コラム

 公開日: 2015-07-25  最終更新日: 2015-07-27

チベットでの焼身自殺 ―青年の死を無駄死にとさせぬためには―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈これがチベットと中国の現実である〉

 7月9日、チベット人僧侶ソナム・トプギャル(27才)が焼身自殺をはかり、翌日病院で死亡した。
 平成21年からこれまでの間にチベット人の抗議自殺は142件にのぼる。
 場所は中国青海省玉樹チベット族自治州。
 ここでは5年前、マグニチュード6.9の青海地震が発生し、死者2698名、行方不明者270名、負傷者1万2千名以上の大惨事となった。

 いかに覚悟の上とは言え、彼は火に包まれても転げ廻らず、暴れず、倒れたまま祈っているようにすら見える。
 また、周囲の人々も誰一人、火を消そうとせず、ただ、見届けようとしているかのようだ。
 自他の救済を祈る僧侶が自らのいのちを断つしか人々を救う方法がないとは……。
 元来、チベットの動物だったジャイアントパンダを各国との友好親善の道具として用い、弾圧と略奪を繰り返しつつ日本で〈爆買い〉に興ずる中国人とは……。
 
 難民支援NGO"Dream for Children"公式ブログは報じた。

「トプギャルの家族はトプギャルの遺体を引き取るために病院に出向いたが、中国当局は遺体の引き渡しを拒否し、家族を拘束したという。
 トプギャルの焼身自殺後、中国当局はただちに現地の取り締まりを強化し、通信を遮断している。
 その後、車のガソリンを買うには、政府からの許可が必要となっている。」
 
 約2年前、ダライ・ラマ法王は、日本の支援者たちを前に焼身自殺への感想を求められ、こう答えられた。

「このように自らの命を犠牲にして何かに抗議するという行いは、今までも行われていたわけです。
 例えば中国の中におきましても、ある中国の仏教のお寺の僧侶の方が自らの命を投げうって、人びとのために抗議をしたことがありますし、ベトナムの中でもそういったことは起こっています。
 そして私たちの国チベットでも全く同じです。

 このように自分にとってもっとも大切なものである命を投げ出して、他の人たちを救うために、世の中にそういったことの不条理を問いかけようと、こういう行いというものは本当に尊ぶべき、本当に美しい行いだと思います。
 そういった行いというのは、究極的には他の者たちに暴力を使わないで自らを痛めるということによって、世にその不合理性を問うという行為であるわけですから本当に素晴らしい行為ではないかと思います。

 これに関しましては、もちろん本当に非常に心が痛む悲しい出来事であるわけです。
 私はひとりの仏教の僧侶でありますので、そういう意味においても本当に焼身自殺者が出るということに関しては本当に心を痛めているわけなんです。
 これは政治的な状況によって、どうしようもなく起きてしまっていることであり、私自身は約2年前に完璧に政治的な分野における最高指導者としての位置を引退しておりますので、そのような状況であります」

 法王は三つの内容を説かれた。
 一つは、他者を傷つける暴力によるのではなく、自らのいのちをかけて社会の不条理を正そうとする行為は菩薩(ボサツ)の利他行であるということ。
 もう一つは、いのちを尊ぶ宗教者が自分で自分のいのちをなくすという究極的方法しかないと決断し、死んで行くのは耐え難いほど悲しいということ。
 そしてもう一つは、チベット人の力ではどうにもならないところまで追いつめられた状況について、政治的分野での最高指導者を降りた自分は、政治的判断や行動を控えるということ。

 なお、自殺そのものに関するダライ・ラマ法王の見解については、拙書「生と死そして愛とカルマ ダライ・ラマ『死の謎を説く』に学ぶ」をご覧いただきたい。
(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-4642.html

 ここでは、以下、自殺に関するお言葉の一部のみを断片的に転記しておきたい。

「人がこのような決断を下す理由は、唯一つの事柄によるわけではない。」

「死への恐れ、恐怖は依然としてある。
 にもかかわらず、それと対立し矛盾する心の衝動が生じ、それが恐れを凌駕(リョウガ)する瞬間が、人が自ら命を断つときなのだろう。」

「自殺においては、己(オノレ)自身を殺すという動機は存在する。
 また、その行為は現実に遂行(すいこう)されている。
 だが、あなた自身が死ななければ自殺が完成しない以上、あなた自身が己(オノレ)を殺すという行為を完遂させることは不可能だ。
 真の意味で自殺は成立しないということになる。」

「自殺はなべて悪であるとは言い切れない。
 ある特定の、ひじょうに限定された状況において、自殺は許される行為となりうることを言っておかねばならない。」

「他者に悪しきカルマをもたらすことを避けるためには、こうした自殺は許される。」

「よく肝に銘じておくべきだ。
 仏教徒にとっても、自殺は悪しきことである。
 極力、自殺は避けねばならない。
 ここで私が述べたことは、あるきわめて限定された極限状態の中で、例外的に自殺も否定されない場合があるということである。
 いかなる場合も、自殺を絶対的に罪だとするキリスト教との違いを覚えておけばそれでいい。」

 あしかけ6年、ようやく映画『ダライ・ラマ14世』が完成し、全国各地での上映会が始まった。

「本作では、今まで誰も見たことのないダライ・ラマ14世に出会うことになる。
 カメラは関係者以外には入ることのできない場所へと分け入っていく。
 そこに映し出されるのは、眼鏡をはずし、お茶をのみながらくつろぐ普段の姿。
 書物に目を通し、今も日々の課題を学ぶひとりの僧侶としての姿である。

 また、チベット亡命政府のあるインドのダラムサラと、いまもチベットの伝統と風習が受け継がれるラダックへの取材を敢行。
 その映像からは、脈々と受け継がれるチベット仏教の教えと、その源流であるダライ・ラマの存在、そして亡命後にダライ・ラマ14世が人々と作り上げてきたものが浮き彫りになってくる。
 作品中、法王は私たち日本人に、エールというべき期待を込めたメッセージを送っている。
 戦後70年の今、そのメッセージをひとりでも多くの人に受け取ってほしい。」

 ネットで映画の情報について検索すると、明らかに消されたものがある。
 恐ろしい状況になった。 
 宮城県での一日も早い上映会開催が望まれる。
 何としても、青年の死を無駄死ににしたくない。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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