コラム

 公開日: 2015-09-24 

心はそっちにある? ―ディオニュソス神をめぐって―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。









〈今年も『法楽農園』の稲刈りが始まります。今日、明日で稲刈りを終え、26日、27日の両日、はせ掛けの台を作りますので、ご協力をお願いします〉

 最近、心を実体視し、自分のそちら側に置いて心地好く操(ク)るような、もの言いや、文章が目につく。
 たとえば「心に愛をそそぐ」などはどういう状態なのだろう?
 心が自分の心なら、愛は誰がどこからどうやって持って来て、どういう方法で注ぐのだろうか。
 文章を書いたり読んだりして気持良くなるのは結構だが……。

 心はどこにあるとも言えないが、自分が居る以上は、自分と共に在ると考えるしかないだろう。
 また、誰かの思いが通じてくるならば、誰かの心も、誰かの存在を縁として在るに違いない。
 この世とあの世の別なく。

 心は絶え間なく起こってくる。
 時には思いやりとして、時には憎しみとして、時には怒りとして。
 縁の風が凪いでいる時は穏やかで、強風にあっては激しく波立つ。

 かつて、アテネの独裁者ペイシストラトスは紀元前534年、先住民族のディオニュソス神信仰を利用して独裁政治の基盤を固めようと、「大ディオニュソス祭」を行った。
 いきものたちのいのちを司る神の祭は、先住民族も侵略民族も都市生活者も農村生活者も悦び、ワイン産業も陶器産業も飲食店も潤し、皆が為政者を讃えるだろうと期待された。
 松明行列から前夜祭が始まり、翌朝はファルスと呼ばれる男根の行列、雄牛たちの供儀、合唱コンクール、そしてワインで洗った雄牛の生肉を喰いながらの夜を徹した乱痴気騒ぎ。
 その後、三日間、ディオニュソス劇場で悲劇のコンクールが行われた。
 ギリシャの歴史と共にいのちの饗宴は続いたが、200年、300年と経つうちに形骸化し、滾(タギ)り立つ原始的で素朴なエネルギーは失われていった。
 哲学者ヘラクレイトスはすでにこう言っていた。
 為政者によって創られた祭の真姿を見抜いていたのだ。

「彼らは、ディオニュソスを奉じて狂喜乱舞し、祭礼を行っているのだが、ディオニュソスはハデス(あの世の神)と同じなのだ」

 そして、母なる大地母神アルテミスを祀る神殿で子供たちとサイコロ遊びに興じつつ人生の幕を閉じた。

 神と祭を利用しようとする人間の意図など、紙切れのように儚(ハカナ)い。
 私たちの心には、ディオニュソスもアルテミスもいる。
 ハデスすら、影絵のように見ている。
 もちろん、アポロンに通じる理性も調和も具わっている。
 何に近づくか、遠ざかるか、あるいは何に成るか、成らないか。
 心は一本の糸であり、それを成す一瞬一瞬は、生まれ持った過去の因縁としての資質と、今の意志と生き方とによって紡(ツム)がれる。

 糸は、自分も為政者も、弄(モテアソ)べない。
 結果として紡がれるものであることを忘れないようにしたい。
 自分の生き方がどうなっているかをこそ、厳しく見つめたい。
 自分の心を考えるならば……。

「のうまく さんまんだ ばざらだん かん」
 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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