コラム

 公開日: 2015-07-19 

インドの心中未遂と宗教の役割

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈7月19日付の河北新報「心を寄せ合う 分かち合う」に掲載されました〉

 7月18日付の産経新聞は「タージマハルで心中未遂」を報じた。 

「インド北部アグラにある世界遺産、タージマハルで、宗教の違いから家族に結婚を反対された若いカップルが、心中を図った。
 インドでは、宗教やカーストが異なることを理由に、男女が結婚を反対されることが多い。事件の舞台が、17世紀の皇帝が愛妃のために建設した巨大な墓だっただけに、2人の悲恋が注目を集めている。

 現地警察当局者によると、ヒンズー教徒の男性とイスラム教徒の女性が15日、タージマハルの建物近くで、のどを刃物で切って自殺を図った。
 血を流して倒れているところを警備員らに発見されて病院に運ばれたが、命に別条はないという。
 刑法は自殺を違法としているが、警察はこれ以上捜査しない方針だ。
 インドでは、こうした男女が、駆け落ちをすることも少なくない。
 反対を押し切って結婚したために、親族の怒りを買い、殺害される“名誉殺人”がしばしば起きている。
 男性の親は病院に駆けつけたが、女性の親は17日朝になっても姿を見せていない。

 タージマハルは、ムガール帝国第5代皇帝シャー・ジャハーン(在位1628~58)が死去した愛妃のために建設した巨大な墓。(ニューデリー 岩田智雄)」

 勃興めざましく、数学や物理学や電子工学などの分野では世界で一目置かれるようになったインドには、西欧や日本とはかなり異なる文化がある。
 その最たるものはカーストである。
 もちろん、現在のカーストは身分や職業を定めるものではなく、宗教や慣習などを同じくするコミュニティーといった程度ではあるが、それでも結婚に関しては決定的な意味を持つ場合が多い。
 インドにおける婚活の広告は、まず、自分と求める相手のカーストを明示するところから始まる。
 カーストがもたらす悲恋物語の映画はヒットし、許されぬ恋を断罪する名誉殺人は絶えない。
 しかも、ターゲットとされた人物には懸賞金がかけられ、身内の葬儀などで姿を現した際に殺されるといったケースさえ珍しくない。

 この事件を起こした二人はせっかくいのちをとりとめても、今後、いかなる生活が待っているのだろうか?
 女性の親が姿を見せないという状況も、日本人には到底、理解できないが、現実である。

 こうした情報に接すると、そもそも宗教の役割は何であるか、考えさせられてしまう。
 自分の体験からすれば、一言で言うなら〈解放をもたらすもの〉である。
 もちろん、それはいわゆる思考停止を意味するのではないし、ここから先は神に委ねよと強制されるものでもない。
 般若心経は説く。

「心に罣礙(ケイゲ)無し。罣礙(ケイゲ)無きが故に、恐怖(クフ)有ること無し。一切の顚倒夢想(テンドウムソウ)を遠離(オンリ)して、涅槃(ネハン)を究竟(クキョウ)したまえり。」

(心は何ものにも覆われない。覆われていないがゆえに、塞がれる恐怖もない。無いものを有ると考えて執着する誤ったものの観方を超越し、解放され切った境地を完成させる)

 そして、身についた修法により、解放された境地を求める方々と共有するのが行者たる僧侶の務めである。
 東日本大震災後、心身に傷を負ったたくさんの方々が当山を訪れた。
 ある時、自分自身、大きな傷手をこうむりながらも不安の空気に包まれた保育所で懸命の努力を続ける保母さんから救いを求められた。
 人生相談とご加持(カジ)を行った。
 見違えるように元気を取り戻した保母さんは、船出をする人のような感じで当山を後にされた。
 もちろん、彼女の宗教的信念について一言も問わず、彼女が伝授された真言を今でも唱えているかどうかも知らない。

 仏教寺院は決して葬儀のみを行っているのではなく、開かれた公器として、善男善女の〈この世の幸せとあの世の安心〉を求める思いに応えることを使命としている。
 現世的束縛から解放する宗教が、本当に万人を救い得るものであって欲しいと祈るのみである。
 
「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

この記事を書いたプロ

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遠藤龍地

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