コラム

 公開日: 2015-08-15 

敗戦の日に想う ―『戦争をしない国』を読む―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈『戦争をしない国』に掲載された天皇陛下のお言葉です〉

「世界はなぜ、戦争を止められないのか―― 国連憲章と集団的自衛権」というA5版で5頁の文章がある。

 矢部宏治著『戦争をしない国 明仁天皇メッセージ』の[付録]として書かれたものである。
 氏はすでに一年前、著書『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』において戦後日本の憲法と安全保障に関する構造を明らかにしたが、今回は、進むべき道を示した。

 戦後世界は元々、「個別国家の戦争は違法」という基本構想に基づいてデザインされていたが、スターリンとの信頼関係で緊張緩和に力を尽くしたアメリカ大統領ルーズベルトの死と、原爆の活用にメドのついた昭和20年、アメリカによって、国連憲章へ突然、まったく新しい概念が付け加えられた。
 それが「集団的自衛権」である。
 国連本来の理念である「個別国家の戦争は違法」から「独自の軍事同盟にもとづき、国連の許可なく戦争を始める権利」を認めるという大転換が行われた。
 この条項を作ったダレス(サンフランシスコ条約と旧日米安保条約の生みの親)はアメリカ議会で述べている。

「軍事行動を国連安保理を通じて行うか、独自の軍事同盟にもとづいて行うかの決定は、そのときどきの国益に応じてアメリカが自由に選択することができます」

 この時点で、国連は〈お飾り〉になり果てた。
 戦争における国際的正義のありかは、国連とアメリカが同等に判断できることになった。
 さらに言えば、アメリカの判断による正義の旗さえあれば、アメリカと行動を共にする国々は世界のどこで勝手に戦争を始めようと、とがめられなくなったのである。

 そして、「もっともアメリカにとって都合のよい、事実上の占領継続条約」として日米安保条約が結ばれた。
 その結果、「日本というひとつの国の中に」「巨大な矛盾が生み出され」てしまった。

「あらゆる軍事力を放棄した憲法9条2項」[マッカーサー作]
「人類史上最大の攻撃力をもち、日本から自由に出撃して戦争する在日米軍」[ダレス作]

 私たちは「二度と戦争をしないことを誓って憲法9条を書いて出発した日本は、米軍を一種の国連軍と思ってその駐留を許可し」ながらも、「日本自身が集団的自衛権を行使すること[=海外派兵]だけは、平和憲法があるから絶対に無理です」という理由で自衛隊を海外派兵させぬよう努力してきた。
 しかし、今、私たちは自ら最後の砦であるこの〈理由〉を放棄し、自衛隊を米軍と一体化させようとしている。
 国会で「被爆国日本の自衛隊が、米軍の核兵器を運搬することになりはしないか?」という質問に対して、中谷防衛大臣は「日本が主体的に判断するのであり得ません」と答弁しているが、あまりの痛々しさと、言葉の空虚さに現実感を失いそうになる。

 氏は断言する。

「『集団的自衛権』という名のもとで、アメリカの違法な戦争(=先制攻撃ドクトリン)に加担することは、9条2項だけでなく、9条1項の完全な破壊です。」

 そして、二つの条項を書き込み、事実上の機能停止に陥った憲法を機能させようと提案する。

1 専守防衛、絶対に先制攻撃を行わない最低限の軍事力は持つ
2 外国軍の駐留は認めない
 
 これが「基地や原発や戦争など、さまざまな問題を解決するためのスタート地点」であると言う。
 ちなみに、日本国憲法第9条は以下のとおりである。

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 敗戦後、日本は、占領軍である米軍を日本中に駐留させたままにしている。
 沖縄問題や原発問題に明らかなとおり、米軍を背景とした米国の〈意向〉は事実上、日本国憲法以上の力を発揮している。
 8月12日、沖縄本島中部の沖合でアメリカ軍のヘリコプターが墜落したが、日本は一切、直接的調査も捜査もできない。
 政府はこう言うのみである。
 「事故の報告は受けているが、詳細については確認中だ。極めて遺憾であり、アメリカ側に迅速な情報提供と原因究明、再発防止を、政府として強く申し入れる」
 日本に許されているのは「確認」という儀式だけである。

 敗戦の日から70年、今、日本はいかなる状況におかれているか、いかなる方向へ行くべきか、熟慮せねばならないと思う。
 今日のお盆供養会でも、祖霊へ「不戦日本」を祈ろう、誓おう。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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