コラム

 公開日: 2015-08-17 

お塔婆(トウバ)の意義と処置について

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈『不戦堂』の千羽鶴〉



〈お塔婆の裏側〉

 今年のお盆期間中、お塔婆(トウバ)に関するご質問がたくさん寄せられました。
 最も多かったのが「古いお塔婆はどうすればよいのですか?」でした。
 『大日経』という深化した経典に基づく伝統的で尊い捧げものについて、皆さんの関心が高まっているのは嬉しいことです。
 何しろ、お大師様すら経典に基づき、お塔婆を書かれていたのです。

 さて、この質問へお答えする前に、お塔婆はそもそも何なのか?について、おさらいしておきましょう。

 それを考えるヒントは、お塔婆の形と、書かれている文字にあります。

 まず、形は下から、四角、丸、三角、半円、宝珠の5つが重ねられています。
 次に、文字は下から梵字(ボンジ…インドの文字)でア、バ、ラ、カ、キャであり、それぞれ、地・水・火・風・空を象徴しています。
 それらはそれぞれ、固いもの、流すもの、温めるもの、吹き渡るもの、妨げぬもの、というこの世にあるすべてのものが持っている〈徳性〉を示しています。
 たとえば私たちの身体に当てはめれば、骨格、血液、体温、呼吸、バランスということになります。
 だからお塔婆は形と文字によって、この世のあらゆる徳性、すなわち、価値のすべてを表していることになります。

 古来、行者たちはお塔婆へ祈りを込めてきました。
「〈地〉のように堅固な、悟りを求める心を持ち、それが大地に植えられて育つ植物と同じく成就へ向かいますよう」
「〈水〉のように清らかな、心身の垢を流す心を持ち、円満に成就しますよう」
「〈火〉のように燃え上がる、罪障を燃やし尽くす心を持ち、煩悩を克服できますよう」
「〈風〉のように塵を吹き去る、自在な心を持ち、因縁の鎖から解き放たれますよう」
「〈空〉のように何ものをも妨げない、広大で無我の心を持ち、悟りが実現しますよう」

 さて、お塔婆の裏には、たった一つの梵字が大きく書かれています。
 それは、心を象徴するバンです。

 こうして、一枚のお塔婆の表側には、目に見える世界の徳、そして裏側には、目に見えない世界の徳が表現されているのです。
 しかも、お塔婆には必ず、開眼(カイゲン)の修法が施されてから皆さんの手に渡ります。
 開眼とは、文字どおり、み仏に眼を開いていただく修法であり、この法を結ぶことによって、仏像は単なる像でなく、お墓は単なる石像物でなく、お塔婆は単なる板ではなくなります。
 何しろ、5つあるとされるみ仏の眼が開いておられるのです。
 み仏と一体になった行者は、法力によって仏像やお墓やお塔婆へ五眼を順番どおりに書き入れます。
 法力を会得していなければ、作法は日常生活上の延長として行われる儀式でしかなく、仏像はご加護の眼が開かれません。
 だからこそ、行者は修行に励みます。
 こうして法が結ばれたお塔婆を捧げるのは、御霊へ対する最高レベルの供養になります。

 ところで、私たちはこの世が在ると思っていますが、誰にでも同じように在るわけではありません。
 見えるように見え、見たいように見えているので、人それぞれ千差万別です。
 言い方を変えれば、身体のありようと心のありようによって、〈その人にとってのこの世〉があるのです。
 だから、お塔婆も、ある人にとっては、ただの板でしかなく、ある人にとってはありがたい法具であり、供物ともなります。
 この世を心豊かに過ごすため、価値あるものに気づきましょう。

 最後になりました。
 ようやくご質問への回答です。
 お塔婆はかつて、朽ち果てるまでそのままにされていましたが、今はスペースの問題もあり、あまり古くなったものは順次、修法の上、お焚きあげを行っています。
 どのあたりで「もういい」と判断するかは皆さんそれぞれであり、頻繁にお参りできるかどうかなどのご事情もそれぞれなので、各ご尊家様なり判断し、お焚きあげをお申し出ください。
 たとえ古びようと、一枚一枚のお塔婆は皆、み仏の眼が開いた尊い捧げものであることをお忘れなく。
 皆々様のご誠心にご加護がありますよう。合掌
 
 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ