わず涙ぐみそうに」なります。
 侮られ、虐げられつつ生きる人々の人生が「いまになって私にもうっすらと」見えてきたし、そうした人びとに「あのようなかかわり方をした自分も」見えてきました。
 そして、「人はなぜ、人をいじめたりするのだろう。そもそも人間とは何者なのだろう。」と筆を止めて考えこんでしまいます。

 彼は愚かだった自分、ようやく愚かさの実態がわかりかけてきた自分をそのまま見つめ、書きました。
 小生はこの文章を思い出すと、自分の愚かさに心臓の筋肉が次々と収縮してしまうような気持になります。
 傍若無人だった自分、自分の愚かなふるまいを受けた方々――。
 皆さんの思いはいかなるものだったのか……。
 申しわけない……。
 こうしたことを繰り返していると、苛めに関する人生相談を受けるたびに、子供と大人とを問わず〝あなたには何としても苛めに負けない人間になって欲しい、苛める人間になって欲しくない〟と心中で幾度も祈ります。

 藤沢周平が『村に来た人たち』を書いたのはまぎれもなく善行です。
 読んで心をうたれた私たちは、ぜひ、善行に随順したいものです。
 自分の愚かさ、愚かだった自分から逃げず、自分が愚かな行為を繰り返さないのはもちろん、苛められて苦しむ方々のそばにそっと立ちたいものです。
 同感や感心にとどまらず、一歩、踏み出そうではありませんか。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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