コラム

 公開日: 2015-10-07 

立ち止まっても感謝すれば歩み出せる ―生きる目的をどこに求めるか―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈「毒箭を抜かずして 空しく来処を問い 道を聞いて動かずんば 千里いずくんか見ん」髙橋高温先生書〉
(毒の箭(ヤ)で射られているのにそれを抜かず どこから誰が射たのかなどとうんぬんし せっかく仏道を聴いても実践しなければ 千里先の目的地へは決して到達できない)

 人生相談に来られる方々はどなたも、立ち止まってから、普段とは違う場所へと足を向けます。
 立ち止まる時は、立ち止まらせられている、とも考えられます。
 それは、〈普段どおり〉にやれない状況にぶつかっているからです。

 原因はいろいろあります。
 うまく行かない人間関係、テストの失敗、失恋、病気など、何ごともなく過ごしていた日常生活に亀裂が入り、不安に苛まれる時、私たちは立ち止まります。
 未来はどうもよく見えない……。
 そしてようやく自分の足元を見ます。
 ――しばらくぶりに。
 あるいは、初めて。

 そして、「どうすればいいのだろう?」と迷った末に、根本的な問いを発します。
「私は何のために生きているのだろう?」
 答えが出なくて愕然とします。
 さまざまな情報に答を求めますが、得られません。
 家族や友人が答を持っているとも思えず、途方に暮れます。

 こうした皆さんの事情は、ある程度、お察しできます。
 小生も、受験の失敗で人生の目的を見失い(「目的」と手段を取り違えていたのですが、当時は気づきませんでした)、答のない問いを抱きつつ商売をやり、失敗しました。
 中年になってから出家し、また、〈探す旅〉を始めました。
 そして古希(コキ)になってつくづく、私たちは誰でも、〈誰かの何かの役に立っている〉と実感します。
 赤ん坊は100パーセント、家族などの手を借りなければ生きられませんが、その状態でもなお、生きて輝いている小さないのちとして、手をかける人々の希望や勇気などをかき立てます。
 年老いて誰かの介護がなくては生きられなくなったご老人も、「ありがとう」という心と言葉と笑顔によって、誰かの役に立てます。
 青い鳥のように、どこかで待っているのではなく、生きていることそのものに〈生きる目的〉は付随しています。

 かと言って、生きてればいいのか、と無頓着に好き勝手をしてよいとは思えません。
 一人前に社会生活をする大人ならば、生活の仕方、ふるまい方が〈その人〉を表し、その人と社会の関係を決めて行くからです。
 普段、私たちの人生は〈どう生きて行くか〉だと思っていますが、実態は〈どう生かされているか〉だからです。

 どう生かされるかを決める最も根本的なものは、感謝する心のあるなしではないでしょうか。
 感謝の心がある人は、「ありがとう」の言葉一つで、いつでも誰かの役に立てます。
 感謝する→笑顔が返ってくる→心が温かくなる。
 ここに生きる目的は達成されています。
 支え合っているからです。
 支え合わなければ生きられない私たちは、支え合いさえすればもう、存在する目的を探す必要はないではありませんか。

 生きる目的を見失って人生相談に来られる方々の多くが、自分が知らぬ間に誰かの役に立っていることを忘れておられます。
 あるいは役に立てることを忘れているか、気づかないでおられます。

 自分の中にいくら探しても究極的な目的は見つかりません。
 それは誰一人として、自分だけで生きてはいないからです。
 地位も名誉も財産もすべて手段でしかありません。
 それは、病気になったり、年老いたり、失脚したり、騙し取られたりした時、ようやく明らかになります。

 自分探しなどをして、自分に目を向けているだけでなく、むしろ自分を支えてくださっているあらゆるものへ目を向けてみましょう。
 人はもちろん、ネコも、花も、青空や空気さえも支えてくださっています。
 その真実に気づき、「ありがとう」と心でつぶやく時、もう、自分探しも、人生の目的探しも、意識から消えていることでしょう。

 この感謝を保つためには、気づくこと、言葉に出すこと、そして、ネコならなでてやり、花なら水をやり、青空や空気なら環境から汚れを取り除く意識で行動することです。
 そうすれば、立ち止まったあなたはもう、歩み出しているはずです。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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