コラム

 公開日: 2015-07-16 

『寺院消滅』を読む(その1)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 東日本大震災の前あたりから、「~はいらない」といったタイプの仏教批判書が相次いで出版され、震災後はさすがに下火になったものの、またもや、似たような状況になっている。
 苦や死と格闘する現場からあまりに遊離した、ほとんど言いたい放題といった感のあるベストセラーも珍しくない。
 そんな中で、現場で汗を流す僧侶の本音を丹念に訊き集め、寺院の状況を分析した本がようやく世に問われた。
 鵜飼秀徳著『寺院消滅』である。
 昭和49年生まれの氏は、京都の寺院に生まれ、僧籍を持っているが、現在は「日経ビジネス」の記者を務めている。

 平成26年の彼岸前、旧知の僧侶から氏のもとへメッセージが届いた。

「ここ松本では山間部で過疎化が進んでおり、寺を維持できなくなっています。
 東京などの大都市への人口の流出と地方の疲弊の流れの中に、寺院の存続問題があります。
 経済記者の視点で地方の寺を取材してみてはどうでしょう。」

 氏はただちに腰を上げ、「北海道から鹿児島、離島にまで」及ぶ取材を行った。
 それは「知られざる仏教史をたどる旅でもあった」という。
 氏は「はじめに」に書いた。 

「昨今、家族葬や散骨、永代供養などにみられるように、寺との関わりが希薄になっている。
 田舎から都会への改葬(墓の引っ越し)も増えている。
『失われる宗教』の背景には、法を説くことを忘れた僧侶への厳しい批判や寺院不要論があることは十分承知している。
 しかし、『寺が消えることは、自分につながる〝過去〟を失うことでもある』ことを、わずかでも感じとっていただければ幸いだ。
 人は未来に希望を託さずには生きられないが、『過去』を振り返ることも時には必要だと思うからだ。」

 離島の現実である。

「一人、二人と島人がこの地を去っていく。
 それは若者だけではなかった。
 島には病院や充実した高齢者施設がなく、子供が親を都会に呼び寄せるのだ。
 若年層から老年層まで、すべての世代が、島を去っていく。」

 氏は「葬儀相場のウソ」に書く。

「東京の布施の値段があたかも全国の寺のスタンダードであるかのように語られ、『お坊さんは裕福だ』『坊主丸もうけ』との誤解を生んでいる感は否めない。」

 当山は、一切〈相場〉について語らず、示唆もしない。
 それは、お布施の本義からして自発的なものでなければならず、差し出す当人の価値観と財布の事情によるべきであると考えているからである。
 お布施を差し出す場面では、その方の人間性と生活事情が赤裸々に顕れる。
 仏神へ祈らずにいられない時、人の死を前にした時、一切の飾りは消え、裸の自分そのものになる。
 商取引に用いる〈値段〉や〈損得〉とは別の次元に立つ。
 だから、お布施に値段をつけた瞬間、ご祈祷もご葬儀もご供養も、聖なる修法は宗教行為でなくなり、取り引きではない人生の真実が失われる。(墓地の永代使用など、形があり、平等性が必要なものは別である)

 また、改葬をこう見る。

「核家族に集約される都市部と、高齢化が進む地方の郷里という二項対立の中で、改葬が今後、全国的に急増することは間違いない。
 人と街とが分断されていく時代の象徴、それが改葬なのかもしれない。」

 まったく同感である。
 当山は田舎町にあるが、それでも改葬で新たにご縁を結ばれる方が引きも切らない。
 当山の願いは、改葬が仏法との縁切りにならないよう、仏法で守られる墓地との仏縁に納得と安心を得ていただくことである。
 樹木葬であれ共同墓であれ自然墓であれ、あるいは一般墓であれ、相手様の宗教宗派は一切、問わないが、住職と対話し、結界を張った聖地に仏縁を求めることに、非宗教的空間とは異なる清浄さや潤いや安心を感じ、それがその方の生き方に何らかの意義をもたらすよう、日々、祈っている。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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TEL:022-346-2106

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