コラム

 公開日: 2015-08-23 

ガンの発見・冠をかぶった如来・サメからの救出 ―梅原猛氏に想う―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 ものつくり大学初代総長の梅原猛氏は、満で60才と72才の時にガンを発病したが、自分で早期発見し、いずれも克服して90才になる今なお、水木しげる氏と対談するなど活躍中である。
 病理学者翠川修教授から「二度も原発のガンを自己発見して全快する人は稀であり、三度目の原発のガンにかかり、また早期発見して、全快すれば世界記録になるがいかがですか」と言われた。

 最初の大腸ガンはこうして発見した。

「便に血が混じったというより、血の中に便が浮いているという感じであった。
 私はそれを見て不吉な予感がして、すぐに病院に行った。」

 二度目の胃がんはこうである。

「北京大学から名誉教授の称号が受けられる、中国での授与式に出席したが、招宴でおいしいはずのごちそうの味がまったくしなかった。
 帰国後、食べものがこれほど喉を通らないのは初めてだ、きっと胃ガンにちがいないと思って、早速、予定されていたフランス行きをキャンセルし、病院へ行くと、予想通り胃ガンであった。」(『神殺しの日本』より)

 このエピソードを読んで、〈研ぎ澄まされている〉ことに感嘆した。
 氏の博覧強記ぶりと発想の大胆さは神域を感じさせるが、その秘密は〈入り口〉にあるのではないか。
 きっと、あらゆる情報がすさまじい鮮度で取り込まれるのだろう。
 だから、密教の根本仏である大日如来が、如来ながらも、他の如来のように感覚を否定する裸体に近いお姿ではなく、菩薩(ボサツ)の姿で宝冠をかむっておられる理由を正確につかんだ。
 なぜ、悟りの境地にありながら、私たちの近くに来られる菩薩の姿をしておられるのか?

「人間を救うことを念願としている菩薩は、人間の利のために、けっして静かなさとりにはいられないのである。
 この現実世界にとどまって、衆生救済に努力している。
 衆生救済の手段は何か。
 衆生は欲望をもっている。
 そしてその欲望が、衆生の生存の根底である。
 欲望を離れて衆生はどこへ行くのか。
 欲望を否定することは生そのものを否定することではないか。
 欲望を否定することではなく、要望を清浄にすることが必要である。
 欲望を清浄ならしめるとは何か。
 それは欲望を肯定しつつ、同時に欲望に執着しないことである。
 心を堅固に保ち、小さな欲望にとらわれず、大きな欲望に生き、無礙自在な境地に生きる必要がある。」

 これは、著書『仏教の思想』において「『理趣経(リシュキョウ)』の本質、あるいは密教の本質」として説かれた文章である。
 日々、理趣経を読誦する行者として、一点の違和感も反論もない。
 悟りきったからこそ、欲望と共に生きる私たちの近くにいてくださるのである。
 これが、私たちからすれば即身成仏(ソクシンジョウブツ)となる。
 血肉を持った者として、そのままに、本来み仏である本質を生きることこそ、人間としての究極的生き方である。
 大日如来はそれを示しておられる。

 8月22日、衝撃的なニュースが流れた。
 以下、AFP=時事による。

「米フロリダ州ジャクソンビル沿岸の浅瀬で、サメに右足をかまれて重傷を負った10歳の少女が海で泳いでいた6歳の女児を助けようと、果敢に海に戻る救出劇があった。
 ケーリー・ザーマックさんは19日、サメに右足をかまれ、90針縫う大けがをした。
 父親によると、ケーリーさんは、かまれた時に後方を振り返ると『サメのひれが揺れ動いているのが見えたと話していた』という。
 ケーリーさんは海から上がり、友人らにサメの襲来を叫んで伝えたが、6歳の女児が海に残っていた。
 そこで海に再び入り、女児を救出。
 父親は『大きな傷痕は残るが、逸話としても相当だ』と娘の使命感に誇らしげだ。」

 この少女が菩薩でなくで何であろうか。
 大日如来の顕れでなくで何であろうか。

 梅原猛氏の感覚から大分、脱線した。
 私たちも、見聞きし、嗅ぎ、味わい、触れるものに対して、その情報を新鮮なものとして採り入れる感覚を錆びさせないようにしたい。
 それが、人生を真の意味で豊かにするだけでなく、自分を救い、誰かも救うことにつながるかも知れない。
 読経や写経は、錆びさせない方法の一つとして有効であると信じている。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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