コラム

 公開日: 2015-07-07 

文化の源ギリシャはどこへ?

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 ギリシャが困っている。
 不景気で4人に1人が失業しているにもかかわらず、福祉関係の予算も削って財政危機を脱しなければならないという。
 先月末には国が不払いを起こした。
 いわば一回目の不渡りを出したようなものである。
 世論は、EUの意志に従って緊縮財政へ進むか、それに逆らいつつEUからさらなる援助を引き出すか、真っ二つに分かれ、7月5日、国民投票によって国の行方は後者と決した。
 当てにしていた年金を銀行から引き出せない人や、材料が仕入れられず立ち往生している工場主などの表情は、テレビで見るも気の毒でならない。

 ギリシャと聞けば、故岡潔博士が『昭和への遺書』に書いた一節が思い出される。

「ギリシャに源を発し、イタリーからフランスに流れ入り、ラインの岸であふれて全欧州を濡らした文化をラテン文化という。」

 ギリシャとインドにはその昔、深い叡智が花開いた。
 今から2000年以上も昔、私たちがこの世について、人生について、いのちについて、心について、宇宙について、そしてあの世について持つ根本的疑問のすべては、ほぼ思索され、議論され、深められ始めていた。
 日本の子供たちは高校生の頃、必ず習う。
 三度も戦場へ向かい、希代の悪妻クサンチッペと暮らし、「汝自身を知れ」と諭し、「悪法も法なり」と毒杯をあおいだソクラテスについて。
 いかなる問題についても必ず反対側からの見方があると指摘し、自分の価値判断基準にだけ頼ることの危険性を説き、「人間は万物の尺度である」と喝破したプロタゴラスについて。
 師ソクラテスを死へ追いやったアテネに幻滅して各地を彷徨い歩き、帰国後、アカデメイアという900年も存続する学園を開いた魂と数学の語り手プラトンについて。
 アカデメイアに学び、人間の持つ社会性に着目し、「人間は本性上、ポリス的動物である」と説いたアリストテレスについて。
 政治、天文、気象、土木、建築、航海、ありとあらゆる分野の大天才で、アリストテレスが「哲学の創始者」としたターレスについて。
 生きている間は死んでいないし、死ねば生きてはおらず、死は魂を形成している原子がバラバラになってしまうことに過ぎないとし、死の恐怖から解放されたエピクロスについて。

 私たちの思考には必ず、彼らの思索の断片が含まれているはずだ。
 ラテン文化について、岡潔博士はこうしたエピソードも遺した。

「或(ア)る曇り日の朝、私はソルボンヌへ急いでいた。
 数学上の或(ア)る発見をしたから見て貰おうと思っているのである。
 数学教授のフレッシェ教授の部屋をノックする。
 この人を選んだのは非情に親切な人だからである。
 書いて行った数枚の紙を見ると教授は一寸待って下さいと言って私を待たせて置いて出て行った。
 暫(シバラ)くするとダンジョア教授と連れ立って帰って来た。
 私は机の前に座って待っていたのだが、ダンジョア教授はツカツカと私の横に来て、コントランジェというフランスの理学雑誌を半分綴じ合わせた厚い本を机の上に乗せて、或る頁を黙って指さす。
 見るとダンジョア教授自身の論文である。
 数行読むと私は耳までまっかになって、その本の上に顔を伏せた。
 勿論(モチロン)私の発見は間違っているのである。
 顔を上げて見ると、二人で何かひそひそ話し合っていたが、フレッシェ教授が私の所に来て、私の肩をやさしく叩いて、ダンジョア教授はこの方面の権威ですから、と言った。
 そしてうなづき合って黙って二人でどこかへ行ってしまった。
 扉は開けたままである。

 街へ出てみると、何時の間にか雨が降ったと見えて水溜まりが光っていた。
 私は水溜まりばかりを見て歩いて汽車に乗った。
 そうして落ちつくと私には初めてラテン文化の高い香りがわかって来た。
 私はこのとき初めて文化の高さがわかって来た。」

 学生時代にこの一文を読んだ時、学問とはこうして深められるものかと強烈な憧れを持ち、ラテン文化の底知れなさを想った。
 その発祥の地が危うくなっている。
 国民投票の結果を受けたチプラス首相は「ギリシャは歴史的なページを開いた」と叫んだ。
 世界へ広がった文化の源であるギリシャは今後、いかなる歴史を紡ぐのか。
 分裂と昏迷へ向かい、ロシアや中国の影響力が高まり、世界の緊張が増さぬよう祈る思いである。


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「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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