コラム

 公開日: 2015-07-29 

今、宗教よりも大事なものは? ―ダライ・ラマ法王の警告―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





  ダライ・ラマ法王は、『ダライ・ラマ法王、フクシマで語る』において、端的に述べられた。

「私たちがかかえている、人間が作りだした多くの問題は、私たちの心のなかに倫理観が足りていないところから起こっています。」

 年金が欲しくて親の死を隠しておく、ムシャクシャするから見ず知らずの人々を車ではねる、人種が気に入らないから学校で発砲する、女性たちを奴隷のように売買する、権力や財力を持つ人たちが庶民の苦しみから目を背け特権的な生活を謳歌する。
 世界中で起こっているこうした問題は明らかに、倫理観の欠如がもたらしたものだ。 

「今までの近代教育は、物質的な面における向上だけを考えたものではなかったかと思うのです。
 すなわち、私たちの内なる世界である『心のなかの良き資質を高める』という観点からの教育が不十分であった。
 このために人が作り出した問題が次から次へと生じてきているのではないかという気がします。」

 モノ金、あるいは権力を手に入れる方法をいくら教えられても、まっとうに生きるイメージを心に育てていなければ、手にするあらゆるものは他人や社会を害する可能性を高める。
 作った料理で人々を喜ばせる嬉しさや感謝の心から包丁を磨けば、包丁は立派に本来の役割を果たすが、怒りや怨みや損得計算などに駆られて包丁を研げばどうなるか。

「私たちが高めていくべき精神的なレベルにおける良き資質というものは、主に人に対する、あるいはすべての命のあるものに対する、優しさと思いやりを高めるというところにあります。」

「自分以外の命あるものの痛みを十分にわかること、そしてそのような状況にある人たちに対して思いやりを持つこと。
 これこそ、今私たちに必要なことではないかと考えています。」

 他者への優しさと思いやりを持つことが必要なのは明らかだ。
 ほとんどの問題はこれらの欠如から起こる。
 ならば、必要な倫理観とはこのことに他ならない。

「ある種の人々、おもに西洋社会の方々が多いのですが、倫理観は宗教に基づいて高められるべきである、という考え方をもっている人たちがいます。
 しかし一方では、宗教に基づく必要はなく、普通の人たちが一般的な世俗的なレベルにおいて、倫理観を高めることができる、という考え方をしている人たちもおり、私はこちらに属しています。
 すなわち、正しい倫理観を個人がもち、それを守り、それに基づいて人としての正しい行いをして生きていく。
 それは、私たち人間が精神的レベルを高めることによって成し遂げられるのです。」

 神の存在を認めるかどうか、といった宗教的見解を突き詰めなくても、私たちは持つべき倫理観を持ち、まっとうに生きていくことができるはずである。
 なぜなら、誰もが苦を望んでいないことを認識し、他者の苦しみを知り、見捨てておけず、何かを行うのは、神のあるなしとは別次元の、今、ここで誰もが実践できる生き方だからである。

「このことは、『心の動機』を正しく設定することにつながっています。
 心の動機が正しければ、それによってなされる外面的な行い、すなわち身体のレベルにおける行い、そして言葉のレベルにおける行いを正しく方向づけていくことができるのです。
 このようにして私たちは、他のすべての人たちに役に立つ存在となることができるのです。
 たとえ他の人たちを助けたり、役に立ったりすることができなくても、少なくとも、他の人たちに迷惑をかけない、害を与えないということを守っていく。
 こういうことこそ、倫理を守って正しく生きるということの意味だと、私は考えています。」

 心の動機とは、前述の〈包丁を研ぐ〉目的を意味する。
 あらゆる身口意のはたらきは一体、何のために用いられるべきか?
 誰かのためになる、誰かに害を与えない。
 たったこれだけができれば、私たちは「人間が作りだした多くの問題」を解消の方向へと導ける。

「この世界にはさまざまな宗教が存在しています。
 しかし、おもな宗教がまったく同じように、愛と慈悲の心、許し、忍耐、自分のもっているもので満足する心、そして自己規制をして正しく生きる、という共通の教えを説いています。
 しかし、現実にはその宗教がどれほど行きわたった、普及したポピュラーなものであっても、宗教に基づいた倫理観を説くかぎり、その倫理観の教えは、その宗教を信じる人たちの間では広まっても、全人類に共通するものにはなりません。
 なぜなら世界には一切の宗教を信じない人もたくさんいるからです。
 が、今私たちは、倫理観の欠如という危機に面しています。
 この危機を乗り越えていくためには、全世界的なレベルで、あらゆる人に共通するものの考え方に基づいて倫理観を高めていかなければなりません。
 宗教というものに基づいてこの倫理観を高めようという努力をするかぎり、全世界的な対策とはなりえないのです。」

 宗教者である法王が、宗教の弊害を述べておられる。
 たとえば、神の存在を認めるかどうか、といった出発点に立たなくても、私たちは倫理観を手にすることができるし、むしろそうした宗教的選択は、普遍的な倫理観を育てる邪魔になる可能性がある。
 たとえば、当山へ〈布教〉にくる方々がおられる。
 にこやかに玄関から入り、神の救済を説こうとする。
 明らかにそこである宗教的生活をしている人の心へ突然、土足で入りこみ、異物を放り込もうとしている自分の行為のちぐはぐさ、そして相手にとっての迷惑さ加減が認識されていない。
 こうして〈平和〉の中ですら害となり得る宗教は、〈戦争〉でいかなる害をもたらしたとしても、決して不思議ではない。
 国家そのものが地上から抹消されそうになっている状況と悪戦苦闘する法王は、いかなる宗教も(きっとイデオロギーをも含むのだろう)決して「全世界的なレベル」での救済になり得ないことを痛感しておられるに違いない。
 だからこそ、布教の必要性ではなく、まず「あらゆる人に共通するものの考え方に基づいて倫理感を高めていかなければなりません」と説く。
 倫理観の欠如が世界を危機に陥れている以上、やらねばならないことは明らかである。
 では、どうすれば「全人類に共通する」倫理観が獲得できるか?
 
 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

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