コラム

 公開日: 2015-08-22 

原発がどんなものか知ってほしい(その4) ―ある技術者の遺言―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈『みやぎ四国八十八か所巡り道場』の守本尊地蔵菩薩〉

 ここで紹介する『原発がどんなものか知ってほしい』は、原発の建設、検査、配管工事の分野で現場監督を20年以上勤めた技術者平井憲夫氏が書いた〈現場からの報告〉である。
 今回の文章には、風評被害を引き起こしかねない内容や、強い誹謗の表現も含まれているが、資料として読むため、原文のまま掲載した。
 本文の妥当性については、ネット上に様々な知見があり、ご検討いただきたい。
 なお、平井憲夫氏は平成9年1月に58才で逝去されており、福島原発の事故は約14年後に起こっている。

10 「絶対安全」だと五時間の洗脳教育

「原発など、放射能のある職場で働く人を放射線従事者といいます。
 日本の放射線従事者は今までに約二七万人ですが、
 そのほとんどが原発作業者です。
 今も九万人くらいの人が原発で働いています。
 その人たちが年一回行われる原発の定検工事などを、毎日、毎日、被曝しながら支えているのです。

 原発で初めて働く作業者に対し、放射線管理教育を約五時間かけて行います。
 この教育の最大の目的は、不安の解消のためです。
 原発が危険だとは一切教えません。
 国の被曝線量で管理しているので、絶対大丈夫なので安心して働きなさい、世間で原発反対の人たちが、放射能でガンや白血病に冒されると言っているが、あれは“マッカナ、オオウソ”である、国が決めたことを守っていれば絶対に大丈夫だと、五時間かけて洗脳します。  

 こういう『原発安全』の洗脳を、電力会社は地域の人にも行っています。
 有名人を呼んで講演会を開いたり、文化サークルで料理教室をしたり、カラー印刷の立派なチラシを新聞折り込みしたりして。
 だから、事故があって、ちょっと不安に思ったとしても、そういう安全宣伝にすぐに洗脳されてしまって、『原発がなくなったら、電気がなくなって困る』と思い込むようになるのです。

 私自身が二〇年近く、現場の責任者として、働く人にオウムの麻原以上のマインド・コントロール、『洗脳教育』をやって来ました。
 何人殺したかわかりません。
 みなさんから現場で働く人は不安に思っていないのかとよく聞かれますが、放射能の危険や被曝のことは一切知らされていませんから、不安だとは大半の人は思っていません。
 体の具合が悪くなっても、それが原発のせいだとは全然考えもしないのです。
 作業者全員が毎日被曝をする。
 それをいかに本人や外部に知られないように処理するかが責任者の仕事です。
 本人や外部に被曝の問題が漏れるようでは、現場責任者は失格なのです。
 これが原発の現場です。

 私はこのような仕事を長くやっていて、毎日がいたたまれない日も多く、夜は酒の力をかり、酒量が日毎に増していきました。
 そうした自分自身に、問いかけることも多くなっていました。
 一体なんのために、誰のために、このようなウソの毎日を過ごさねばならないのかと。
 気がついたら、二〇年の原発労働で、私の体も被曝でぼろぼろになっていました。」

 いわゆる安全神話の流布がほとんど国策とも言える規模で行われてきたことは事実であろう。
 こうした作業現場では、当然、徹底して「大丈夫」と思わせたことだろう。
 作業員が身の危険を感じたならば、必ず噂となり、はたらき手がなくなってしまいかねないからである。
 長い間、原発を推進しようとする人々は、立地する地域の住民と労働者へ対して無事故と安全を〈保証〉してきたのだった。
 保証が結果的に空手形となり、膨大ないのちと生活が奪われたにもかかわらず、推進者は誰も責任をとらない。
 そして、原発事故が起こった場合は、一基あたりで数十万人という避難者が想定されつつ、当然のことながら避難訓練などされないままに、再稼働となった。

 避難計画はコンピュータ上で住民たちを動かすだけの、文字どおり机上の話であろう。
 そうでないのなら、試しに、住民へ訓練であることを伏せたまま、たとえ1万人でも避難させてみればよい。
 福島原発の事故では、詳しい情報を与えぬまま、防護服に身を包んだ人々が交通整理を行った。
 多くの住民は、自分たちが着の身着のままでバスに乗っている一方で、白い防護服の人が四つ辻に断っていることを訝りながら避難したのだった。
 それでも膨大な日数がかかった。
 今は、日本中の人々が原発事故が何であるかを知っている。
 事故が発生した瞬間から道路はマヒするに違いない。
 つまり、特別に優遇される人々以外、一般住民は誰も安全に逃げられはしないのだ。
 そのことも多くの国民は疾うに気づいていると思われる。
 それでもなお、再稼働となった。 

11 だれが助けるのか

「また、東京電力の福島原発で現場作業員がグラインダーで額(ひたい)を切って、大怪我をしたことがありました。
 血が吹き出ていて、一刻を争う大怪我でしたから、直ぐに救急車を呼んで運び出しました。
 ところが、その怪我人は放射能まみれだったのです。
 でも、電力会社もあわてていたので、防護服を脱がせたり、体を洗ったりする除洗をしなかった。
 救急隊員にも放射能汚染の知識が全くなかったので、その怪我人は放射能の除洗をしないままに、病院に運ばれてしまったんです。
 だから、その怪我人を触った救急隊員が汚染される、
 救急車も汚染される、医者も看護婦さんも、その看護婦さんが触った他の患者さんも汚染される、その患者さんが外へ出て、また汚染が広がるというふうに、町中がパニックになるほどの大変な事態になってしまいました。
 みんなが大怪我をして出血のひどい人を何とか助けたいと思って必死だっただけで、放射能は全く見えませんから、その人が放射能で汚染されていることなんか、だれも気が付かなかったんですよ。

 一人でもこんなに大変なんです。
 それが仮に大事故が起きて大勢の住民が放射能で汚染された時、一体どうなるのでしょうか。
 想像できますか。
 人ごとではないのです。
 この国の人、みんなの問題です。

 ここでは放射能がまるで細菌のようにとらえられているが、必ずしもそうしたものではなかろう。
 ただ、人命尊重は当然ながら、原発内部で起こった事故について、なるべく小さな報道で済ませたいという意向がはたらいているのは確かだろう。
 女川原発を身近に感じている身には、はっきりと推測できる。
 これまでいったい何十回、首長による申し入れが行われてきたことか。
「遺憾である。再発防止を徹底して欲しい」
 トラブルと抗議はもはや、日常的な風景、あるいは繰り返されるセレモニーのようですらある。
 慣れてしまい、恐ろしさを感じなくなることこそが本当に恐ろしい。

12 びっくりした美浜原発細管破断事故!

 皆さんが知らないのか、無関心なのか、日本の原発はびっくりするような大事故を度々起こしています。
 スリーマイル島とかチェルノブイリに匹敵する大事故です。
 一九八九年に、東京電力の福島第二原発で再循環ポンプがバラバラになった大事故も、世界で初めての事故でした。

 そして、一九九一年二月に、関西電力の美浜原発で細管が破断した事故は、放射能を直接に大気中や海へ大量に放出した大事故でした。

 チェルノブイリの事故の時には、私はあまり驚かなかったんですよ。
 原発を造っていて、そういう事故が必ず起こると分かっていましたから。
 だから、ああ、たまたまチェルノブイリで起きたと、たまたま日本ではなかったと思ったんです。
 しかし、美浜の事故の時はもうびっくりして、足がガクガクふるえて椅子から立ち上がれない程でした。

 この事故はECCS(緊急炉心冷却装置)を手動で動かして原発を止めたという意味で、重大な事故だったんです。
 ECCSというのは、原発の安全を守るための最後の砦に当たります。
 これが効かなかったらお終りです。
 だから、ECCSを動かした美浜の事故というのは、一億数千万人の人を乗せたバスが高速道路を一〇〇キロのスピードで走っているのに、ブレーキもきかない、サイドブレーキもきかない、崖にぶつけてやっと止めたというような大事故だったんです。

 原子炉の中の放射能を含んだ水が海へ流れ出て、炉が空焚きになる寸前だったのです。
 日本が誇る多重防護の安全弁が次々と効かなくて、あと〇・七秒でチェルノブイリになるところだった。
 それも、土曜日だったのですが、たまたまベテランの職員が来ていて、自動停止するはずが停止しなくて、その人がとっさの判断で手動で止めて、世界を巻き込むような大事故に至らなかったのです。
 日本中の人が、いや世界中の人が本当に運がよかったのですよ。

 この事故は、二ミリくらいの細い配管についている触れ止め金具、何千本もある細管が振動で触れ合わないようにしてある金具が設計通りに入っていなかったのが原因でした。
 施工ミスです。
 そのことが二十年近い何回もの定検でも見つからなかったんですから、定検のいい加減さがばれた事故でもあった。
 入らなければ切って捨てる、合わなければ引っ張るという、設計者がまさかと思うようなことが、現場では当たり前に行われているということが分かった事故でもあったんです。

 いかなる先端技術を駆使する現場も、最後は〈人間〉に行き着く。
 イラク戦争への出兵時には、自衛隊が危機一髪の状況に陥った。
 養護施設周辺で反米指導者サドル派と、自衛隊を警護していた豪州軍の間で銃撃戦となり、幹部は建物に閉じ込められ、十数人の自衛隊員は百人にもなろうとする群衆に「ノー・ジャパン」と囲まれた。
「ここで一発撃てば自衛隊は全滅する」
「撃つより撃たれよう」
 隊員たちは覚悟を決めたという。(8月20日付朝日新聞)
 いわゆる「ルメイサ事件」だが、隊員は一人残らずじっと堪え、最後は多くのイラク人に感謝されつつ無事、帰国した。
 万が一、「自分が殺されるかも知れないという緊張感」に耐えかねて誰かが引き金を引いていたならば――と考えると、鳥肌の立つ思いである。
 私たちは、このように巨大な破滅をもたらす可能性を持った状況へ、常に、神のごとく誤りない対応ができるものだろうか?

 このままでは海外の戦地へ赴くであろう自衛隊の人々と、原発の現場にかかわる人々とに課されるもののあまりの大きさにたじろぎ、〝常人には過酷ではないか?無理ではないのか?〟と思ってしまうのは小生だけだろうか?

 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

この記事を書いたプロ

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