コラム

 公開日: 2015-12-23 

正氣と仏道 ─1月の聖語─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 国防の専門家であるA氏に天下の情勢を訊ねたところ、こんな答が返ってきた。

「故小室直樹博士に、日本はこのままで大丈夫でしょうか、とお訊ねしたことがあります。
 先生は『時がくれば輝く人が出てくるものだ』と答えられました。
 藤田東湖の『正氣、時に光を放つ』だと思いました」

 幕末の儒学者藤田東湖は幽閉されたおり、40才にして気力、胆力、知力衰えることなく『文天祥の正氣歌に和す』(通称『正気の歌』)を書いた。
 その中にある一節。

「世に汚隆(オリュウ)無くんばあらず、正氣(セイキ)、時に光を放つ」

(世間に栄枯盛衰はつきものだが、その時が来れば、おのづから天地に満ち人を正しく導く正大なる精気が光を放ち、日本は本来の姿を取り戻す)

 藤田東湖は続けて、道鏡を退けた和気清麻呂(ワケノキヨマロ)や武士道を再認識させた赤穂浪士などを列挙し、時が経って当時を知る人びとが死に絶えても、英霊(エイレイ)は永久に亡びず、正氣は天地の間にあり、凛として普遍的な道を顕し続けると説く。
 霊性を十二分に発揮した英傑の御霊は後世にまで感化力を及ぼし、それを感得できる人がまた霊性を発揮して国は亡びないのだ。

 話を聴きながら、お大師様の言葉を思い出していた。

「時至り人叶(カナ)う時は、道、無窮(ムキュウ)に被(コウム)らしむ。
 人と時と矛盾する時は、教え即ち地に堕つ」

(機が熟し、人が応ずる時は、道が無限に広まる。
 人が感応できない時期には、教えは地に落ちる)

 お釈迦様に始まる仏道ですら、時が至らず、人びとの心が開かなければ、埋もれているしかない。
 時期が来れば本来の力で人びとを感化し、法が弘(ヒロ)まる弘法の時代となる。
 今の日本では、仏教の役割に関し、あれも要らない、これも要らないという風潮が広まり、寺院の存立が危ぶまれている。
 しかし、慌てることはない。
 他の世界宗教と同じく、仏教も迫害された歴史を持っている。
 そもそも仏教が日本に伝来した欽明天皇の時代には、仏教の受容は権力闘争と絡み、寺院が焼かれ仏像が投げ捨てられたりした。
 明治の廃仏毀釈でも、国家レベルで仏教排斥が叫ばれた。

 いずれにせよ、人が業(ゴウ)によってどう苦しみ、社会が共業(グウゴウ)によってどう苦しむかは、その人により、その時代による。
 悪しき業に対処する智慧を深め、2500年にわたって対処法を精緻に構築してきた仏教が人びとのために役立てるかどうかもまた〈時〉による。
 人を人として存在させる霊性は決して疵つかず、壊れず、無くならず、時至れば社会を動かすほどの正氣となり、仏性となって輝く。
 いつが〈その時〉であるかは、仏神にしかわからない。
 霊性の存在に気づいた凡夫は、ただ大切に保ち、穢れで覆わず、磨き続け、導かれるまでのことである。
 誰かの霊性に打たれた凡夫は、感応した時の瑞々しい感覚を忘れず、時に応じ事に応じて思い出し、心を清風で浄化し、力を奮い起こすまでのことである。
 必ず「時至り人叶う時」が来ることは、歴史が証明している。
 自分の小さな霊性を導きの灯火とし、迷わず、気負わず、淡々と社会的持ち場での分を果たし尽くすしかないと思う。

 お正月には、先人、先徳を偲び、その正氣、仏性に想いをいたし、心身を清めながら新たな一年を迎えましょう。

 今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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