コラム

 公開日: 2015-08-08 

イスラム教を学ぶ ―黒田卓教授のお話―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈黒田卓教授〉



〈東北大学広報誌『まなびの杜』よりお借りして加工しました〉

 日本が世界との関わりと交わりを深める過程において、現在はなじみの薄いイスラム教とうまくやって行かねばならない時がもう、そこまで来ている。
 今のままでは、無用の偏見や誤解や差別などが起こりかねない。
 ハラル食品(シャリーア法とイスラム原理に合った健全とされる食べもの)などが話題になる一方で、1月17日、安倍首相はエジプトにおいて表明した。
「私は、ISIL(いわゆるイスラム国)と闘う国々に対し、人材開発やインフラ整備などを支援するため総額でおおよそ2億ドルの援助を表明します」
 あとになって、人道支援だからイスラム国への挑戦ではないと釈明しているが、国際的に通用しないだろう。
 国際的に人道支援とは、対立する片方に肩入れしない〈中立性〉と、政治的、経済的、軍事的に特別な立場から離れ自主的である〈独立性〉が大原則である。
 しかし、今回の行為が敵対する勢力の一方を援助する政治的行為であることは明らかである。
 だから、IS側から見れば、「敵の側に立った」と判断するのは当然である。
 事実、ISはただちに「日本国民に告ぐ。おまえたちの政府はイスラム国と戦うのに2億ドル支払うという愚かな決定をした。」と反発し、邦人を殺害した。

 私たちは、報道されるISの残虐性や非人道性や暴力性などに眉をひそめ、融通性や包括性や許容性がある日本の文化との異質ぶりにとまどい、イスラムそのものへ対して拒否的心理になりがちだが、これが不幸の始まりであってはならない。
 仮に、日本のどこかでたった一回、爆弾テロ事件が起これば、過激的集団だけへではなく、ムスリム(イスラム教徒)全体とののっぴきならない対立的雰囲気が生まれかねず、それは、日本らしさの崩壊へとつながりかねない。
 だから、〈最初の一回〉が起こらぬよう、私たちは、世界で16億人(約4人に1人)を要するイスラム教について知り、ムスリムと友好的に共存するイメージを創って行きたい。
 何しろ、今世紀の半ばには、その勢力はキリスト教徒に匹敵し、世界中の3人に1人はムスリムになると予測されているのだ。

 そうしたわけで、8月7日、東北大学大学院国際文化研究所を訪ね、科長を務められるアジア・アフリカ研究講座の黒田卓(タカシ)教授に面会し、当山の寺子屋『法楽館』において、イスラム教に関する基本的知識と、ムスリムの生活ぶりなどについてのご教示を懇請した。
 教授は快諾され、9月12日の寺子屋でご講演をいただく方向で調整を始めていただいた。

 お聴かせいただいたお話のごく一部を記しておきたい。

○ムスリムになる一番のきっかけは結婚である
 確かに、食事から礼拝まで、夫婦が別タイプの文化を生きることは不可能だろう。

○ムスリムの第一の関心事は自らが救済されることにある
 自分がしっかり生きるための信仰であり、布教を目的とした宣教師のようなものはなく、〈伝える人〉としては、ムスリムの一人一人がそうである。
 仏教と対比すれば、一部の聖職者を除き、全員が〈在家信者〉のようなものである。
 私たちが思い描きかねない、武器とコーランによる世界征服といったイメージはまったく的外れである。

○商人マホメットに始まる宗教らしく、宗教が現実生活と別ものではない
 商売や交易などを通じてイスラム教は広まった。
 聖地への巡礼はあるが、基本的に宗教的行為は日常生活のリズムに組み込まれており、生きることがそのまま宗教的生活となる。

 教授は東北大学広報誌『まなびの杜』(2015夏号)に「ムスリムたちの近代との出会い」を寄稿されている。
 その中に印象的な文章がある。

「イスラームの宗教も思想も文化も、現実に創り出しているのは、ムスリムたちの人間的な営みです。」

 イスラム教には「コアに不変とも思える理念が確かに」あるが、現実生活によって生きられるイスラム教の歴史は、「大いに可変的で、事実、時代時代で否定しがたい変容をこうむってきた」ことに注目したいと説かれる。
 いかなる宗教も、人間の「人間的な営み」によって存続している。
 私たちがこうした視点を持てれば、つまらぬ対立や、愚かな誤解や偏見や差別はなくなるのではないか。
 それぞれなりの「人間的な営み」に健気さを感じ、哀しくも愛しいと思えれば、宗教が〈壁〉となる事態は避けられるのではないか。

 教授による9月のご講話が実現するようご期待申し上げたい。
 上記のメモには、当日、お話しできなかったあたりまで書きました。
 講話が終わってからもご質問が相次ぎ、たくさん教えていただいた有意義な時間でした。
 
 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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