コラム

 公開日: 2015-10-02  最終更新日: 2015-10-13

滅罪とは? ―この世でも、あの世でも―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈笹倉山に見守られる『自然墓』〉

 私たちは、ふとした時、自分の罪に気づくことがあります。
 また、ご葬儀の眼目は、故人に対する感謝の心を込め、できる限りその罪を滅して安楽の世界へ旅立てるよう祈るところにあります。

○修法には、祈願と滅罪とがある

 行者たる僧侶の祈りは、経典の読誦(ドクジュ)や、故人への黙祷や、心を落ちつける瞑想といったイメージにとどまりません。
 皆さんの目的に応じて日常の姿を脱し、必要な〈法の場〉をつくり出し、そこに住し、ご本尊様と一体になって目的の成就を目指すものであり、そうした行為の全体は〈法を修する〉すなわち修法と呼ばれます。
 ご葬儀などの場で、司会の方が「では御導師様、読経をお願いします」などという表現をしますが、経典を〈読む〉なら朗読家の方がプロであり、僧侶がプロであるかどうかは、異次元の創出にかかっています。

 さて、修法は大きく分けて二つになります。
 一つには祈願、すなわち生きている者にとっての現世利益(ゲンゼリヤク)であり、誰でもが持っている「幸せになりたい」「よく生きたい」などという感覚から生じる具体的な願いを叶えるための祈りです。
 もう一つは滅罪、すなわち、煩悩(ボンノウ…無知と我欲がもたらす自他を苦しめる意欲)や業障(ゴッショウ…過去に行った悪しき行為による障り)のために過失を行ってしまわざるを得ない存在である私たちが、その罪を滅することです。
 滅罪には二種類あり、一つは現世に生きる私たちが行う〈罪滅ぼし〉としての行為であり、もう一つは、亡くなった方のための追善供養です。
 追善供養とは、生きている人々が善行による功徳(クドク…よき結果をもたらす影響力)を回し向けて亡き人々の罪過を滅し、安楽な世界へ行って欲しいと行う祈りであり、法会です。
 だから、お通夜や、ご葬儀や、年忌供養などの目的はここにあります。
 故人に感謝し、故人が生前、行わざるを得なかった悪行による因果応報が死後の苦しみをもたらさぬよう願うなら、規模にかかわらずご葬儀などをきちんと行うべきでしょう。

 Aさんは、ご家族揃ってご主人の十三回忌を行いました。
 短い法話です。
「十三回忌の守本尊様は大日如来です。
 西方浄土におられる阿弥陀如来(アミダニョライ)のお導きで三回忌の追善供養を受け、ゆっくり休み穢れを払い落とした後、東方浄土におられる七回忌の阿閦如来(アシュクニョライ)に導かれて転生(テンショウ)の流れに入られたご主人は、今日、大日如来の智慧と慈悲の仏光で行く手を明るく照らしていただきました。
 もう、安心ですね」
 Aさんは、杖をつきながら立ち上がり、応えます。
「青空のような気持になりました。
 きっと主人もそうでしょう。
 本当に安心しました。
 ありがとうございました」
 翌日、普段どおり我が家で食事を終えたAさんはその晩、冷たくなっていたそうです。
 ご葬儀となり、お孫さんが涙ながらに述べるお別れの言葉にはこうありました。
「お祖母ちゃん、安心な旅立ちだったね。
 よかったね。
 いい顔してるよ」

○罪が生じる原因は煩悩(ボンノウ)にあり、滅罪が欠かせない

 私たちは生まれながらに、貪り・瞋(イカ)り、癡(オロ)かさという三つの煩悩(ボンノウ)につきまとわれています。
 そのために、身体も、言葉も、意識も、そのはたらきが、ともすれば悪行(アクギョウ)となり悪業(アクゴウ)をつくってしまいます。
 だから、人生の宿命として四苦八苦(シクハック)があり、罪も生じます。
 み仏の子として本来清浄な心を持っているのに、悪業の蓋がかぶさり、清浄な心性がそのままに発揮されません。
 そして、この世で結果が出なかった悪業は、輪廻転生によって次の世へと影響力を及ぼし、来世での四苦八苦を招きます。
 自分のためにも、逝かれた方々のためにも、四苦八苦を脱する滅罪の生き方と修法が欠かせません。

○滅罪のためには、自分の懺悔(サンゲ)と、殲法(センポウ…罪を殲滅する修法)を受けること

 お釈迦様以来、仏教では毎月2回、布薩(フサツ)が行われてきました。
 布薩とはウパバサタの音写であり、毎月2回、ご本尊様の前で懺悔し、清浄な生活を送りますと約束します。
 お釈迦様の当時は、破戒行為を避けた行者たちが教団の清浄さを確認するための行事だったようですが、当山では、ご縁の方々が戒律を確認し、自らを省み、ご本尊様の前で持戒を誓うというところまで踏み込んだやり方を行っています。
 当山は開山以来、第一例祭(第一日曜日)、第二例祭(第三土曜日)をもって、そうした意味の布薩を続けています。
 修法はこう始まります。

「我れ昔より造りし所の諸(モロモロ)の悪業は
 皆な無始(ムシ)の貪・瞋・癡、(トンジンチ)に由(ヨ)る
 身・語・意(シンゴイ)より生ずる所なり
 一切(イッサイ)我れ今、皆な懺悔(サンゲ)したてまつる」

(私が無限の過去からつくり続けて来たさまざまな悪業は
 すべて、無限の過去から受け継いだ
 貪り、瞋(イカ)り、癡(オロ)かさから生じたものです
 それらのすべてを私は今、心から懺悔します)

 導師も、参加者の善男善女も、こう誓ってから経典や真言を唱え、その功徳による滅罪を祈ります。
 経典は、受持(ジュジ)、読誦(ドクジュ)、聴聞(チョウモン)、あるいは、写経などの功徳力を説いています。
 
 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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