コラム

 公開日: 2015-12-21 

【現代の偉人伝】第217話 ─「鶴岡のおじさん」こと金野昭治氏─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈「鶴岡のおじさん」は想像どおりの優しさに満ちていた〉


〈児童の驚きと喜びが溢れている〉


〈人間は、こんなに尊いことも為し得る〉


〈児童に夢と感謝と読書の感動をもたらした証拠〉

 12月19日朝、NHKテレビの「おはよう日本」は、山形県鶴岡市立羽黒第四小学校に匿名で図書購入費を送り続けた金野昭治氏(68才)と子供たちの出会いについて放映した。
 昭和49年4月12日、小学校に届いた手紙には「社会から受けた温かい恩に少しでも報いたい。図書費に使って下さい」としたためられ、に2千円が添えられていた。
 差し出し人は「鶴岡市」とのみ記され、以来、手紙と送金は41年間、途切れることなく続いた。
 金額は途中から月5千となり、消印も仙台市になった。
 これまでに贈られた寄付金の総額は約220万円、購入された本は1400冊の「おじさん文庫」となった。
 児童たちは、まだ見ぬ「鶴岡のおじさん」を想像し、毎年、おじさんの似顔絵を描いて「おじさん祭り」を行ってきた。

 今年3月、児童24人しかいない小学校が今年限りで廃校となることを知った「鶴岡のおじさん」は名乗り出た。

 昭和48年、母校を訪ねた金野昭治氏は、図書購入の予算が2万円しかないことを知り、子供たちの力になろうと誓った。
 そして50年間は「鶴岡のおじさん」という子供たちの夢を壊さぬよう、匿名を貫こうとしていたが、名乗り出ることを決意した。
 直接、伝えたい思いがあったからだ。
「たくさん、本を読み、勉強して欲しい」
 氏は家が貧しくて高校へ行けない状態だったが、秋元育英資金を受けて高校を卒業し、東北電力へ努めた。
「私は子どもの頃、環境に恵まれず、地域の恩を受けました。
 その恩返しのつもりで続けてきました」
 これもまた、伝えたい思いだった。
 10月に行われた「おじさん祭り」に際し、氏は河井伸吾校長へ501通目となる最後の手紙と図書費を渡した。
 手紙はこう結ばれている。
「別れても 心の絆 とわに咲く」

 氏は児童たちと一緒に食事し、児童が「今かみしめる 読書の楽しさとおじさんの愛」と唄う「BELIEVE」の替え歌へ耳を傾け、「目標を持って努力する大切さが皆さんに伝われば、おじさんの夢は達成されました」と語りかけた。
 最後に、おじさんは子供たちがつくる腕のアーチを通って去った。

 今井大稀君(3年生)。
「決めたことを最後までやり続けるのはすごい」
 かつて似顔絵を何枚も描き、今は母親となった千春さん(33才)。
「私も娘もずっとおじさんに見守られてきたんだとジーンときました」
 司会を務めた百瀬蒼君(3年生)。
「僕も泣きそうになったけどこらえた。
 感謝の気持ちを伝えることができてよかった」

 羽黒第四小は隣の第三小と統合し4月から広瀬小になる。
 広瀬小では「おじさん文庫」の一部を引き受け、活用する予定である。

 最後にできごとを振り返ってみたい。
 昭和49年頃の高卒は初任給6万円前後だった。
 その中から2000円を割くことはいかばかりだったか?
 氏が高校を卒業できたことをどれほどありがたいと感じていたか、現在ではなかなか実感できないかも知れない。
 そして、社会から受けた恩を図書講読費という形で母校へ返したいという気持もまた、なかなか想像できない。
 自分へ課した使命を果たすためにはきっと、あれもこれも、我慢したことだろう。
 41年間には、たくさんの〈窮地〉があったはずだ。
 そのいずれをも乗り越え、月5千に増額して励ましの手紙と共に送り続けた事実はあまりにも重い。

 また、名乗り出るまでの葛藤も想像しきれるものではない。
 最後まで名乗り出なければ、優しくありがたい夢のおじさんがどこかにいて、毎年、読める本が増えるという児童たちの夢と現実は〈不思議〉なままで終わる。
 おじさんが現れれば、すべては現実となってサンタクロースのような夢の面は消え、現実が目の前に顕わとなる。
 現実のみとなった強いリアリティが児童たちの心へどうはたらくか?
 氏は、最後の最後までそこを考えられたのではなかろうか?
 そして決断された。
 直接、語りかければ、恩を感じ、感謝し、優しさと根気をもって奉仕する人間の姿そのものがきっと、夢を含んだ曖昧さのベールがなくなった素(ス)の力強さで、児童たちの心へ大切なものを植え付けられる──。

 子供たちは、為した人と現実に接した。
 やればできることが事実であると知った。
 やはり、「おじさん」の出現は正解だったに違いない。

 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

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