コラム

 公開日: 2015-09-26 

ご葬儀は誰のために行うのか? ―送り方送られ方を考える―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈雨続きでも花が絶えない『自然墓』〉

 ご葬儀は、仏神のお導きによって死者が無事、あの世へ旅立つことを第一の目的とする。
 それは、生まれてから死ぬまで、親を初めとし、ありとあらゆる〈おかげ〉なくして過ごせないのと同じである。
 この世を〈おかげさま〉、〈お互いさま〉と生きる私たちが、死んだ途端に自力だけで安心世界へ逝けようはずはない。
 だから有史以来、目に見えぬものの力によって、目に見えぬ世界へ死者を確実に送ることごとが文化の根底を成してきた。
 送り方、送られ方にこそ、その時代、その場所で暮らした人々の文化の色合いが濃く映し出されている。

 また、ご葬儀は、〈おかげさま〉と感謝する人々へその思いを届ける人生最後のチャンスである。
 死に行く人にとっても、送る人にとっても。
 生まれるとは、社会との関わりが始まることであり、死ぬとは、社会との直接的な生きた関わりが消えることである。
 人は社会的動物であり、いかなる社会で、いかに社会と関わるかが人生であるとも言えよう。

 流行の家族葬を一概に否定するものではないが、こうした肝腎のところが蔑(ナイガシ)ろにされつつあるように思えてならない。
 一個人の死を、一個人に起こるできごととして考え、一個人のできごととして送るだけならば、それは、生きて在る人々がそれぞれの人生を一個人のできごととして過ごす態度に結びついては行かないだろうか?
 現代に顕著な個人主義の悪しき面はますます増長するのではなかろうか?
 こんにちわ、さようなら、この挨拶をきちんと行うところから私たちのまっとうな生活が創られるのではなかったか?
 ならば、膨大な〈おかげさま〉への最後の「さようなら」もそれなりに行われてこそ、まっとうな人生のまっとうな締め括りになるのではなかろうか?

 9月25日付の産経新聞に専門誌『SOGI』の碑文谷創編集長の所感が掲載された。

「死者と身近な関係者は血縁者とは限らない。
 死者と深く関わった人を『家族でない』と排除するのは、死者中心の弔いという観点からは大きく離れている。
 流行や経済的な理由だけで家族葬を選択すべきではないだろう」

 死に行く人としても、生きてこの世に残る人々にとっても、見過ごせない指摘であるように思えてならない。

 今朝も、路傍にご逝去とお別れを表示する掲示板が立っていた。
 小生が大和町宮床に居着いて間もなく掲げた「寺子屋建立」の傍に共鳴し、賛同し、ご指導もご助力もくださったAさんが逝かれた。
 機関紙「ゆかりびと」と機関誌「法楽」はずっとお送りしてきたものの、久しくお会いしていない大恩人の寛(ユル)やかな口調と落ちついた声が思い出され、溜息が出た。
 Aさんと小生には細(ササ)やかな接点しかなかった。
 しかし、Aさんはまぎれもなく〈師〉である。
 これまでも、これからも……。
 師のご冥福を心から祈りたい。
 そして、師のお導きに恥ずかしくない日々を送りたい。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

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