コラム

 公開日: 2015-09-20 

少年の夢と卍 ―週刊新潮の表紙に想う─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 ある方から連絡があった。
「週刊新潮の表紙に、住職が言っているイメージどおりのイラストが載っていますよ!」
 購入して、つくづく眺めた。
 画家成瀬政博氏の「表紙のはなし」にはこう書いてある。

「夢

 風船を持った少年のうしろ姿は
 夢に憧れる人生のようです
 ひとり一人の夢は 形を変えたり
 消えてしまったりするけれど
 人類の変わらぬ夢のいちばんは
 戦争のない世界です
 それは 果しなく見つづけた夢
 もし 日本の総理大臣が 国連で
『今から私たちは 憲法九条を
 実現する努力をいたします』と
 宣言したらどうでしょう
 ああ 風船持つ少年のうしろ姿よ」

 朧な太陽へ向かって立つ少年の〈赤〉は、夢への情熱、燃えるいのち、そして果てしない戦火でもあろう。
 小生は、愛染明王(アイゼンミョウオウ)のまとう〈赤〉を直感した。
 愛染明王は、大日如来が生きとし生けるものを敬愛し、お慈悲で導く思いと力を私たちへ示すために明王となって現れた憤怒尊である。
 経典は、私たちにこびりついて離れない愛欲に染まったエネルギーをそのまま、自他を救う力へ転換させてくださると説く。
 私たちは、他人を押しのけても自分が欲しいものを得ようとする一方で、時には、自分の身を捨てても誰かを救わずにいられない。
 気ままに生きれば我利我利亡者(ガリガリモウジャ)となって悪業(アクゴウ)を積む私たちは、智慧と思いやりを持てば、ただちに、〈み仏の子〉たる本来の姿で生きられる。
 そのことを煩悩即菩提((ボンノウソクボダイ)と言う。
 この少年は、我欲で生きるのだろうか?
 それとも思いやりで生きるのだろうか?

 風船の〈青〉は安心や平和の象徴である。
 世界中の信号は、「進んでも大丈夫」という安全を青色へ託している。
 何かのトラウマなどを抱えていなければ、多くの人々は、空や海や湖の〈青〉を厭わないだろう。
 それは、心を静め、清め、深め、広がらせる。
 だから、真っ赤な少年は風船を手放せない。
 少年の手は風船をつかみ、飛んで行かぬよう制御してように見えるが、実は、風船に制御されてこそ少年の〈赤〉は、我欲でなく思いやりとして燃える。
 その〈青〉が心へ染み込まぬ限り、決して、風船を手放してはならないのだ。

 足元の小さなネコは、見る者を観ている。
 問いかけてもいる。
「お前はどうなのだ?」

 少年は立ったままだが、両手はダラリとしてはいない。
 力を込めた姿勢である。
 どう観ても、お釈迦様がお生まれになった時にその尊さを表した「誕生仏」そのものだ。
 日々、摩耶夫人(マヤブニン…お釈迦様の生母)と誕生仏の前で不戦日本を祈っている者にはすぐ、わかる。
 これは誓う姿でもあろう。
 彼は遙かなお天道様へ誓っている。
 それは何か?
「夢は捨てない」

 全体の構図を眺めると、いつも九字を切り、卍の印を結んでいる小生には、卍に見える。
 少年の右腕と風船に対応する左腕の形、そして、左上の太陽と右下のネコは、明らかに卍を成している。
 卍とは何か?
 太陽が天空を永久に回転する動きを象徴する卍は、繁栄・幸福・瑞祥(「密教大辞典」)の兆しとしての吉相である。
 小生は、一日として、祈りの中で卍を用いぬ日はない。
 何しろ、卍は招福法の決め手なのだ。

 少年の「夢」こそ、世界平和の決め手ではないか。
 今日も不戦日本を祈ろう。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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