コラム

 公開日: 2015-07-05 

『慈悲の花』に想う ―印と花と写真と―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







〈氏家国浩著『慈悲の花』より「私は、蒼天を仰ぐ慈悲の花になりたい」〉



 お釈迦様が入滅されてから500年以上もの間、お釈迦様は、徳と教えが偲ばれる伝説的聖者だったらしい。
 慕い、救われようと願う人々はお骨のそばへ詣で、目印となっている仏塔を礼拝した。
 そうして祈り、教えを実践する人々の思いと心は受け継がれ、紀元一世紀頃、聖者たちの脳へお姿が映るようになった。

 影現(ヨウゲン)という言葉がある。
 影のように現れることである。
 お大師様が亡き師恵果(ケイカ)阿闍梨(アジャリ)のために祈っていた夜、現れた師は、生まれ変わってお前の弟子になると告げられたという。
 
 今から80年以上前、三田光一氏は400人の観衆を前にして12枚の写真乾板のうち、7枚目へお大師様の上半身を念写した。
 東大の助教授だった福来友吉助博士は、超能力について生涯かけて研究した。
 影現したとされるお大師様の写真を目にすると、自然に合掌してしまう。

 さて、お釈迦様が瞑想に入っておられるお姿は禅定印(ゼンジョウイン)を結んで顕れた。
 成道(ジョウドウ…悟りの完成)を邪魔する魔ものたちを追い払うお姿は、地神(チジン…大地の神々)を呼び起こす触地印(ソクチイン)を結んで顕れた。
 教えを説くお姿は、説法印(セッポウイン)を結んで顕れた。
 こうして悟ったお釈迦様の世界は、語られたであろうお言葉が経典となり、象徴としては印相(インソウ…印の形)となった。

 ところで、私たちは怒りが込み上げ、耐えきれなくなってきた時、どうなるだろう。
 手がダラリとなったままではいられず、握った拳が震え出す。
 私たちは誰かを説得しようとする時、知らぬ間に口や目だけでなく手も動員され、身ぶり手ぶりが生じるのではないか。

 手は心に連動しており、お釈迦様へ近づこうとする聖者たちは、唱える言葉と共に、結ぶ印へ心の錬磨を託した。
 瞑想の印を結んではお釈迦様の悟りを目ざし、炎の印を結んでは不動明王を目ざし、蓮華の印を結んでは観音菩薩を目ざすようになった。
 こうして身体では印を結び、言葉では経文や真言を唱え、心では観想するという修行の形が整って今日へと伝えられている。

 修行をしていると、人間以外の生きものにも〈印〉に類する形とはたらきのあることに気づく。
 ネコが手で食べ物をねだり、あるいはパンチを繰り出すのも、花が風に揺れつつ語りかけてくるのも、意味と意義のある形であり姿である。
 私たちは、森羅万象が現れている形と、発している音や声によって世界に意味を感じる。

 写真は、転変万化する現象世界の一瞬をとどめ、世界に現れた印を示す。
 私たちは、そこに、流れゆくものたちに囲まれつつ見失っている大切なものを観たりする。
 印として影現した真実に魂を掴まれるのだ。

 修法にでかけた田舎町のラーメン点で氏家国浩著『慈悲の花』と出会い、こんなことを考えた。
  
 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

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