コラム

 公開日: 2015-09-01  最終更新日: 2015-09-05

好き好んでこの世に生まれてきたのではない ―お大師様の言葉―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈伊万里からやってきた魔除けの孔雀〉
 お大師様の言葉です。

「好んでこの世に生まれてきたわけではない。
死ぬこともまた、厭い憎んだところでどうしようもない。
それなのに、私たちは宿命として、何度も何度も生まれては六道(ロクドウ)をへ巡り、何度も何度も死んでは地獄界で炎に焼かれ、餓鬼界で刀に切られ、畜生界で咬み合う」

 以下は原文です。

「それ生は我が好むにあらず。
死もまた人の憎むにあらず。
しかれどもなお、生まれゆき生まれゆきて六趣(ロクシュ)に輪転(リンテン)し、死に去り死に去って三塗(サンズ)に沈淪(チンリン)す」

 私たちは過去世の因縁により、性別や性格や体格などがさまざまな〈特定の者〉という動かせない条件を定めとして持ち、この世に生まれ出ますが、普通は前世(ゼンセ)の記憶がないので、因縁と生まれのつながりを関連づけて認識できません。
 だから、ともすると、「好き好んでこの世に生まれたのではない」あるいは、「親に頼んで生み育ててもらったわけではない」などと考えます。
 しかし、いかに恨み言を言い、斜に構えようと、どこからかこの世にやって来て、死ねばどこかへ帰って行くしかありません。

 その〈どこか〉こそが、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六道(ロクドウ)であり、特に苦しみの強い地獄・餓鬼・畜生の世界を三悪道、あるいは三塗(サンズ)と言います。
 どうにもならない状態で、怨み、憎み、嫉妬し、心の炎に焼かれたことはありませんか?
 何かを奪いたくて、あるいはつまらぬ自尊心から、誰かを深く傷つけたことはありませんか?
 自己中心で他人様を虚仮(コケ)にし、裏切り、恩に背くような牙を剥いたことはありませんか?
 私たちはこの世で暗い三悪道を行ったり来たりし、あの世では三塗(サンズ)の川を渡るのに苦労します。
 死後、善業(ゼンゴウ)をたくさん積んだ人は美しい橋を渡って極楽へ行けますが、いのちあるものを尊ばず、他人様を軽んじるなど悪業(アクゴウ)とたくさん積んだ人は深い急流に苦しめられ、なかなか渡れないとされています。
 漫然と生きていれば、こうした循環を繰り返すだけであり、憎み、怨み、怒り、貪り、飢え、別れ、失い、得られず、執着心に縛られて、苦しみは永遠になくなりません。

 私たちは、いよいよのところへ追いつめられた時、他人様の霊性に気づき、自分の霊性にも気づくチャンスがあります。
 観音様のお経は説きます。

「順風満帆平安の○時期(トキ)に思わぬ災難に○出会ったときの苦しみを○救い給うたその人を○観音菩薩応現(オウゲン)の○姿であったと手を合わす○心ぞ真に菩提心(ボダイシン)」

 何もかもがうまくいっているような時に思いもよらぬ災禍に遭い、立ち往生してしまう場面が人生のどこかにあるものです。
 そこで誰かが、手を差し伸べてくれ、「ああ、観音様が現れてくださった」と合掌するようなこともまた、あるものです。
 小生は、得意の絶頂から無一文になり、托鉢修行に生きていた頃、数え切れないほどたくさんの〈観音様〉にお会いして、感涙に咽び咽んだ日々が忘れられません。
 暑い日に一杯のお茶をいただいたことも、寒い日に一椀のおしるこをいただいことも、なかなか修行を受け入れてもらえない地域で最後の一軒から大きなお札をいただいてようやく米が買えたことも、五百円玉一つでそれ以上のガソリンを入れていただいたことも、何もかもが、思い出せば奇跡とすら思えてきます。
 皆さんから「ああ、ありがたい」と思わせていただき、「一人前になり、何としてもご恩にお報いせねば」と決心に決心を重ねさせていただいたからこそ、一山を開創し、ここまで来られました。

 私たちは、こうした「ああ、ありがたい」「一人前になり、何としてもお報いせねば」の心を忘れなければ、きっと、六道から離れるきっかけをつかめます。
 自他を苦しめるものが薄皮を剥がすように少しづつ離れて行けば、自分が救われるだけでなく、周囲の人々もそうなるきっかけをつくることになります。
 感謝と報恩を忘れずに生きてゆきたいものです。

http://mbp-miyagi.com/mamorihonzon/column/12104/もご覧ください)
 
 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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