コラム

 公開日: 2015-07-08 

仏教と絶対者 ―言霊・縁起の法など―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈個別型永代供養樹木葬『法楽陵』に招魂木(オガタマノキ)が植えられました。3メートルの霊木はやがて30メートルにもなることでしょう〉

 仏教は「絶対者」や「創造主」の存在を仮定しない。
 ものごとの判断基準をそうした誰かに委ねない。
 あくまでも〈道理〉をもって考え、〈納得〉を求め尽くすのが仏道という道である。
 だから、仏教と科学は争わず、ダライ・ラマ法王と脳科学や宇宙物理学などの科学者たちとが公開対話を行い、互いに重要な示唆を得る場面も生ずる。
 仏教は、つきつめたところで何かを「信じるか信じないか?」と踏み絵を迫らない。
 人間を「信じる者」と「信じない者」に二分しない。

 では、仏教徒は何を信じるか?
 まず、道理が共有されることを信じる。
 だから、お釈迦様も、お大師様も対話を重視した。
 話し合うのは、「自分の言葉が相手へ通じている」と信じていればこそである。
 相手の話を聴くのは、「聴けばわかる」と信じていればこそである。
 両者が言葉によってやりとりができる不思議さから、私たちは古来、言霊(コトダマ)を考え、言霊学という分野さえある。

 万葉集にある「言霊(コトダマ)の幸(サキワ)ふ国」こそ、日本であり、幸せを求める私たちは祈り、つまり「斎(イ)告(ノ)り」を欠かさなかった。
 この「斎」とは神聖さであり、神聖なものである。
 そして「告」は思いの投げかけであり、呼びかけである。
 社会学者加藤英俊氏は語る。
「一般にメディアとはテレビやラジオ、新聞などですが、もう少し言うと、人と人をつなぐものすべてです。
 原点はカミ・ホトケと人をむすぶもの。
 聖と俗をむすぶものが、俗と俗をむすぶようになったのです」
 ちなみにチベット仏教には「問答」という激しい対論の修行があり、テストもある。
 み仏の世界へより近づくため、み仏や経典の言葉について、互いに言葉をもって確認し合い、深め合う。 
 日本の仏教界も見習うべきではなかろうか。

 だから、仏教は思考の行き止まりを認めず、八万四千もの法門があり、仏教は日々、深められ、高められ続けて変化をやめない。
 いのちと心と、この世界の連鎖、連続は無始無終であり、どこかで、〈この先〉を遮る絶対者が求められることはない。

 お釈迦様が説かれた峻厳な「縁起の法」はそうした存在を認めない。
「これが有るから、これが有る。
 これが生じるから、これが生じる。」
 すべては条件によって生じる。
 縁によって起こっている。
 だから、「縁滅の法」もある。
「これが無ければ、これが無い。
 これが消滅すれば、これが消滅する。」
 すべては条件によって消滅する。
 縁によって滅している。
 
 どこにも絶対者の居場所はない。

 その7~8百年後、龍樹菩薩(リュウジュボサツ)は、「空(クウ)」を説いた。

「あらゆる存在には固定した実体がないから空(クウ)である。」

 空を体得したければ、『般若心経』を読誦し、行者に学べばよい。

 その6~7百年後、お大師様は、ありのままで仏性を生きる「即身成仏(ソクシンジョウブツ)」を説いた。

「浅はかな知ではなく、根本的な智に依っていのちを燃やし、ありのままに生きよ。」

 即身成仏を体得したければ、『理趣経(リシュキョウ)』(特に百文字でつづられた「百字の偈」)を読誦し、行者に学べばよい。

 私たちは絶対者も創造主も仮定することなく、心次第で互いの仏性を認め合える。
 相手が猫や花や樹であろうとも……。
 そして、互いを尊び、互いのためになれば、この世は極楽になる。
 こうして現代の仏教は、相互礼拝、相互供養を目ざしている。

 今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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