コラム

 公開日: 2015-08-24 

安心な送られ方は? ―樹木葬・共同墓・生前戒名・お焚きあげ―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 80才を過ぎたAさんがご来山されました。

「私はあまり目立たない人生を生きてきました。
 ただ、他人様に後ろ指を指されないように気をつけてはきたつもりです。
 もうすぐ、この世のお役ご免になりますが、残すモノは特になく、親族とのつき合いもあまりないので、年金で生き、死んで行くだけで何の心配もしていません。
 延命治療をしないよう息子に頼んだし、葬式も家族と、お世話になったご近所さんへのご挨拶程度で簡素にやる準備を終えました。
 あとはお墓だけですが、息子は将来、仕事で行ったことのある外国で暮らしてみたいと希望しているので、頻繁にお参りには来れないでしょう。
 妻と二人、どうにか生きてきた証(アカシ)が当分、残ればそれ以上、何も望みません。
 証は名前です。
 親からもらった名前と、あの世の戒名と、それが死後、当分の間、お参りしてくれる人のために残っていれば、自分のやるべきことは皆、終わります。
 そこまで準備をすればもう、本当に安心できると思っています」

 Aさんは近々に、奥さんの分と二基、樹木葬『法楽陵』を契約し、生前戒名を求めに来られるそうです。
 そして、さらに思い切ったご提案をされました。

「父の作った家系図があります。
 コピーして息子へ渡しました。
 掛け軸なので私は床の間に懸けておきましたが、息子の生活とマッチしそうにありません。
 持参しますので、私の死後、お焚きあげをお願いします」

 こうした〈死後の願い〉には、さまざまあります。
 最近、多いご相談は、一定期間を過ぎてからのお墓の撤去です。
 新しく〈一代墓〉としてお墓を建てるというお話よりも、各地にある既存のお墓について、自分の代までにしたいがどうすればよいかというご相談です。
 また、死後と限らず、墓地の整理をして共同墓へ永代供養を求める方は五月雨のように続いています。

 お焚きあげのご相談もさまざまです。
 どうしても捨てられないでいた別れた奥さんの写真、若くして亡くなった娘さんの雛人形、将来を固く契りながらどこかへ行ってしまったままの彼氏からもらった指輪、父親が戦時中も隠し持っていた刀、弱かった自分が健康になるよう母親がお寺からもらった御札、施設へ入るので管理できなくなった仏壇一式、などなど。
 皆さんの清浄でかけがえのないな思いと共に、それぞれのお品が当山へ託されます。
 皆さんの多様な悩みや、心の引っかかりなどをお聴きしていると、『入菩薩行論(ニュウボサツギョウロン)』の一節を思い出します。

「もしも改めることができるなら、憂うべきことなどいったい何があるのだろうか。
 もしも改めることができないのならば、憂うことでいったい何の役に立つというのだろうか」

 変えられるものなら、変えればよいだけのことで、ウジウジと憂いている必要はありません。
 変えられないものなら、いくらウジウジと憂いても、まったく何の役にも立ちません。
 経典として説かれてはいますが、十分に科学的な教えでもあります。
 小生などはこう、割り切っています。
〝何とかなるものは、早く手を打っておこう。
 何ともならないものは、あの世まで持って行こう。
 何とかし続けねばならないものは、できるうちはやり抜こう〟
 分類をし、実行してしまえば、憂いはどこにもなくなります。

 現代は生き死にの選択肢が増え、自分なりの生活感覚や生活パターンで生き、死後の準備もできるようになりました。
 そうした中で、「この世の幸せとあの世の安心のために」と願っている寺院と仏教が何らかの役に立てればありがたいことですが、一つだけ、記しておかねばならないことがあります。
 私たちは、「自分の死後の〈準備〉はできても、自分で死後の〈始末〉はできない」のです。
 準備したとおりに死後のことごとが進み、本当にあの世で安心できるためには、準備する自分の心を理解してくれる人の存在が欠かせません。
 また、モノやお金の準備と同様に、あるいはそれ以上にしっかりと、周囲の人々へ感謝し、報恩の行いで生き、死んで行く覚悟を固めたいものです。
 人は、生きたように死んで行くのです。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

この記事を書いたプロ

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